世紀の一戦ジャパンC、GI芝2400m。外国馬の三銃士を含むGI馬10頭という強豪ぞろいのジャパンカップは見ごたえと迫力が満点で、ドキドキが収まりませんでした。
ゴール板目の前での競り合いに「いけ! いけ! よっしゃー!」とTVの前で叫んでいました。スローペースの中、ドウデュース号の癖を充分掴み、動きたくなるペースをコントロールしながら、一瞬にしてハナに立つ豪脚は最高でした。
覚悟を決めて握りしめた手綱を緩め、豊騎手が「この馬なら何とか持ってくれる、持ってくれると思っていた、能力は並の馬ではない」と話したドウデュースをトップスピードに乗せて追い込む。世界中に強さを見せつけたレースでした。
調教後「スピード違反で捕まるわ」とのコメントに「えっ豊騎手が?」と驚き、よくよくコメントをしっかり見ると、ドウデュースの調教タイムのことでした。豊騎手の洒落たトークはいつもながら最高ですね。
ドウデュース号おめでとうございます。関係者や陣営の皆様もおめでとうございます。表彰式の時にも、豊騎手の洒落たトークが爆発。イチローさんの背番号51に合わせて、ドウデュースの馬体重も510kgだったという偶然も凄いです。勝つべくして勝ったレースだったような気がしますね。
豊騎手は、体の柔軟性が優れていて、若い人たちにもまだまだ負けない体力を維持しています。僕も同じジムに行かせてもらっていますが、豊騎手のトレーニングメニューには、到底追いつきません。トレーナーも年齢を感じさせない動きをしているといつも言っていて、僕にもう少し頑張れと気合を入れてくれます。刺激100%です!
黄綬褒章の受章もおめでとうございます。競馬が愛されて盛り上がり、スポーツとして親しまれたからでしょうね。
ほんの少し残念だったシンエンペラー号は、海外帰りにもかかわらずパワーあるレースで見応えがありました。さすがという感じがしました。この悔しさをばねに次のレースでは更に爆発させてください。楽しみにしています。
GIシーズンが始まり、京都開催のエリザベス女王杯とマイルCSは現地で観戦しました。ソウルラッシュ号の強さは圧巻でした。団野騎手と池江厩舎、陣営の皆様おめでとうございます。
団野騎手は、ゴール板手前のガッツポーズに「あれはあかんよ」と池江調教師から指摘されてぺこり。何ともほっこりした瞬間で、嬉しさが爆発した気持ちが伝わりました。僕も実はこの経験があります。中山グランドJを勝ったとき、ほんの少しゴール板手前でガッツポーズをしてしまい、お叱りを受けました。でも、最高のガッツポーズでしたよ。あの瞬間は何度でも味わいたいです。馬と騎手の皆様が無事にレースを終わることを願いながら、一丸となって競馬を盛り上げていきましょう。
エリザベス女王杯では、パリオリンピックで銅メダルを獲った初老ジャパンの皆さんが勢ぞろいで、レース前の誘導をしてくれて圧巻でした。カッコイイですという声援も飛び交っていましたよ。
▲誘導馬に騎乗する初老ジャパン
その後僕にも「諦めずに乗ることが一番だよ、がんばって!」とアドバイスもしてくれました。勇気の出る一言に感謝です。やっぱりかっこいいですね。
僕がお世話になった京都大学附属病院のリハビリの先生方から、高次脳機能患者にとって競馬場はリハビリする場所としてとてもいい環境だと聞きました。記憶障害・遂行障害などに良い刺激になるそうです。自分で枠色と番号を選んで購入し、結果も短時間で確認することができ、ワクワクや残念でガックリするなど刺激が大きいといいます。
記憶障害には即結果を確認できることが良かったり、先を見通すことが難しい遂行障害にとって、馬券を買ったりレースを見ることは豊かな経験になります。また、大勢の人の中で自分の居場所を確認することの大切さがわかることも良いそうです。だから、競馬は性別や年齢関係なく、喜怒哀楽を楽しめるのだと思います。皆さんもぜひ一緒に競馬を楽しみましょう。
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私は、「第4回認知症メモリーウォーク」“共に生き共に歩もう認知症”というイベントに参加しました。
▲認知症に関するイベントに参加!
高次脳機能障害とよく似た症状が出る認知症の理解と社会啓発を目的に、滋賀県大津市で行われたウォーキングのイベントです。
こんな大会があるのは知らなかったのですが、元調教助手の柳井さんが色々な活動をされています。僕の先輩で元騎手である植野調教助手も自転車隊として安全確保のために懸命に活動していて、やっぱり先輩方の活躍はすごいなーと尊敬です。
イベントは大津駅から大津の古い街並みや商店街を見ながら、ゆっくり3キロのコースを歩きます。歩くことで気分もリラックスし、身体全体を動かすので会話も弾みました。
▲参加者の皆さんとウォーキング
僕は1年前まで歩行が困難で、杖をついて歩くことができるようになった方のサポートを依頼されましたが、しっかり自分で歩かれて楽しんでいて、交流出来た事が嬉しかったです。サポーターの方たちも安全を確保してくださったり、県知事の励ましの手紙もあり、議員さんも応援に駆けつけてくれて、イベントは和やかに終了しました。
自分のことだけではなく、色んな病気などを持つ人たちが交流し助け合う交流会やイベントにも参加したいと思っています。多くの人の話を聞くことで、エネルギーを貰って強くなれます。「仲間がいる」事に安心することができるんですね。ぜひみんな集まろー! です。
滋賀県に住んで20年近くになりますが、大津の街を歩くことなんてないので、発見が沢山ありました。商店街の中央くらいには、坂本龍馬さんの奥様の実家がありました。古いお漬物屋さんもあって、奈良漬けではなく長良漬けだと教えてもらいました。宮内庁にも納めているそうで、一度食べてみたいと思います。(おかん買ってね)
ウォーキング中なのでまた今度。僕も落馬して20年になる節目でパラ馬術大会時の写真や海外遠征時の経験した写真などを展示した「活きる証し展」を、栗東市小野自然観察の森の向井側「santai137」カフェで12月14日まで開催しています。
栗東トレーニングセンターから近い場所です。是非覗いてみてください。
▲現在開催中の「活きる証し展」
パラ馬術を通して、体験したことや海外遠征に一人で参加できたことはでっかい宝物です。この経験を一人でも多くの人に伝えて、ちょっと病気があるけど自分にもできるかな? と思う人に、馬の魅力を伝えていきたいと思っています。ぜひ一緒に始めませんか? チャレンジャーになりましょう。
オカン 認知症メモリーウォークに参加させていただき、互いを思いやる気持ちに感動しました。お天気も良くて心も体も心地よかったです。こんな経験をさせていただくことで、ついつい自己中になる息子が、人を思いやれるように成長してくれることを願います。写真展を開催することで、落馬の苦労はありましたが、多くの人に支えられやりがいや楽しみを見つけられた息子は、誰よりも馬に愛されていると実感しました。馬に恩返ししてくださいね、期待しています。
(文中敬称略、次回の更新は1月を予定しています)