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欧州のセリで歴史的高値を記録 3歳のG1馬2頭が繁殖牝馬セールに上場

  • 2024年12月11日(水) 12時00分

購買価格は日本円で9億超えも


 12月2日から5日までイギリスのニューマーケットで、12月7日から10日までフランスのドーヴィルで、それぞれの国を代表する繁殖牝馬セールが開催され、いずこにおいても、記録的高値で購買される牝馬が出現した。

 イギリスで開催された「タタソールズ・ディセンバーセール牝馬セッション」のハイライトは、開催2日目となった3日(火曜日)の夜に訪れた。

 上場番号1753番として登場したのが、今年のG1愛オークス(芝12F)勝ち馬ユーゴットトゥミー(牝3、父ナサニエル)だ。G1愛オークスを制した後には、G1ヨークシャーオークス(芝11F188y)に挑み、G1英チャンピオンズフィリーズ&メアズS(芝11F211y)やG1コロネーションC(芝12F6y)を制している古馬のエミリーアップジョンらに先着し、2着に入っている。

 母ブラッシングはLRゴルトレスS(芝11F188y)勝ち馬と、血統的バックボーンもしっかりしている同馬は、購買者の意向によって、来年も現役で走らせてもよし、引退させて来年春に種付けしてもよし、という条件での上場だった。

 オープニングビッドが100万ギニーで、そこからスタートしたバトルは、ニューセルズ・パーク・スタッドのグラハム・スミス・バーナル氏、米国人馬主ジョン・サイクス氏、アモ・レーシング社のキア・ジューラブシャン氏による三つ巴の争いとなり、最終的にはジューラブシャン氏が480万ギニー、日本円にしておよそ9億7655万円で購買することになった。

 今年10月のタタソールズ・オクトーバー・イヤリングセール・ブック1でも、父フランケルの牝馬をセッション最高価格の440万ギニーで購買するなど、このところ欧州競走馬市場における台風の目となっているのが、アモ・レーシングだ。

 サッカーの大物選手の代理人を次々と務め、財をなしたのがジューラブシャン氏で、競馬の世界には2016年頃から参画。ギリシャにおける海運業の大立て者で、キリシャやイギリスでサッカーチームを保有するエヴァンゲロス・マリナキス氏を財政的な後ろ盾として得た今年、競馬と生産の組織を急拡大させている。

 今季限りで引退した伯楽サー・マイケル・スタウトの拠点だったフリーメイソン・ロッジ・ステーブルスを買い取ったのも、アモ・レーシングと言われている。

 ユーゴットトゥミーの今後について、購買後にジューラブシャン氏は、今季も同馬を管理したラルフ・ベケット調教師のもとに留まり、来季も現役を続行する意向を表明している。

 一方、フランスで開催された「アルカナ・ディセンバー・ミックスセール」のハイライトは、開催初日の7日(土曜日)の夕刻に訪れた。

 上場番号200番として登場したのが、今年のG1仏オークス(芝2100m)勝ち馬スパークリングプレンティ(牝3、父キングマン)だった。

 母スペラリータが、フランスとアメリカで6つのG1を制したスタセリタの半妹にあたり、したがって、日本のチャンピオンホース・ソウルスターリングとも従姉妹同士となる同馬。購買したのはクールモアスタッドのM.V.マグナー氏とそのパートナーたちの代理人を務めたオーシアナ・ブラッドストック社のミッシェル・ゼロロ氏で、価格の500万ユーロ(およそ8億115万円)は、ドーヴィルセールにおける歴代最高価格だった。

 購買後にマグナー氏は、クールモアが新たに組むことになったパートナーとの共同購買だったことを明かした一方、パートナーが誰であるかは公表しなかった。

 また、今季は仏国のパトリス・コティエ師が管理した同馬が、来季は米国のチャド・ブラウン厩舎に移籍することを発表。現役続行を基本線としながら、同馬にクールモア・アメリカで供用中のジャスティファイを交配するプランも明らかにしている。

 いずれも、まだ走る姿を見ることができそうなユーゴットトゥミーとスパークリングプレンティが、2025年にどのようなパフォーマンスを見せるかに注目したい。

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1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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