▲昔はムチを左右1本ずつ持って乗っていた…!?(撮影:稲葉訓也)
先週末は、誕生日に引っ越しと大忙しだった小牧騎手。誕生日も「疲れすぎて、食事に行っただけ」とのことで、かなりハードな週末だったようです。なにしろ、ナイターの最終レースまで騎乗し、翌日は明け方から調教、さらに休む間もなく引っ越しの準備ですから、さすがの鉄人もぐったり!? 今回は、そんな週末のお話と、2つのユーザー質問に答えていただきました。
(取材・構成=不破由妃子)
「僕以外にも2本持ちのジョッキーはいたし、なんせ流行りやった」
──先週の土曜日は小牧さんの誕生日、日曜日は独身寮から社宅へのお引越し。慌ただしい週末だったのでは?
小牧 土曜日から滋賀に帰って、今週は日曜日が全休日だったので、丸一日かけての引っ越しでした。一応運び終わったけど、まだ全然片付いてない状況やね。大変やね、引っ越しって(苦笑)。まぁこれから徐々に片付けていきますわ。
──土曜日は誕生日パーティー?
小牧 いや、何もしてないよ。みんなで食事に行ったくらい。とにかく引っ越しの準備が大変やったから、それどころじゃなかった。それに、前の日はナイターやったでしょう。これがまたけっこうハードで…。先週の金曜日は12R(20時30分発走)まで乗っていたし、そのあとご飯を食べたりなんやかんやしていたら、寝るのは11時くらいになるからね。
──で、翌日の土曜日は、いつも通り調教があると。
小牧 そう。前の日がナイターであっても、普通に3時、4時から調教がある。それが終わればゆっくりできるけど、どうにも疲れが積み重なってくるからね。僕が園田にいた頃はナイターがなかったから、このスケジュールにはなかなか慣れんね。
──そんなハードな金曜日ですが、先週はメインをファッシネイトパイで勝利。
小牧 僕が乗って重賞(3月28日・ネクストスター西日本)を勝ったリケアサブルがいたから、まさか勝てるとは思ってなかったよ。リケアサブルは、ちょっと距離が長かったのかな。
──同日6Rのエナノキセキは、中央からの転籍初戦で圧勝でしたね。
小牧 うん。今は中央から転籍してきた未勝利馬ばっかりや。走らせてみないことにはどれが強いかわからんけど、初戦で結果を出せてよかったです。
──では、ユーザーからの質問を。「小牧騎手は昔の園田時代、ムチを左右1本ずつ持ってレースに乗っていたと聞いたことがありますが、本当ですか? もし事実なら、その理由も教えてほしいです」。
小牧 本当です。フラフラする馬は、ムチを持ち替える暇がないくらいフラフラするから。ムチを持ち替えるときにハミが外れたりする恐れがあるんやけど、左右で持っていれば、フラフラせんようにできるから。ムチを打ったら逃げる馬がいるでしょう。そういう馬に乗っているときに持ち替えていたら、そのぶん一完歩空いてしまうことになる。でも、2本持っていたら、逃げる隙を与えずに済むから。
──馬に乗ったことがないのでわからないんですけど、想像するに、2本持ちでレースに乗るのはものすごく高度な技術のような…。
小牧 いや、簡単です。簡単というかね、片手でお尻を叩くのではなくて、見せムチと肩ムチだけやから。要するに、手綱を離さないということ。手綱を離すから馬がフラつくのであって、離さないままでも肩ムチは叩けるからね。だからいいんですわ。
──ムチっていろんな使い方があって、馬の顔の横にムチを持って行くことで、「これ以上は行ってはいけないよ」という壁の役割もするとか。
小牧 そうそう。だからその役目で2本持ってたんですわ。それもひとつの見せムチやね。今はもう誰もやっていないけど、2本持ちは便利で楽なんですわ。
──ルール上、大丈夫なんですか?
小牧 今はJRAもNARもダメなんじゃないかな。昔は…、どうなんやろ? 20年以上前の話やからね。僕以外にも2本持ちのジョッキーはいたし、なんせ流行りやった。
──では、最後の質問です。「どんなきっかけでヨガトレーニングを松山弘平騎手とやり始めたんですか?」。少し前になりますが、松山騎手のインスタに小牧さんとの2ショットが上がっていましたね。あれ、ヨガのスタジオですよね?
小牧 そうやね。僕はもう10年以上ヨガをやっているけど、松山はだいぶ後からやで。
──最初のきっかけは、小牧さんが誘ったんですか?
小牧 いや、違うよ。近くのスーパー銭湯のなかにヨガスタジオがあったから、あのあたりの人はみんな知ってた。コロナの前は、ほかのジョッキーもきていたしね。だから、松山も知っていたやろうし、たまたま何度か一緒になっただけ。僕は今日も新しく会員になったヨガスタジオに行ってきたよ。
──続いてますねぇ。ピラティスもやろうかなと言ってませんでした?
小牧 ピラティスも行ってる。普段伸ばさないようなところを伸ばすから、まぁきついわ。トランポリンのスタジオも何度か行ったんやけど、足がどうにも疲れるので、トランポリンはもういいかな(苦笑)。
(文中敬称略)