▲北沢伸也元騎手(左)と一緒に障害練習の手伝いをする雄造騎手(右)(提供:白浜由紀子)
障害ジョッキーの白浜雄造騎手の奥様が、一昨年の夏の落馬から復帰を目指して奮闘する夫と家族のリアルな姿を描く連載コラム。
鬼娘からの喝を受け、生活リズムも徐々に整ってきた雄造騎手。その頃、先輩騎手や調教師の先生から「箱番(障害練習の手伝い)」をしてみてはどうかと提案があり、トレセンへ向かうことに。
周囲の温かいサポートにより、騎手復帰への思いが再燃します──。
「厩舎スタッフを目指そうと思う」と言った気持ちは一体どこに…?
自宅での自主リハビリ生活は、一歩進んで二歩下がるというような状態でしたが、状況は少しずつ好転していました。
スケジュール表に書かれている7時起床を守れるようになり、朝食を摂るようになったことで、1日1食だった食事が1日2食に。そして昼寝をすることがなくなり、生活リズムが徐々に整ってきているようでした。
この頃、超一流の先輩騎手や調教師の先生から、
「乗馬苑でリハビリをする前にトレセンに顔を出して、障害練習の手伝い、箱番をしてみたら? 家に籠っていてもいいことないよ。トレセンに来て馬を見たほうが脳に刺激が入るんじゃない? ずっと家にいるのは夫婦にとってもよくないんじゃない? 俺だってずっと家にいたら奥さんに嫌な顔されちゃうよ(笑)」
と、アドバイスをもらったそう。想像するに、冗談を交えながら、夫が聞き入れやすい空気を作ってくれたのでしょう。
※箱番・・・馬が障害を練習するために箱や棒を騎手の指示に従って馬場に置く作業。練習中の馬が障害を蹴ってしまったときなどは元の場所に設置し直す。
夫は憧れの大先輩たちが自分のことを気にかけてくれたことが嬉しかったようで、「箱番に行こうと思う!」とやる気に満ちた表情で報告をしてくれました。
障害騎手のみなさんも快諾してくださり、こうして箱番へ行くことが決まりました。