▲ドウデュースを担当するNFしがらき・日高裕貴厩舎長(左)と前川和也助手(右)の対談は後編!(撮影:桂伸也)
レースでの優等生ぶりから一転、普段は大食いキャラなドウデュース。夏休みを過ごすノーザンファームしがらきで担当する日高裕貴厩舎長と、トレセンで担当する前川和也調教助手との対談・前編では、タフな凱旋門賞の直後にも食欲が落ちなかったことが明かされました。
後編では、類稀なスピードについて騎乗者ならではの感覚、そして悪天候の日や早朝に垣間見られる精神力の強さに迫ります。
(取材・構成:大恵陽子)
「チーターみたい」これまで乗った中で断トツのスピード
――3歳秋のフランス遠征には日高厩舎長も行かれたんですか?
日高 1週間、凱旋門賞まで一緒に行かせていただきました。なるべく邪魔しないようにしていたんですけど、レース当日の馬装前に曳かせていただきました。「いやいやいや、そんな無理でしょう」と思ったんですけど、前川さんが「一緒にやろう」と言ってくださったんです。僕と前川さんが喋りながらドウデュースを曳いている後ろ姿を撮ってもらった写真があって、宝物ですね。
前川 それ、俺もらってへん(笑)。どうせならパドックも曳いたらよかったのに、と思います。
日高 一世一代の場面で、そんなことをさせてくれる人って、なかなかいないです。パドックも「お願いします」と言ったらたぶん曳かせてくださったと思うんですけど、本当にすごい方だなと思いました。ドウデュースは前川さんのそういう部分に救われている点もあると思います。
――いいゆとりがありそうです。担当者と馬って、似てくるものですか?
前川 僕もう47歳やのに、中1と一緒にせんとって(笑)。
日高 影響はしてくると思います。じゃなきゃ、僕たちが仕事している意味がないところもあるじゃないですか。
前川 それは絶対。似てくるというか、その人がやったらそういう馬になるよな、みたいなのが多いかなと思います。
日高 NFしがらきに帰ってきたドウデュースを見ると、前川さんから愛されているんだなと思います。だから、ずっと人に対して敵意を抱くこともないのだろうな、と。
▲日高厩舎長から見たドウデュースは「前川さんから愛されているんだなと」(撮影:下野雄規)
前川 いろんな人に触ってもらうのが一番だと思います。人それぞれいろんなやり方があると思うけど、たくさんの人が触ると馬も落ち着くし、慣れてくると思います。追い切りでは道中キョロキョロしながら走っているのに、直線を向いて手前を替えたらチーターみたいに沈んでいくスピード感とか、本当はいろんな人に感じてもらいたいなと思います。
日高 僕も坂路下で乗り替わって、みんなに乗ってもらいたいです。何かあってはいけないので、なかなかそうもいかないんですけど、3F40秒くらいで坂路を上がる時の感覚はドウデュースくらいしかないんですよね。一気にギアがスポーンッて上がっていきます。馬が軽くて、人間のバランスを感じてビューンと行って、舌鼓とかステッキとか使おうものならどこまでも行きそうです。
「僕たちがドウデュースの手のひらで転がされているのかも(笑)」
――ドウデュースの可愛いポイントは?