こちらのコラムでは、俺プロ出身の奇才・のれん氏が当週の重賞注目馬を公開。ただ強いというだけでなく、馬券で期待値がとれそうな「妙味ある馬」を紹介していただきます。
今週のれん氏が注目したのは、中山競馬場で行われるスプリンターズS(GI)。実力派の見解を、ぜひ予想の参考にお役立てください!
スタートの出来が勝敗を大きく分ける
開幕週から紫苑Sで1.56.6のレコードが出たように絶好の馬場状態で開幕した中山芝コース。今週が開催最終週となるが依然馬場の状態は絶好で、Cコース替わりだった先週のカンナSでは2歳馬がロードカナロアのレコードに0.5秒差に迫る1.07.2のタイムを叩き出した。
毎年内枠有利と言われるスプリンターズSだが、今年は例年よりさらに良い馬場状態で行われるのは確実。更にビクターザウィナーにピューロマジックと抜群にテンが速い馬が2頭いて、ピューロマジック陣営は兼ねてから他に行ってくれる馬がいるなら控えたいという意思を示していることから、おそらくそんなに争いなく隊列が決まるのではないか。
そうなればそんなに速いペースにはならないので前の馬が有利になり、逃げ馬の後ろのポジションを取りやすい内枠の有利は揺るがないだろう。更に1200mという短距離なこともありスタートの出来が勝敗を大きく分ける為、ゲート後入れの偶数枠が過去9年で8勝と好成績であることも留意したい。
もう一つ付け加えると、今年は特別登録段階で牡・セン馬が12頭枠に入りそう。これは過去10年で見ても2014年と並んで最多。函館スプリントSの当コラムでも書いたが、芝1200mの上級条件で牡馬の高齢馬は過小評価されがちで、当レースの過去成績を見ても複勝率ではほぼ横並びだが複勝回収率は年齢で嫌われる分か高くなっていく。
この要因は主に二つあると考えていて、一つは日本競馬の根幹は芝2400mの日本ダービーであることから、生産する時点でそれを目標にされることが多いし、能力のある牡馬は基本的に距離を持たせるように調教される為。それによって実は短い距離への適性があった馬でも使い出しが遅れることが多く、2年前に7歳にしてこのレースを制したジャンダルムなどはその典型例といえる。
そしてもう一つは、直仔で芝1200mGIを複数勝利したのが牝馬のビリーヴだけと短距離適性が高くないサンデーサイレンスの血を持った馬が殆どを占める中で、牡馬に関しては年齢を重ねて緩さが抜けて筋肉が硬くなって短距離適性が高くなる馬が多い為。サンデーは持っていないがロードカナロア産駒もそういった傾向があるように感じていて、産駒全体で見ても晩成傾向なのはそこにも一因があるのでは。
牡・セン馬で6歳以上に限ると香港勢とウイングレイテスト、ヴェントヴォーチェが出走予定。さすがに1年半ぶりのヴェントヴォーチェは厳しそうだが、それ以外の馬は大いにチャンスがありそうだ。