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馬に親しむ日や展覧会など JRAの楽しいイベントに参加してきました!

  • 2024年10月01日(火) 12時00分
 さーあ、はじまるぞ! 秋競馬。

 菊花賞トライアル・神戸新聞杯が中京競馬場で開催され、メイショウタバル号が見事に勝ち星を挙げました。ひと夏越して馬体とともに、精神面の成長ぶりが大きかったですね。逃げて結果を出すのはとっても難しいことですが、馬の持つ力を十分に発揮。馬なりでハナへ行き、折り合いを欠くことなくレースを進めた騎手の手腕が見事でした。

 まだまだ成長する馬だというコメントもあって、10月20日の菊花賞が楽しみですね。いつも丁寧に仕上げてくださる石橋調教師に期待しましょう。石橋厩舎、関係者の皆様おめでとうございます。一回りも二回りも成長した馬たちの活躍が今からワクワクですね。

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 今月は沢山のイベントがあり、参加したときの様子をお伝えします。改めて馬を大切にしている人と馬たちの関わりを知ることができるJRAのイベントに参加できて良かったです。色んな場所で開催されているので、ファンの皆様も是非参加してみてください。

 まずは日本中央競馬会の設立70周年記念展覧会が、京都の高島屋で開催されていたので見に行ってきました。歴史や名馬たちに関する展示は、見ごたえ十分でした。ディープインパクトやイクイノックスがレースで使用したゼッケンの展示や、ワックン(和田竜二騎手)が騎乗したテイエムオペラオーのパネルもあり、久しぶりに見ることができて嬉しかったです。

 一番感動したのが白毛のロボット馬でした。本物そっくりで目がクリクリしていて、いななきも可愛い! 耳もしっぽも動くようになっていて、馬体も白く人気者です。皆さん写真をいっぱい撮っていて、僕もその一人でした。

日々是好日

▲とってもリアルで可愛かった馬ロボ


 70周年記念のイベントやトークショーは、豪華なメンバーが揃っていました。馬も騎手も馬主も、それらを支える厩務員さんたちなど、沢山の人が集まっての人馬一体なんだと改めて感じました。

 9月23日には、5年ぶりに栗東トレーニング・センター乗馬苑にて「馬に親しむ日2024」が開催されました。馬とのふれあいやトレーニング・センターで働く人たちの仕事、馬にとって必要な蹄鉄、馬運車などが様々なアクティビティを通じて紹介されていました。

 福島県の伝統芸能である相馬野馬追は、競走馬とは違った装いで迫力ある戦いぶりを見せてくれて、目の前で見ると勢いを感じました。競馬学校時代に見学に行ったこともあり、沢山の馬がいて迫力が凄かったことも思い出しました。

日々是好日

▲甲冑など競馬とは違った装いで行われる相馬野馬追


 催しものが盛り沢山で何から話そうかなと迷います。福永祐一調教師のトークショーに大勢の人が早くから座って待っていて、僕も隅っこの方で待っていると、僕の現役時代を知っている方がおられました。

「常石騎手ですよね。」「はい! いやー元ね(苦笑)」「是非ここへ座ってください」と快く席を譲ってくれて感謝します。「福永調教師さんのトークショーだから.福永先生気づくかな? 気づいてくれたらいいですね」「昨日勝ってるからおめでとうと声かけなくては」と話しました。20年経った今でも僕を覚えていて応援してくれる方がいてくださるのは、感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとうございます。

 小堺翔太さんの司会で第一部が始まりました。

日々是好日

▲トークショーに登場した福永祐一調教師と松山弘平騎手


小堺 競馬に興味を持たれたのはいつ頃ですか?

福永 父の洋一が有名な騎手でしたが、全く興味がなくてサッカーをずっとやっていました。小・中学時代はサッカーが面白かったですが、ぎりぎりレギュラーになれるかなれないかぐらいだったので、何かで一番になりたいと思う気持ちがありました。

 実家の向かいに武豊騎手の実家があり、華々しい活躍をされていたので、競馬ムードが高まったのもありました。武豊騎手のお父さんと、僕の父は同じ時代に活躍していたこともあり、自分にもチャンスがあるんじゃないかと思いましたね(笑)。ゲームでダービースタリオンはやっていました。

松山 学生時代は勉強ができなくて嫌いでした。父から勉強しないなら騎手になったらいいよと言われ、勉強しなくてもいいんだと思いました(笑)。それがきっかけで乗馬を始めると、馬に乗るのがとっても面白くて楽しかったんです。それでジョッキーになれるんだと思いましたが、甘かったですね。見事に競馬学校の試験に落ちて、それから必死に勉強して、騎手になることができました。皆さんは乗馬も勉強もしてくださいね。

小堺 福永さんも松山さんも、競馬の世界に入ったのは意外な理由があったんですね。福永さんは今調教師として活躍されていますが、いかがですか?

福永 調教師の仕事は、馬主さんが購入した馬を預からせていただいたり、引き継いだ馬を預かったり、自厩舎で馬を育てるなど色々ありますが、馬のことをしっかり理解して育てることが大切だと思っています。

 プレッシャーもありますが、やりがいがある仕事です。1頭1頭をしっかり見極めることや、馬と絆を深めることも大切だと思っています。毎日が楽しいです。自分一人ではなく、チームで沢山の人が関わっていて、馬が生まれたときから関わりを持てることにやりがいを感じています。

小堺 松山さんは騎手としてのこだわりは何ですか?

松山 まず怪我だけは気をつけたいなと思います。見た目では馬のことは理解できないので、深く付き合うことでよく理解して、馬とのコミュニケーションがとれると良いレースができると考えています。10万人以上いる観客の前で、騎手にしか味わえない感動と歓声を感じるときは、騎手で良かったなと思いますね。

福永 そうだよね、あの歓声を浴びたときは最高だよね。怪我のリスクは大きいので、普段から鍛えている騎手が多いです。

小堺 騎手だけではなく、関係者の皆さんも怪我のないようにお気をつけてください。騎手は体内時計が大事と聞きますが、15-15の1ハロン200mを一定のペースで走らせることが特に大切らしいですね。そこで今日はお二人に体内時計チャレンジで対決していただきたいと思います!

福永 自分は現役ではないので無理かな?

松山 もし僕が勝ったら福永厩舎の馬に乗せてくださいね。

福永 わかった。

小堺 どちらからされますか?

福永 じゃ自分から…よーいスタート。 タイムは14.83!

松山 では僕も。タイムは15.15。

小堺 ハナ差で松山さんの勝利ですね。

福永 これで安心して騎乗依頼できますね(笑)

松山 ありがとうございます、よかった。

小堺 最後にファンの方へメッセージと、馬に携わる仕事を目指す子供たちにエールをお願いします。

福永 自分みたいに競馬に興味を持つのが遅くても、小さい体だからできましたし、競技人口も少ないのでチャンスは沢山あります。身体の特徴を生かせるやりがいのある仕事だと思います。競馬の世界で輝きたいという気持ちを持ってもらえるなら、是非チャレンジしてもらいたいです。馬の世界に入るのは、奥深くて面白いと思います。

松山 騎手だけじゃなく馬に携わる仕事は、沢山あります。馬に少しでも興味があれば、この世界に足を踏み入れてみるのは面白いと思います。今日のイベントを通して、少しでも興味を持って頂けたら嬉しいです。これからも応援してください。

 僕も体が小さくて進学に悩んでいた時、兄から背が高い俺にはできないが、勝義にぴったりの仕事がある。騎手になったらいいわとアドバイスをもらいました。乗馬の経験が全くなくて入った競馬学校は、とても厳しかったですが、馬に乗れるようになってくると、面白くて楽しかったです。

 騎手としてデビューできたとき、多くのファンの前で初勝利したときの感動は、今でも僕の記憶にはっきり残っています。

 障がい者になりましたが、やっぱり馬に乗れることが、僕の生きる原動力になっています。健常者の方も何らかの理由で障がい者になった方も、馬と触れ合うことで心も体も癒されて絆ができると思います。セラピー乗馬もありますからね。

 馬に親しむ日のイベントはまだまだあり、岩田望来騎手と団野大成騎手による体内時計チャレンジや、バランスボールの上での体幹対決も、流石アスリートだと思いました。

 他にも東京乗馬クラブの子供たちが、軽乗実演の演技を披露していました。速脚で走る馬の上で、倒立や後ろ向きに乗るなど、人馬一体の迫力ある演技を見せてくれました。子供の頃から馬と触れ合い競技にチャレンジするのは、体幹で覚えて柔軟な体で騎乗できるので素晴らしいと思います。

日々是好日

▲子供たちが披露してくれた軽乗実演の様子


 僕が乗馬の大会でドイツへ行くようになっていつも目にするのが、3歳くらいの子供が馬と一緒に寝転んで昼寝などをする光景です。乗馬クラブから学校へ行き、スクールバスで乗馬クラブに戻り、1日を馬と過ごしています。初めて見たときは驚きましたが、さすが乗馬大国だとおもいました。

 トークショーの2部では、鮫島克駿騎手、田口貫太騎手、永島まなみ騎手などフレッシュな若手の話が満載だったようです。まなみ騎手や角田大和騎手、レジェンド熊沢元騎手、福永調教師とも写真を撮っていただき、ファンとして楽しんだイベントでした。

 10月25日から27日まで全日本パラ馬術大会がJRA馬事公苑で開催されます。チャレンジャーで挑みます。

日々是好日

▲角田大和騎手との2ショット!


オカン 何年ぶりかに競馬関係者の方々と会い、ずっと笑顔の息子を見ていると、元騎手というよりすっかりファンの姿になっていました。こんな時間やふれあいが大切なんだと思います。

 障がい者乗馬の大会という、次のステージへ進むエネルギーになるんだと感じました。自分と同じ障がいがある人に自分にもできるかも、やりたいと思ってもらえるといいな、と言いながら馬に乗り続けています。

 乗馬は、動物と一体になって戦う唯一の競技だから魅力がある。言葉を発さない馬の気持ちはわからないが、大きな目を見ていると気持ちが通じて、馬体の温もりも心地よく、馬から離れられないんだよなとぽつりとつぶやく。自由気ままに馬と付き合う日々がまだまだ続きそうだなと諦めるが、馬以外の友達も見つけてほしいと願うオカンです。

 つねかつこと常石勝義&オカン

(文中敬称略、次回の更新は11/1(金)を予定しています)

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1977年8月2日生まれ、大阪府出身。96年3月にJRAで騎手デビュー。「花の12期生」福永祐一、和田竜二らが同期。同月10日タニノレセプションで初勝利を挙げ、デビュー5か月で12勝をマーク。しかし同年8月の落馬事故で意識不明に。その後奇跡的な回復で復帰し、03年には中山GJでGI制覇(ビッグテースト)。 04年8月28日の豊国JS(小倉)で再び落馬。復帰を目指してリハビリを行っていたが、07年2月28日付で引退。現在は栗東トレセンを中心に取材活動を行っている。

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