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【マイルCS】ソウルラッシュが念願のGI初制覇 当レース史上3頭目の記録も樹立

  • 2024年11月18日(月) 18時00分

若手騎手の活躍に広がる未来


重賞レース回顧

マイルCSを制したソウルラッシュ(c)netkeiba


 単勝4番人気のソウルラッシュ(父ルーラーシップ)が、GIマイルCS三度目の挑戦(22年4着、23年2着、24年1着)で念願の頂点に立った。

 三度目の挑戦で勝利を得たのは、8歳牡馬カンパニー(07年5着、08年4着、09年1着)、6歳牡馬ダノンシャーク(12年6着、13年3着、14年1着)につづいて3頭目のこと。その2頭と同じように着実に成長をつづけて着順を上げてのタイトル獲得だった。

 スピード能力を中心に展開する頂点のマイル戦は、3、4、5歳のチャンピオンが圧倒的に多いが、今年の6歳馬ソウルラッシュは「22年1分32秒8→23年1分32秒5→24年1分32秒0」。年ごとにタイムを短縮しての完勝だからすばらしい快挙だ。

 ベテラン6歳ソウルラッシュの鞍上は喜びを爆発させた若い団野大成騎手(24)。7番人気で2着に押し上げたエルトンバローズ(父ディープブリランテ)のジョッキーは西村淳也騎手(25)。今年、将来を嘱望される若い騎手の悲しい引退が連続していたなかで、ベテラン騎手の見慣れた勝利騎手インタビューも悪くはないが、満面の笑顔の若いジョッキーのコメントには輝いて広がる未来があった。

 ソウルラッシュはすでに選出されている香港マイル(12月8日)が待っている。昨年は4着だった。鞍上は香港なのでJ.モレイラ騎手になる可能性もあるが、団野大成騎手=ソウルラッシュのコンビは【2-1-0-0】。継続騎乗があるはずだ。

 1番人気で2着争いに加わって4着だったブレイディヴェーグ(父ロードカナロア)以外の上位馬は、みんな外枠の馬ばかり。良馬場でも馬場の内側はかなり荒れていたので、なかなか外に出せなかった2番枠のブレイディヴェーグには不利な枠順と馬場コンディションだった。初めて連対を外すことになったが、1分32秒4で乗り切ったのだから、マイル戦もまったく心配ない。脚部難や骨折を克服してこれで7戦【4-2-0-1】。今後、体調に合わせて選択できるレースの幅が広がった。心持ち細く映ったので、この後は間隔を空けるかもしれない。

 2着エルトンバローズは、無理に先行しなかったのが大正解の好騎乗。外枠も大半の馬が内を空ける進路をとったので、コースロスにならなかった。意識的に中団の外に控えて差す形での快走は一歩前進。タフな成長力が真価のアンティックヴァリューのファミリー。陣営も「勝ちにも等しい内容だった(杉山晴紀調教師)」と納得。まだ4歳だけに一段のスケールアップに期待できる。

 3着ウインマーベル(父アイルハヴアナザー)は、今回の馬場にしてはちょっときつい前半1000m通過57秒5で逃げたバルサムノート(父モーリス)を早めに追撃しなければならない展開。後半3ハロン「11秒6-11秒4-11秒5」=34秒5の決着になったハイレベルなので、実際にはベストのスパートだったが、今回が初のマイル戦とあって寸前に少しだけ甘くなった。しかし、あの中身は立派だ。

 外国馬チャリン(父ダークエンジェル)は落ち着き払った好気配。迫力ある馬体は今回の馬場向きだったが、欧州タイプに良くあるようにスタートダッシュ一歩。前半に思うような位置が取れなかった。直線大外に回って上がり33秒6(ソウルラッシュと同じ2位タイ)で伸びたが、あの位置は本来の戦法ではなく置かれたのが痛かった。

 2番人気のナミュール(父ハービンジャー)は、ピカピカに映る素晴らしい仕上がり。連覇の可能性十分と思えたが、途中でインにスペースが空きすぎて、昨年とは違って早めに3コーナーから進出する形になってしまった。直線に向いて「トモがしっかり入ってこなくなったので、止めました(C.デムーロ騎手)」のが敗因。故障ではないと思われる。

 C.デムーロ騎手は三度目の騎乗であり、決して途中から無理に行かせたわけではなかったが、前が空いて思いがけなくスルスル進出できる展開になり4コーナー6番手。追い込むナミュール本来のリズムが崩れたのかもしれない。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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