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3年連続で本命が好走している超絶好相性重賞 「関屋記念に恋して」(クロサキ)

  • 2024年08月25日(日) 18時00分
予想の頭脳

買い目すべて見事的中


『ウマい馬券』で活躍するプロ予想家たちが、会心の的中を振り返る「予想の頭脳」。今回取りあげるのは、関屋記念を的中させた「クロサキ」氏。波乱となった一戦を、どのようなアプローチで攻略したのか……。本人自ら綴っていただきました!


対象レース:2024年8月11日(日)新潟11R 関屋記念

 おはようございました。競馬YouTuberのクロサキでございます。

予想の頭脳

「クロサキ」氏


 僕の愛読コラム「予想の頭脳」へ2度目の寄稿をできることを自分のことのように嬉しく思います。自分のことでした。

 お話を頂けたことについては驚きはなく、なぜなら関屋記念の的中コラムを書くことにおいて僕以外の適任が地球上に現状存在していないからです。これで3年連続で本命が好走している空前絶後の超絶好相性重賞であり、僕が住民票を関屋に移そうか真剣に検討するレベルで愛しているレースについて、動画より好きな書き仕事をいただけることはこの上ない幸せでございます。

 以前アンタレスSの時に執筆していた文章の引用としては「今年は、僕にぴったりの必殺馬券術とお嫁さんを見つけることが自身に課した目標」というものがあります。前者についてはあれから数ヶ月経った今でも年間回収率で100%超をキープできていることからも、自分に合った馬券術は見つけているし、現状機能していることが推察されます。もちろん今後更新されることはあると思いますが、その際はまた解説する機会を設けたいと思います。後者「ぴったりのお嫁さんを見つける」については難航しており、僕の婚期は引き続き出遅れています。馬券は百戦錬磨でも、恋愛は連戦連敗でお馴染みの僕が関屋記念と過去の恋愛について回顧していきます。

 今回のメニューはこちら

・得意レースということ
・出走馬の取捨
・昨年の失敗と今年の成功
・それでも反省
・あとがき

【得意レースということ】

 僕は関屋記念が得意だ。好きでもある。最後の晩餐には副菜として関屋記念を添えたいレベルだ。得意だから好きと言っても過言ではない。一昨年の本命ウインカーネリアンは1着、昨年は6番人気ラインベックに本命を打ち3着、今年は勝ち馬トゥードジボンに迷わず本命を打てた。

 正直ローテを読めていたので2ヶ月前から本命に近い印を打つことは決まっていた。なぜ得意と言えるのか。得意なレースとはなんなのか。良く当たるから得意なのか。少し深く掘っていきたい。皆さんは「得意なレース」はあるだろうか。またそのレースはなぜ得意なのだろうか。僕なりの考えをここに置いていく。

 1.攻略法がわかっている

 これはパッと考えつく定義だろう。僕たちのように毎年の予想内容と結果が保存されていく職業でなくても、なんとなく毎年攻略しやすいレースはあるのではないか。ただ、それは得意なのだろうか。みんながわかりきっている攻略法だとしたらそれは効力を発揮しない。例えばアイビスSDだとして「外枠有利」はもはや陳腐化した攻略法である。今でも期待値が取れている云々は置いておいて、それを知っているからといって得意とはならないだろう。

 2.独自の攻略法がある

 となると先述の攻略法に独自性を付与してみる。みんなが気づいていない攻略法を知っているとするならばそれは期待値がついてくるはずで、得意と言えるのではないか。通常より早く辿り着ける裏道はみんなが知らないから裏道なのであって、みんなが知っていたら大渋滞である。そうやって個性はいつか没個性となっていくのは世の常であるからして独自の攻略法もいつかは無くなるのだが。

 今回でいえば、「関屋記念が前有利なレースである」というのはどちらかといえば陳腐化した予想と言っても良いかもしれない。長い直線を意識して差し馬から入りたくなる心理を利用してこれまでは妙味を取れたが、流石に大衆が気づいてきた感がある。

 しかし、僕が掲げたのはそれプラス「米子Sとの連関」である。2ヶ月前から本命が決まりかけていたのは毎年米子S組が激走するのがこのレースだから。先述した僕の過去の本命は全て米子S組であり、今回対抗として配当を跳ね上げてくれたディオも米子S組である。

 なぜ競馬場もグレードも異なる米子Sと関屋記念が繋がっているのかという話は予想や動画で示しているため省かせていただくが、ここで大事なのは「独自」だということ。僕はお母さんに教わってこの理論を信じているわけではないし、ましてやXのタイムラインに流れてきたから感化されたわけでもない。僕の頭の中に小さな花が咲くようにふっと現れた考えだから独自なのである。トゥードジボンがここまで人気になるのは陳腐化した展開理論から必然ではあったが、ディオが穴馬に甘んじていたのは米子Sの有用性が認知されていないからだと推察している。

 米子Sと関屋記念の連関についてSNSで喧伝しているのは僕が確認している限りは僕だけであったことが今回の配当に繋がっていると考えている。僕の目に留まっていないだけ、という可能性はあるが僕の目に届いていない時点で情報社会の主流にはなっていないはずだ。人が見つけていないが、確かな結果を残している攻略法を見つけることは勝利に直結するのだ。

 つまり、得意かどうかは他者や社会との比較の中で説明できるものなのである。「天職とは?」という議論の現状の僕の考えも近いものがあるが、好きは前提として得意で尚且つ他の人ができないことまたは参入障壁が高いものであるとも定義できる。

 趣味は自由だが、得意というにはそれなりに他者比較での優位性が必要だ。「得意料理はカレーだよ」と彼女が言ってきた時には僕は次の誕生日にインド行きのフライトチケットを送ることだろう。一般的にインド人についてはあまり詳しくない僕でも、彼らの方がカレーについて造詣が深いだろうということは想像がつく。

【出走馬の取捨】

 攻略法があれば出走馬の取捨は大学生の頃に1回だけ行った単発バイトのように簡単である。

 1人気▲ジュンブロッサム

 高速馬場適性の高さと前走のパフォーマンスから1人気は納得。ポジションの怪しさから取りこぼすことが多い馬で1着で決め切るのは期待値がないが、好走率はそれなりに高そうなので3番手評価。切ってしまっていたとしてもそう間違いでもない。

 2人気△プレサージュリフト

 位置を取れる上に鞍上がルメ様ということで切るには怖いが、ここを取りに来ているとも考えづらく期待を全く持っていない馬。一応△を打ってしまったことが僕の弱さとルメ様の偉大さを表している。

 3人気◎トゥードジボン

 米子Sを勝利した時点でサマーマイル王者に王手をかけたと言ってもよく、ここはメイチでくることが予想される。関屋記念と相性がいい先行力を備えており、ほぼ本命一択。ただ、予想を出した時点から10倍近くオッズが落ちたことから関屋記念攻略法が陳腐化したことを痛感した。

 4人気ディスペランツァ

 3歳は51kgのプリモシーンしか勝利していないレースで先行力もないこの馬を買う理由がない。手前変換からしても右回りベターと見ておりまた今度。

 5人気△ロジリオン

 54kgで距離延長ならば位置を取れる可能性はあったし、追い切りも絶品。もう少し上の印も検討したが3歳で古馬重賞の目処も立てていないことから△で濁す。着差を考えれば重い印でも良かったし、NHKマイルC好走レベルの走力があれば関屋記念では可能性があることを再認識。

 8人気○ディオ

 米子S2着でサマーマイル王者も射程内。ただ、米子Sと同じようなラップを想定している限り斤量が縮まってもトゥードジボンを逆転することはなさそうな着差。逆転なくとも本命とセットで好走する可能性は非常に高そうで相手筆頭。

 上位3頭は印通りの決着で、完璧と言っても差し支えない結果。ルーブル美術館で見たモナ・リザ以来の完璧な構図であった。来年も同じ作戦で挑んでいくかもしれないが、動画で散々話したりここに記載したりした結果米子S狙いは独自性のないものになってしまうこともあるだろう。世間の風潮も見極めて攻略法を洗練させていきたい。

【昨年の失敗と今年の成功】

予想の頭脳

馬券について考える前の未熟な僕の予想である。


 ラインベックに本命を打ち、1着アヴェラーレを▲評価しておきながら払い戻しがないというのは恥ずべきことである。今更ながらこの馬券を見て僕は中学生の卒業アルバムを見た時のような羞恥心に駆られている。この時の僕は3連複フォーメーションがあれば世界は平和になると勘違いしていた。

 3連複フォーメーションを多用する人間は馬券で勝てないし、3連複フォーメーションが予算の半分以上を占める男は、服装の半分以上の面積を迷彩柄が占めるくらいモテない。軍人しかあり得ないファッションだ。3連複フォーメーションに故郷を破壊された、というような恨みがあるからこんなことを言っているのではなく、効率が悪いことに気づいたから確信を持って宣言しているのだ。その内容は前回のコラムを参考にされたい。

 ワイドを買うだけでプラスにできたはずの未熟な馬券を見ると、なぜかピンクの服ばかり着ていた中学生の頃を思い出す。

 今年は単勝、馬連、ワイド、3連複、3連単を全て的中させている。前提として予想がハマったこともあるが、僕の提唱する馬券ピラミッドがここまで綺麗に建立されることも珍しい。ギザのピラミッドの横にこの馬券を置いても初見の人は見分けがつかないくらいに完璧なピラミッド。3連系は予算の1/5程度で他は単勝と2連系で構成されている点がポイント高い。

「いやいや、3連系にもっと予算割いたら大儲けできたんちゃいますか!?」と無遠慮な関西人は僕に言うかもしれない。確かに自信があるなら3連単を厚めに買うこともできたかもしれない。それでもそうしないのは、僕は稀にたまたま大勝ちしたいのではなく、常に必然的に勝利したいのだ。今回も単勝、馬連、ワイドが取れれば目標の回収率は優に超える設定で馬券を組んでいる。3連はオマケでしかないのだ。

【それでも反省】

 ここからが本題である。ここまで胸焼けがするくらい自慢ばかりしてきたが、そんなものはどうでもいい。ハッキリ言ってどうでもいい。太平洋の遥か先にあるサモアの議会くらいどうでもいい。大事なのは成功の中の失敗だろう。「人が後世に残せるものは失敗しかない」とは誰の言葉かわからないが真理を突いている。成功譚は聞いていて耳触りが良いものだが、個人に転用できることは多くない。成功を約束するビジネス書や自己啓発本が溢れかえるこの世界で、成功者が溢れかえっていないのはその証左だろう。

 このコラムシリーズの根底を揺るがすようなことを記述して申し訳ないと思っているし、もしかしたらカットされているかもしれない。それでもウマい馬券を的中させた人間の回顧ほど無用なものはない。そんなものは的中した当日の酒のつまみにしかならない。

 僕が個人チャンネルで毎週お届けしている「馬券のツボ」というコーナーでは自慢や成果報告だけで終わることはほぼない。的中した馬券の中にある失敗を掘り起こして、次はどうすればもっと回収率を上げられるかを検討することにのみ意味がある。

 今回の馬券でいえば問題はやはりと言うべきか「3連複フォーメーション」である。的中しているだけあの日のカタストロフが繰り返されていないように見えるが、実は非効率な馬券だったのである。今回的中した3連複は50.5倍である。15点買って50倍だから、実質3倍程度である。ワイドが6.5倍と12.6倍だったことを思えば本当に点数の無駄遣いとしか言いようがない。もちろんそこまで読んでの上位のみの3連単追加購入でもあるのだが、この3連複という馬券単体で見れば無駄と言わざるを得ない。

 △の穴が来た時用の3連複であるのは前提としても、その「もしもの穴」が来る確率とワイドに振っていた分の配当を天秤にかけて長い目で見て考えていく必要がある。「もし穴が来ていたら高配当が期待できたんだから買っとく分には良いと思うんじゃが? そんなに自分を責めることはないぞよ」と穏健な老人は囁くかもしれない。それでも僕はこの3連複フォーメーションという火薬・羅針盤・活版印刷術以来の人類最大の発明が回収率を蝕んでいるのではないかと疑うことをやめられない。少なくとも今回は確実にその分の予算をワイドに振っておいた方が良策だったのだ。

 3連複フォーメーション。それは人類にとって希望か絶望か。その答えはまだ僕の中で出せそうにない。ただ、疑うことをやめたらその時点で身も心も3連複フォーメーションに支配されてしまうだろう。

【あとがき】

 人が後世に残せるものは失敗しかない。成功に目を向けることは気持ちがいいかもしれない。それでも本質は失敗の中にあると思っているし、失敗を積み重ねることで人は成長していく。成功を積み重ねても自意識が肥大化していくだけだ。少なくともその成功の中にある失敗に目を向ける必要がある。

 こんな目つきの悪い一人っ子であるところの僕にも数人お付き合いした女性がいる。控えめに言って美人ばかりであったし、世の中を色眼鏡をかけた上で万華鏡で覗いて見ているような捻くれた僕には不釣り合いな素直な心の持ち主ばかりだった。

 ただその都度お別れをしてきたわけだし、また僕を愛してくれる女性が現れる保証などないわけだから成功譚に縋りついても虚しいだけだ。僕は失敗の度に学習をしていく。大卒だからね。クリスマスと有馬記念が重なった時に彼女を放っておいて有馬記念に行くと機嫌を損ねるどころか別れる原因にもなると学習してからは一緒に有馬記念を楽しむことにしている。競馬のことばかり考えていてろくにデートもしないと彼女は愛されているのか不安になることを学んだから、たまには一緒に遠出をして新潟競馬場に赴くようなサービス精神も身につけた。一緒に住んでいてもコミュニケーション不足に陥りがちだから、週末にはその日のレース回顧を彼女相手に繰り広げたことも一度や二度ではない。

 やれやれ。何も学んでないじゃないか。僕は彼女を愛していたようで競馬を愛していたと思われても仕方がない。いつだって大事なところで言葉が足りないんだ。馬券に向き合えても、そばにいてくれる人に向き合えない。数万人に自分の予想が届いても、目の前の人に何も届いていない。

 恋愛は3連複フォーメーションみたいだ。何度失敗して、学んだと思っても振り返れば結局同じ失敗をしている。それでも去年より、ほんの少しでも成長していればいいと思う。馬券は100戦1勝では採算が取れないが、恋愛は99敗しても1勝すれば人生プラスなんだ。

 皆さんは失敗と向き合えているだろうか。年齢や環境、身の回りの人のせいにして「仕方ない」と諦めていないだろうか。または成功ばかりに目を向けていないだろうか。人の成功譚を見聞きして、自分も成功した気になったり、羨んだりして時間を浪費していないだろうか。自分の失敗と向き合って成長に繋げることはあなたにしかできないのだ。

「あなたが転んだことには関心はない。そこから立ち上がることに関心があるのだ」とはエイブラハム・リンカーンの名言だ。僕から言わせれば転んだことにも関心を持って欲しいし、心配して欲しい。どこで転んだか情報を共有して欲しいし、次に転ばないようにするにはどのような対策が必要か一緒に考えたい。立ち上がることにしか関心を持ってくれないリンカーンより僕の方が失敗に関心がありそうだが、とにかく「失敗を活かせよ」というステイトメントは共感できる。

 僕も偉そうに言える立場ではないのは重々承知だが、このような機会を頂いて改めて昨年の馬券を見ると確かな成長を実感できる。同じ印の打ち方でも今年の自分なら的中できただろう。成長できたのは「馬券が下手な自分」と向き合えたからで、失敗を繰り返してきたからだ。僕は今日も失敗した。ランチに何を食べようか迷いすぎて、気付けば14時半になって飲食店が閉まり始めてしまったことで選択肢の多くを失った。

 恥ずかしい話、これはほぼ毎日やっている。僕の脳と胃袋はねじれ国会となっていて議論の収集がつかない。何を食べるべきか考えすぎてランチタイムを逸してしまうのは数多くある僕の改善されない欠点の一つだ。それでも、毎日少しずつ気づいた失敗を直して成長していければいつか遠くに辿り着けると思う。次に彼女ができた時はクリスマスにイルミネーションを見に行くデートだってする予定だ。確か大井競馬場の東京メガイルミは有名だったはず。

「恋愛の頭脳」のコラムの執筆依頼と勘違いしているでお馴染みの僕の駄文はここらでお開きとしよう。誰にも読んでもらえる見込みのない文章でも、まだ見ぬ誰かの心に届いていれば僥倖だ。

(クロサキ)


今回解説の予想結果はこちら


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なぜあの馬に印を打てたのか。会心の勝利を収めたプロ予想家が、自身の的中を元にレースを振り返る予想力向上コラム。 関連サイト:ウマい馬券

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