
20万超えの払い戻し
『ウマい馬券』で活躍するプロ予想家たちが、会心の的中を振り返る「予想の頭脳」。今回取りあげるのは、ローズステークスを的中させた「小栗紀明」氏。波乱となった一戦を、どのようなアプローチで攻略したのか……。本人自ら綴っていただきました!
対象レース:
2024年9月15日(日)中京11R ローズS netkeiba公認プロ予想家として活動しております小栗紀明と申します。9月15日に行われたローズSの的中につきましてお声かけいただきましたので、予想の過程からレース後の感想まで書かせていただきます。先月のエルムSに続いての掲載となりますので、前回と合わせて読んでいただけるとさらにお役に立てるのではと思います。皆様の参考になれば幸いです。

「小栗紀明」氏
■メンバーの印象
クイーンズウォーク(出走馬の中ではオークス最先着で4着)とレガレイラ(ホープフルS1着、日本ダービー5着)の実績が断然。クイーンS、紫苑S、京成杯AHの結果からも、春の時点ですでに実績があった馬はこの秋も順調で、少なくともクイーンズウォークとレガレイラの2頭が共倒れになる可能性はかなり低いと考えられる状況でした。とはいえ、2頭とも好走したとしても馬券圏内にはまだ一席残されています。2強以外をいかに抜擢するかがポイントになりそうだというのが、メンバーを見た段階での印象でした。
■予想のプロセス
予想をする上でふだんから意識していることはエルムSの記事でも書いた3項目ですが、今回はこの中でもとくに穴馬としてセキトバイーストを抜擢できたことが最大のポイントだと思いますので、穴馬の見つけ方について詳しく書いていこうと思います。
狙うべき穴馬の条件は、
1.近走は力を出し切れていない
2.今回は条件が好転している
3.オッズ妙味がある
です。条件が揃うほど狙い目となります。セキトバイーストは、1、2、3すべてが揃っていて絶好の狙い目でした。
1.展開不利ながら人気以上に走った最近2走
当時の見解と重複するのでここには詳しくは書きませんが、展開が向かないながら人気以上に走った桜花賞とチューリップ賞は、着順以上に高く評価できるものでした。
2.スローペースになりそうなメンバーと、土曜日の結果から考えられる馬場状態
強力な逃げ馬は不在で、距離延長のセキトバイーストがおそらくスピードの違いで無理なくハナへ行けそうでした。レガレイラは後方、クイーンズウォークも2-3列目あたりに控えて深追いしてこないと考えられたので、今回は展開に恵まれる可能性はかなり高いと予想できました。
また、前日土曜のメインは同じ中京芝2000mのケフェウスSでしたが、ここで3着に逃げ粘ったのが単勝288倍11頭立て11番人気のベラジオソノダラブ。ケフェウスSでも予想を配信していたのですが、さすがにこれは拾えず◎→△→無印→○(クビ差…)で悔しい結果に。
しかし、「不的中のレースにこそ学びあり」です。このレースで「人気薄でも展開に恵まれれば十分に逃げ残れる馬場」ということが確認できました。しかも、日曜の馬場は雨で渋りそう。実績的にも血統的にもセキトバイーストには向きそうで、展開も馬場も条件好転と言える状況でした。
3.クイーンズウォーク、タガノエルピーダとの対戦比較
単純な比較ですが、セキトバイーストはチューリップ賞ではタガノエルピーダに、桜花賞ではクイーンズウォークに先着しています。着順はそのときどきの状況にも影響を受けますので必ずしも「先着している=強い」ではありませんが、上記1、2を考えればセキトバイーストには今回は上積みが考えられます。上位人気馬2頭に先着した実績があり、そのときよりも条件が好転しているのに11番人気。まさに人気の盲点でした。
距離がもつかどうかはなんとも言えませんでしたが、狙える条件がこれだけ揃っていれば狙わない手はありません。不安材料には目をつぶって、あとは祈るのみ!
■買い目の意図
◎→○▲のワイド
セキトバイーストさえ好走すればまず的中するだろうという馬券です。意味合い的には「複勝の延長」です。
<複勝1点4000円と、ワイド2点各2000円の払戻比較>※最終オッズ
◎複勝 5.5~11.6倍 4000円→22000~46400円
◎→○ワイド 21.6~25.7倍 2000円→43200~51400円
◎→▲ワイド 14.8~17.4倍 2000円→29600~34800円
的中率にほぼ差がない(=○▲のどちらかは好走する)という前提であれば、複勝よりもリターンが大きくなる可能性の高いワイド2点を選ぶべきです(ワイドならダブル的中もある)。事前にここまで正確にオッズを読むことはできませんが、券種の違いによる的中率とリターンの比較はつねに意識すべきでしょう。
◎→○▲→▲△△…の3連複フォーメーション
これは「ワイド◎→○▲の延長」です。前回のエルムSの記事でも複数券種を買うことの重要性を書きましたが、今回はワイドを「守り」の馬券とすれば、3連複は○▲のどちらかが馬券圏外に崩れたときに配当が跳ねるのを期待した「攻め」の馬券です。とくにレガレイラには「外から差してきたが届かず」のリスクが考えられたので、この馬券を狙う価値はありました。レガレイラとは反対のタイプである「内枠でうまく立ち回れそうな馬」を中心に△☆印を回しました。
◎単勝
単勝50倍以上の馬が勝つのを狙うのは再現性の点から本来は非推奨ですが、逃げ馬ならハマるときはハマります。今回は不的中でしたが、◎が勝ったのに何も的中していないという事態を防ぐために押さえました。
■レースの印象とレース後の感想
初角までにセキトバイーストが無理なくハナを奪った時点でほぼ予想どおり。あとはただ見守るのみという心境でした。この日は東京競馬場のターフビジョンで見ていたのですが、最後の直線はさすがに「そのまま!」と声が出ました。馬の走っていない競馬場にはあまり行くことがなく、今回は5年ぶりくらいだったのですが、最高の日曜日になりました。
■最後に
穴馬の見つけ方についていろいろと書いてきましたが、違う角度からも最後にもうひとつ。上記のとおり、前日のケフェウスSでは悔しい不的中があったのですが、そういう結果に直面したときに「これはムリ!」と思考停止してしまうか、「悔しい!」と熱くなって冷静さを欠いてしまうか、それとも「逃げ残り、狙えるぞ!」と次に生かすか。どう考えるのがよいのかは明白だと思います。そういった、予想への向き合い方も今回お伝えしたかったことのひとつです。これからもいい予想をできるように、引き続き研鑽していきます。最後までお読みいただき、ありがとうございました。
(小栗紀明)
今回解説の予想結果は
こちら。