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見事◎○が的中! 普段から意識している予想のプロセス1・2・3を解説(小栗紀明)

  • 2024年08月18日(日) 18時00分
予想の頭脳

見事◎○が的中


『ウマい馬券』で活躍するプロ予想家たちが、会心の的中を振り返る「予想の頭脳」。今回取りあげるのは、エルムステークスを的中させた「小栗紀明」氏。波乱となった一戦を、どのようなアプローチで攻略したのか……。本人自ら綴っていただきました!


対象レース:2024年8月4日(日)札幌11R エルムステークス

 netkeiba公認プロ予想家として活動しております小栗紀明と申します。8月4日に行われましたエルムSの的中につきましてお声かけいただきましたので、予想の過程からレース後の感想まで書かせていただきます。お題はエルムSですが、他のレースでも共通して使える考え方を書いていきますので、皆様の参考になれば幸いです。

予想の頭脳

「小栗紀明」氏


■メンバーの印象

 重賞レースの予想においては、毎年決まったローテや同じようなレベルのメンバーが集まりやすいため、例年の傾向を参考にすることは大事です。しかし、今年のエルムSについては登録メンバーを見た時点で「例年よりもレベルが高いな」というのが第一印象でした。

 たとえば、古馬混合GIでも入着以上の実績があるドゥラエレーデ(チャンピオンズC・東京大賞典3着、ドバイワールドC5着)とプロミストウォリア(帝王賞5着)。ダート重賞は芝重賞ほど距離別や牝馬限定などの路線に分かれていないので、GIに出るだけでも相当レベルが高いと言えますが、GIで入着以上ならGIIIでは明らかに格上の存在です。さらに、ミトノオーとペイシャエスも重賞2勝(地方交流重賞含む)+世代限定とはいえジャパンダートダービー3着以内の実績。この2頭もGIIIでは格上と言えるでしょう。

 例年のエルムSでは前走マリーンS好走馬が好結果を残していますが、それだけで売れてしまうような馬が果たして今年のメンバーレベルで通用するのかどうか。3勝クラスより上にはクラス分けはありませんが、オープン特別やリステッドをようやく勝ち上がってきた馬とGIを含め重賞で何度も好走している馬とでは、実質的にクラスが違うと思ってよいのではないでしょうか。今年は例年の傾向を参考にするよりも、まずは実績上位の4頭の取捨から考えていくべきだろうという方針で予想に取りかかることにしました。


■予想のプロセス

 エルムSに限らず、予想をする上で普段から意識していることが、

1.信頼できる上位人気馬
2.軽視する上位人気馬
3.狙える穴馬

 を探すことです。123すべてを明確にできたレースは狙い目と言えます。

 とくに2の選定はかなり重要で、買い目の点数を減らすのにたいへん効果的です。今回は、1をドゥラエレーデとミトノオー、2をナチュラルハイ、プロミストウォリアとしました。理由については当時の予想に書いた見解と重複しますので、ここでは省略します(ぜひ見解をご覧ください)。

 3については、「実力のわりには売れていない馬」を見つけることに尽きると思います。私の場合は、近走の不利受けや、好走したレースと凡走したレースの条件比較をメインに考えていますが、ここは人それぞれの得意分野で考えればよいと思います。いろいろなファクターを検討するのはAIにはかないませんし、アナログ予想をするなら何か得意な分野に特化するほうが効率よく成果を出しやすいでしょう。

 今回◎にしたペイシャエスは、マーチSでのミトノオーとの差を考えれば、ミトノオーより売れなくても当然でしたが、今回は逃げ馬が複数いることからミトノオーには展開が向かず、ペイシャエスには展開が向く可能性があり、逆転可能と判断しました(これも詳しくは当時の見解をご覧ください)。とはいえ、ミトノオーも上位に評価しているので、これよりも妙味があって逆転の可能性もあるペイシャエスは、さらに高い評価をするべきという結論に至り、◎としました。

 また、波乱の立役者となったテーオードレフォンについては、前走のマリーンSではハイペースで逃げて展開が向きませんでした。好位からスムーズな競馬ができたナチュラルハイと比べると、この2頭にはオッズほどの実力差はないだろうと判断できます。逃げ馬が複数いることで狙いづらいですが、オッズもつくのでそこは気にしません。外枠なので逃げられなくても被されずに気分良く走れるメリットもあり、流れに乗れれば残り目もあると考えて押さえることにしました。

■買い目の意図

 3連複は◎→○▲→▲△…のフォーメーションにしました。言い換えると「◎ペイシャエスに自信があり、○ドゥラエレーデ、▲ミトノオーの2頭のうちどちらかは好走する」という予想です。3列目は手広く流していますが、予想の中心は◎○▲の3頭だということを買い目にも表したものです。

 馬連2点は「3連複とのダブル的中狙い」かつ「3着が抜けたときの押さえ」です。このように、攻めにも守りにも応用できる形で、券種はなるべく2種類以上買うようにしています。的中しやすい券種も押さえつつ、会心の予想で「ダブル的中」となれば、回収率も跳ね上がるのでオススメです。

■レースの印象とレース後の感想

 レースはミトノオーが淡々としたペースで逃げましたが、これを先団でマークした地力のある3頭がそのまま上位入線しました。また、買い目が的中しただけでなく、評価を下げた上位人気馬2頭がともに圏外に沈み、テーオードレフォンが3着に入ったおかげで配当的にも満足できる結果となりました。

 一方、3連複をやや手広く流してしまったのは反省点です。公開する予想については、的中率もある程度は確保したいと思っているためこのような形になりましたが、買い目を絞っていただくヒントとして、重賞では「評価を下げた上位人気馬」を記載するようにしています。回収率だけを重視したいという場合は、評価を下げた上位人気馬を買い目から消すなど、見解を参考にアレンジしていただくとよいかもしれません。

■最後に

 これを読んでいただいた皆様がご自身で予想をするときも、上記の予想のプロセスであげた123を「曖昧に」「なんとなく」ではなく「明確に」「厳選して」予想してみてください。そして、たとえそのとき不的中だったとしてもそこで投げ出さず、狙った馬の敗因をきちんと分析し、次に繋がることがないかどうかを探してみてください。それを続けていくことで、会心の的中も増えていくはずです。私自身も、引き続きもっといい予想をできるように研鑽していきます。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

小栗紀明


今回解説の予想結果はこちら


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なぜあの馬に印を打てたのか。会心の勝利を収めたプロ予想家が、自身の的中を元にレースを振り返る予想力向上コラム。 関連サイト:ウマい馬券

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