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【木幡初也騎手】シンリョクカの強みは“センスの良さ” チーム一丸!エリザベス女王杯でGI初制覇を

  • 2024年11月04日(月) 18時01分
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▲エリザベス女王杯に出走予定のシンリョクカに騎乗する木幡初也騎手(撮影:小金井邦祥)


エリザベス女王杯に参戦するシンリョクカと木幡初也騎手。前走の新潟記念では、人馬共に重賞初制覇を果たし、所属する竹内正洋厩舎と由井健太郎オーナーにとっても嬉しい初タイトル獲得となりました。

今回は、木幡初也騎手に意気込みや、よく知るパートナーの成長について質問。実は、新潟記念前はいつもと違う様子だったそうで…? 「元気のいい子なんです」と表現する素顔もお話しいただきました!

(取材・文:和久時秋)

シンリョクカの性格は?「お嬢様というか…」


──牡馬相手の新潟記念で人馬ともに重賞初制覇、振り返っていかがですか。

木幡初 競馬自体はイメージしていた通りでしたね。レース前は逃げ馬のアリスヴェリテがどれくらい行くのかを読みにくかったのですが、きれいな逃げをしてくれたので、こちらも競馬を組み立てやすかったです。シンリョクカの長所は自在性や器用なところ。スタートも速くて、上手に立ち回れるセンスの良さが一番の強みなので、シンリョクカの良さを生かせる競馬ができたのが結果につながったのだと思います。

──最後は接戦でした。

木幡初 最後はもう「頑張れ!」って。めいっぱい檄を送っていたのですが、シンリョクカもそれに応えて頑張ってくれました。

──新潟記念時の状態はどうでしたか。

木幡初 故障(キ甲部分の骨折)明けで、 悪くはないかなという感じでしたね。ただ、いつもは少しうるさいところがある馬なんですけど、新潟記念前は「おとなしすぎるかも」と感じていました。前走のアクシデントを引きずっちゃっているのかな、とかナイーブになっちゃっているのかなって…。

 馬は繊細な生き物ですし、特にシンリョクカは女の子なので、そういうことで全然走らなくなってしまう。そういう競走馬はたくさん見てきたので心配していたのですが、ちゃんと結果を出してくれて、自分の不安だけで済んでよかったと思いますね。

──どの段階で安心したのでしょうか。


木幡初 そこはやっぱり走り切ってみないとわからないですよね。竹内先生とは「おとなしすぎる。扱いやすくはなっているけど、レースでどうなんだろうね」のような会話をしていました。レース前におとなしいから走るとも限らないですし、いつもの感じと違うことがどう出るのかは走らせてみないと分からなかったです。

──レースでは今まで通りのシンリョクカでした。

木幡初 そうですね。スタートしてからは上手に立ち回って、馬の持ち味である、タフさと粘り強さを生かせる競馬に持ち込めました。結果的にいつもと変わらず、競馬で戦える状態だったのでしょうね。

──所属する竹内厩舎、由井オーナーにとっても初めての重賞タイトルになりました。

木幡初 大変お世話になっているオーナーですし、僕がケガから復帰した時もユイノマチブセで勝たせてもらいました。よくお食事にも誘ってくれたり、いつも気にかけてもらったりしています。もちろん竹内先生にもすごくお世話になっています。もう感謝しかないので、僕はそれに応えられるように仕事をするのみですね。

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▲チームシンリョクカで掴んだ新潟記念のタイトル(撮影:小金井邦祥)


──竹内調教師から学んでいることなどはありますか。

木幡初 調教や馬の作り方、馬に対しての接し方や考え方など、多くのことをお互いに意見交換し合える、いい関係性でやらせていただいています。すごくありがたいことだと思いますし、話し合いながら仕事をより良い方向に持って行き、それで馬が走れば双方にとってもメリットしかないですからね。すごく恵まれた環境で仕事ができています。

──シンリョクカの調教はほとんど竹内調教師と初也騎手が騎乗していますが、最も成長したと感じる部分はどこですか。

木幡初 精神面ですね。超抜に脚を使えるようになったとか目に見えてわかるような、わかりやすい成長の仕方ではないです。確かに若い頃と比べたら体はひと回り大きくなっているんですけど、タフさだったり、粘り強さとか精神力だったりが成長している部分だと感じます。これは乗っている人しか感じられない部分なんですけど、中身が入ってきたみたいな…。

──デビュー当初はまだ中身が入ってなかったのでしょうか。

木幡初 最初の段階からすごくポテンシャルのある子だったんですけど、中身がしっかりしてきたことで、走っている時の安定感も増してきた感じです。昔はモタれるところが少しあったのですが、そういう面も抜けてきています。

──全休日明けの火曜などは、調教終わりに馬場から帰ってくるときにかっ飛びながら戻ってくるイメージがありました。

木幡初 それはいまだにやったりしますね(笑)。元気のいい子なんです。それもあの子の良さだと思っています。

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▲元気いっぱいな普段も「あの子の良さだと思っています」(c)netkeiba


──馬房や調教で見る普段のシンリョクカの様子はどんな馬ですか。

木幡初 馬房の中では結構きつめの性格です。知っている顔が近づくと、耳を絞って「私の周りに来ないで」みたいな顔をしますよ。馬房の中に入りきっちゃえば大丈夫なんですけど。若い頃は他馬を蹴りにいくほどでした。品のある、いい顔をしているんですけど、お嬢様というか、我が強い性格。良く言えば自分をしっかりと持っている子です。

──ちなみに普段はシンリョクカのことをどう呼んでいますか。愛称などはあるのでしょうか。

木幡初 愛称はないですね。「シンちゃん」でもないし、「リョクカちゃん」でもない(笑)。みんなでシンリョクカって呼んでいます。

──この中間、前走後の様子はどうですか。

木幡初 順調です。牧場からフレッシュな状態で戻ってきました。新潟記念の前は「あれ、おとなしすぎる」と感じさせたんですけど、この子らしい気の強い面も出しています。休み明けだとかっ飛んでいくところとかも含めて、いつも通りのシンリョクカに戻ったという感じで、逆に安心しますね。馬も久々に勝ったことで、レースに対してもポジティブに感じてくれているのだと思います。

──最後にエリザベス女王杯への意気込みをお願いします。

木幡初 新潟記念を勝った後も順調に来ています。馬も自信がついていると思いますし、舞台も去年(0秒5差の9着)に経験しているので、距離も守備範囲内。あとはこの子の器用なところとセンスの良さを発揮させてあげたいですね。メンバーも強くなって簡単にはいかないでしょうが、それでもチャンスがあると思っています。ライバルにリスペクトを持ちながら、足をすくうような競馬ができればいいですね。
(文中敬称略)

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ジョッキーや調教師など、毎週“旬”な競馬関係者にインタビュー。netkeiba特派員がジョッキーや調教師、厩舎スタッフなど、いま最も旬な競馬関係者を直撃。ホースマンの勝負師としての信念から、人気ジョッキーのプライベートまで、ここだけで見せてくれる素顔をお届けします!

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