C.デムーロ騎手のエスコートで完勝
エリザベス女王杯を制したスタニングローズ(c)netkeiba
3歳時に秋華賞快勝のあと、再三の馬体調整の放牧と、4歳春からは脚部不安の10カ月半に及ぶ長期休養をはさみながら、6連敗もしていた5歳スタニングローズ(父キングカメハメハ)が復活した。ディープインパクトの最終世代(ジャパンC出走予定のオーギュストロダン)も素晴らしいが、キングカメハメハの最終世代もすごい。
7月末の「クイーンS」を6着して復調の手応えを確かなものにすると、3カ月半の短期放牧の調整を経て、今回は短期免許のC.デムーロ騎手にチェンジ。スムーズに好位の外で流れに乗ると、最後の直線を向いて早くも先頭。2着以下を2馬身も封じる完勝だった。C.デムーロ騎手の会心の騎乗もあるが、「59秒6-(12秒5)-59秒0」=2分11秒1は、京都2200mで行われたエリザベス女王杯のレースレコード(2001年トゥザヴィクトリーの2分11秒2)を0秒1更新する鮮やかな内容で、GI馬の底力を示した。
母ローザブランカ(父クロフネ)はエリザベス女王杯不出走だが、祖母ローズバド(父サンデーサイレンス)は、エリザベス女王杯「2着、8着、5着」馬。3代母ロゼカラー(父Shirley Heights シャーリーハイツ)は3歳以上になった初年度1996年のエリザベス女王杯の「13着」馬。スタニングローズはすでに秋華賞を制してはいるが、ファミリー念願のエリザベス女王杯制覇だった。
2着ラヴェル(父キタサンブラック)は、外枠と、2歳秋の「アルテミスS」のあと9連敗もしていたので12番人気にとどまったが、リバティアイランドのオークス4着馬。こちらも秋になって調子を上げてきたところで川田将雅騎手。道中は断然人気のレガレイラ(父スワーヴリチャード)と同じようなポジションにいて、4コーナーから馬群の外に回ったのが大正解。久しぶりに能力全開となった。半姉ナミュール(父ハービンジャー)も昨秋、大仕事をしたGI馬。今週の「マイルCS」には、C.デムーロが騎乗する予定だ。
一度馬群に沈みそうになりながらゴール寸前に盛り返して3着したホールネス(父Lope de Vega ロペデヴェガ)は、勝ったスタニングローズと同じように再三の休養期間を取りつつ今回が7戦目。エース級と対戦するのは初めてだから、今回の好走には着順以上の価値がある。父の産駒はここまで繁殖牝馬が少数輸入されているだけだが、ホールネスは大柄でも動きが柔らかい。さらに上昇する。
人気のレガレイラは、今回は無難なスタート。道中の位置取りもほぼ予定通りだったと思われるが、4コーナーで外にスペースがない位置に入っていた。手応えが悪かったわけではないが、インを狙う形になったのが不覚(不運)。広い京都コースながら他にもインに進路を取った馬がいた。結果、シンティレーション(父ロードカナロア)、少し鈍りかけていたハーパー(父ハーツクライ)の間に突っ込む形になって接触、自身もスムーズなスパートができなかった(C.ルメール騎手には珍しい乱暴な騎乗となって過怠金5万円)。レガレイラは春シーズンからこれで4連敗。決して大きく負けているわけではないが、勝負に必要な運に見放されているように映った。
今度は巻き返したい好気配のハーパーも、不利があったのは確かだが、「ずっと内にささって、まともに走れなかった(武豊騎手)」とのコメントがあったように、不利がなくても伸びる脚さばきではなかった印象がある。最後はもう止めていたが、これで2ケタ着順4回連続。今回は精神的にもダメージを負ったはずなので、立て直しには時間を要する心配がある。
4番人気のシンティレーションは接触の不利が大きすぎた。寄られて必死に進路変更すると、悪いことにすぐ前に馬がいた。
伏兵ライラック(父オルフェーヴル)と、サリエラ(父ディープインパクト)の上がりはともに最速の33秒9となったが、レース上がりが「11秒7-11秒1–11秒6」=34秒4。脚さばきの鈍ったライバルがいない流れが厳しかった。