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新潟2歳S制したトータルクラリティも該当 「ノーザンファーム×バゴ産駒」が好成績産む理由とは?

  • 2024年08月26日(月) 18時00分

血統で振り返る新潟2歳S


【Pick Up】トータルクラリティ:1着

 父バゴは現役時代に凱旋門賞を制覇し、種牡馬としてはクロノジェネシス(有馬記念、秋華賞、宝塚記念)、ビッグウィーク(菊花賞)、ステラヴェローチェ(神戸新聞杯、サウジアラビアRC)などを出しています。日本軽種馬協会が所有し、JRA出走馬のうち勝ち上がりは22%。この数字は決して高いとはいえません。今年の種付け料は受胎確認後100万円です。

 ただ、ノーザンファーム生産馬に限るとまったく違う様相となります。これまでに8頭出走して7頭が勝ち上がり、クロノジェネシス、ステラヴェローチェ、ブラックバゴ、そして本馬が重賞で活躍しています。ノーザンファームが生産したバゴ産駒は2歳戦で過去18戦し、9勝、2着4回、3着3回。勝率50.0%、連対率72.2%、複勝率88.9%、単勝回収率251%、複勝回収率186%という驚異的な成績です。

 本馬はクロノジェネシス、ステラヴェローチェと同じく、母方にサンデーサイレンスとミスタープロスペクターを併せ持ちます。バゴは欧州2400m型だけに、配合を考える際はスピードと瞬発力を足すのが正解で、アメリカ血統と相性良好です。ノーザンファームはそうしたタイプの繁殖牝馬を多数そろえており、それが優れた仔を連発している大きな理由といえるでしょう。

 とくに本馬とクロノジェネシスは、サンデーサイレンス、ミスタープロスペクターに加えて、フレンチデピュティを併せ持っているので、配合構成が酷似しています。2歳夏に重賞を勝ちましたが、基本的には成長力に恵まれた血統だけに、ここは通過点でしょう。

血統で振り返るキーンランドC


【Pick Up】サトノレーヴ:1着

 短距離重賞を3勝したハクサンムーンの半弟。父ロードカナロアと、母の父サクラバクシンオーは、いずれもわが国における歴代最強クラスのスプリンターです。そして、この2頭の組み合わせは近年最高のニックスのひとつでもあります。

 本馬のほかにファストフォース(高松宮記念、CBC賞)、テイエムトッキュウ(カペラS)、キルロード(高松宮記念-3着)、サンキューユウガ(CBC賞-2着)、キープカルム(京都新聞杯-5着)などが出ており、連対率34.9%、1走あたりの賞金額459万円は驚くべき数字です(ロードカナロア産駒全体の数値は連対率19.6%、1走あたり230万円)。また、これらの他に、「父ロードカナロア、2代母の父サクラバクシンオー」のキミワクイーン(函館スプリントS)も出ています。

「母の父サクラバクシンオー」は、活躍馬が牡馬に偏る傾向があり、「ロードカナロア×サクラバクシンオー」の組み合わせも同様です。牡馬は連対率39.8%、1走あたりの賞金額552万円。一方、牝馬は14.0%、65万円。成績に大きな差があります。POGや一口で狙い馬を探す際は気を付けたいファクターです。

知っておきたい! 血統表でよく見る名馬


【ヘネシー】

 ストームキャット系の土台を作った一頭。2歳時にホープフルS(米G1・ダ7ハロン)など3つの重賞を勝ち、2歳ナンバーワン決定戦のブリーダーズCジュヴェナイル(米G1・ダ8ハロン)はアンブライドルズソングのクビ差2着でした。

 パワー型のスピードを武器に種牡馬として成功し、ヨハネスブルグ、ヘニーヒューズという名種牡馬を出したほか、スペシャルデューティ(英1000ギニー、仏1000ギニー)のようにヨーロッパへ渡ってクラシックを制覇した馬もいます。浦河のイーストスタッドで1年だけリース供用され、サンライズバッカス(フェブラリーS)を出しました。

 産駒のヨハネスブルグは名種牡馬スキャットダディ(ジャスティファイ、カラヴァッジオ、ノーネイネヴァー、ミスターメロディなどの父)を出し、ヘニーヒューズはビホルダー、モーニン、アジアエクスプレスの父となりました。

 直系の曾孫のジャスティファイは名馬シティオブトロイ(英ダービー、エクリプスS、インターナショナルS)を出し、ヨーロッパの芝競馬で勢力を広げる兆しがあります。

血統に関する疑問にズバリ回答!


「今年の2歳新種牡馬のレベルは例年と比べてどうですか?」

 中央での勝ち星を見てみると、現在の順位は以下のとおり。

1位 アドマイヤマーズ  8勝(2着5回)
2位 サートゥルナーリア 8勝(2着3回)
3位 ナダル       4勝(2着5回)
4位 タワーオブロンドン 4勝(2着4回)
5位 モズアスコット   4勝(2着3回)

 トップはアドマイヤマーズとサートゥルナーリアが8勝で並んでおり、2着の数で前者が上となっています。ただ、賞金額では後者が上です。

 過去10年間、同時期(8月末時点)の新種牡馬成績を比べると、キズナ(19年)とスワーヴリチャード(23年)が1位タイで11勝。ジャスタウェイ(18年)とドゥラメンテ(20年)が3位タイで9勝。アドマイヤマーズとサートゥルナーリアはその次ですから、平均よりやや上ぐらいの成績で、十分合格点といえるものです。

14年 ハービンジャー   6勝(2着5回)
15年 ワークフォース   3勝(2着4回)
16年 アイルハヴアナザー 5勝(2着5回)
17年 ロードカナロア   7勝(2着7回)
18年 ジャスタウェイ   9勝(2着7回)
19年 キズナ       11勝(2着8回)
20年 ドゥラメンテ    9勝(2着7回)
21年 シルバーステート  7勝(2着6回)
22年 サトノクラウン   6勝(2着3回)
23年 スワーヴリチャード 11勝(2着8回)

 ちなみに、2010年に41勝を挙げたディープインパクトは、この時期まだ6勝でした。種牡馬ランキングの上位を賑わすような種牡馬は、この時期までは抑え気味で、9月以降にグンと伸びてきます。繁殖牝馬の質と量に恵まれたサートゥルナーリアはそんな気配が漂います。

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netkeibaでもおなじみの血統評論家・栗山求氏が血統の面白さを初心者にもわかりやすくレクチャー。前週の振り返りや、週末行われるレースの血統的推し馬、豆知識などを通して解説していきます。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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