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香港国際競走は史上屈指のハイレベルな戦いに 現在のブックメーカーオッズは?

  • 2024年12月04日(水) 12時00分

日本馬は4つのレースに計9頭参戦予定


 距離の異なる4つのカードが組まれた「香港国際競走」が、今週日曜日(12月8日)にシャティン競馬場で行われる。

 ヨーロッパ各国、オーストラリア、アメリカ、そして日本から強豪が参戦。地元・香港にも精鋭が顔を揃え、香港国際競走史上でも屈指と言える、ハイレベルな戦いが展開されそうだ。

 ブックメーカーのオッズを見ると、4競走のうち2つは香港調教馬が1番人気で、残る2競走においては日本調教馬が1番人気に推されている。

 オープニングカードとなる香港ヴァーズ(芝2400m)。ここは、この路線の総本山ともいうべきヨーロッパから、大挙6頭がエントリーしている。そこには、G1・4勝に加え、昨年のG1香港カップ(芝2000m)でロマンチックウォリアーの短アタマ差2着に入り、シャティン適性を実証済みのルクセンブルク(牡5、父キャメロット)や、昨年のG1英セントレジャー(芝14F115y)勝ち馬コンティニュアス(牡4、父ハーツクライ)といったビッグネームも含まれている。

 だが、ブックメーカーが上位人気に推しているのは、彼らではない。オッズ4.0〜4.5倍の1番人気に推されているのは日本調教馬のステレンボッシュ(牝3、父エピファネイア)で、ほとんど差のないオッズで2番手評価を受けているのは、オーストラリアから参戦のウィズアウトアファイト(セン7、父テオフィロ)なのである。

 英国を拠点に17戦し、G3シルヴァーC(芝13F188y)を含む7勝を挙げた後、22/23年シーズンから豪州を拠点としているのがウィズアウトアファイトだ。23/24年シーズン前半に、G1コーフィールドC(芝2400m)、G1メルボルンC(芝3200m)を連覇する快挙を達成。その後は1年にわたった休養があり、復帰戦となったのが11月9日にフレミントン競馬場で行われたG1豪チャンピオンズS(芝2000m)で、ここで女傑ヴィアシスティーナから7.1/2馬身遅れの3着に入っての参戦となっている。

 続く香港スプリント(芝1200m)は、短距離王国の香港に出現した新怪物と言われるカーインライジング(セン4、父シャムエクスプレス)が、オッズ1.2〜1.36倍という、圧倒的1番人気に推されている。近年も、18年のホットキングプローン、22年のラッキースワイネスなど、日の出の勢いで躍進してきた若手スプリンターが、ここで躓くという場面を何度か見てきたが、今年のカーインライジングは別格のようだ。

 続く香港マイル(芝1600m)は、ひとケタ台のオッズに5〜6頭がひしめきあう混戦となっている。そんな中、4.0〜5.5倍のオッズで頭半分ほど抜けた1番人気に推されているのが、日本調教馬のソウルラッシュ(牡6)だ。

 昨年のこのレースの2着馬で、地元の前哨戦となるG2ジョッキークラブマイル(芝1600m)を制しての参戦となるヴォイッジバブル(セン6、父ディープフィールド)が5.5〜6.0倍、日本調教馬のジャンタルマンタル(牡3、父パレスマリス)が5.5〜7.0倍、3馬身差で制したG1モーリスドゲスト賞(芝1300m)を含めて3重賞を制している仏国調教馬ラザット(セン3、父テリトリーズ)が6.0〜8.0倍、G1トゥーラックH(芝1600m)など3重賞を制している豪州調教馬アンティノ(セン6、父レッドウッド)が6.0〜9.0倍、重賞3勝馬で、前哨戦のG2ジョッキークラブマイルが3着だった地元の新興勢力ギャラクシーパッチ(セン5、父ワンドジーナ)が6.0〜11倍と、差のないオッズで続いている。

 メイン競走となる香港C(芝2000m)は、このレース3連覇を狙う香港の英雄ロマンチックウォリアー(セン6、父アクラメーション)が、オッズ1.44〜1.53倍で、図抜けた1番人気に推されている。同馬にとってはアウェイだった6月のG1安田記念(芝1600m)を勝ち切った姿を目の当たりにした者としては、ホームでこの馬を負かすのは至難の業と思わざるをえない。

 戦わずして白旗をあげる気は毛頭ないが、客観的に見て、スプリントとカップは分の悪い戦いを強いられそうである。日本陣営としては、マイルとヴァーズをものにして、香港との対戦成績を五分に持ち込みたいところである。

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1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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