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【有馬記念 AI予想】レースの傾向からも魅力十分! AIの注目馬は素直に信頼して良さそう

  • 2024年12月16日(月) 18時00分

単勝オッズ9.1倍(5番人気)のアドマイヤズームが優勝(c)netkeiba


netkeibaにある膨大な競走成績を人工知能によって機械学習するAiエスケープを開発したAIマスター・Mと、レースデータの分析を専門とする競馬評論家・伊吹雅也による今週末のメインレース展望。コンピュータの“脳”が導き出した注目馬の期待度を、人間の“脳”がさまざまな角度からチェックする。
(文・構成=伊吹雅也)

二桁人気クラスの伏兵が馬券に絡んだ例はほとんどない


AIマスターM(以下、M) 先週は朝日杯FSが行われ、単勝オッズ9.1倍(5番人気)のアドマイヤズームが優勝を果たしました。

伊吹 陣営はもちろん、鞍上の川田将雅騎手にとっても会心の勝利だったのではないでしょうか。好スタートを決めて先行争いに加わりましたが、先手を主張するような素振りは見せず、内のダイシンラー(4着)を先に行かせて2番手のポジションを確保。3コーナーから4コーナーにかけても隊列に大きな変化はなく、ダイシンラーに並びかけながらゴール前の直線へ入りました。そのまま早めに抜け出し、終盤は後続の追撃を受けて立つ展開に。

 先団からミュージアムマイル(2着)が、中団からランスオブカオス(3着)が伸びてきたものの、差を詰めるまでには至らず、結局ミュージアムマイルに対して2馬身半のリードを保ったまま入線しました。展開に恵まれた面もあるとはいえ、まったく付け入る隙のないレース運びでしたから、この着差は額面通りに評価して良いはず。お見事と言うほかありませんね。

M アドマイヤズームは重賞初挑戦の身でGIタイトルを獲得。11月10日の京都3R(2歳未勝利・京都芝1600m内)で初勝利をマークしたばかりの馬です。

伊吹 前回の当コラムで「同年10月以降に芝のレースで“着順が1着、かつ上がり3ハロンタイム順位が2位以内”となった経験のない馬は不振」という傾向を紹介したように、もともとこの朝日杯FSは、暑い時期から結果を残してきた実績馬よりも、涼しくなってからのレースで良いパフォーマンスを見せた馬に注目するべき一戦。実際、今年も11月以降のレースを勝っていた4頭のうち3頭が1着から3着までを占めました。もっとも、アドマイヤズームは新馬と未勝利しか経験していなかったうえ、京都芝1600m外のレースを使うのも今回が初めて。さまざまな不利をはね除けてみせた、非常に価値の高い勝利だと思います。

M 今後もかなりの注目を集めることになるでしょうね。

伊吹 母のダイワズームは現役時代にスイートピーSなどを勝っており、半兄のヴィアメント・ダノンブレットはそれぞれJRAで4勝をマーク。1歳時のセレクトセールでは1億2650万円(税込み)の値が付きました。来春はNHKマイルCを目指すようですが、母や上の戦績を見る限りだと、もう少し長い距離も難なくこなせそう。オッズや成長ぶりも加味しながら狙い時を見極めていきたいです。

M 今週の日曜中山メインレースは、現役屈指のスターホースが一堂に会する暮れの大一番、有馬記念。昨年は単勝オッズ5.2倍(2番人気)のドウデュースが優勝を果たしました。ちなみに、その2023年は単勝オッズ8.6倍(7番人気)のスターズオンアースが2着、単勝オッズ8.3倍(6番人気)のタイトルホルダーが3着となり、3連単の配当は4万2110円。どちらかと言うと堅く収まりがちなイメージがあります。


伊吹 現在のところ、有馬記念で3連単の配当が10万円を超えたのは2015年(12万5870円)が最後。2016年以降の過去8年に限ると、3連単の配当は平均値が2万7670円、中央値が2万5190円です。


M ただ、過去10年の単勝人気順別成績を見ると、人気薄の馬が上位に食い込んだ例も決して少なくありません。

伊吹 より実態に即した区切り方をすると、単勝4番人気から単勝9番人気の馬は2014年以降[2-6-4-48](3着内率20.0%)、単勝10番人気以下の馬は2014年以降[0-1-0-69](3着内率1.4%)となっていました。単勝10番人気以下だったにもかかわらず3着以内となったのは、2020年2着のサラキア(単勝11番人気)のみ。手頃な伏兵であれば積極的に狙って良いと思うのですが、超人気薄の馬はほとんど馬券に絡めていないので、手を広げ過ぎてしまわないよう心掛けるべきでしょう。

M そんな有馬記念でAiエスケープが指名した特別登録時点の注目馬は、アーバンシックです。

伊吹 ある意味、意外なところを挙げてきましたね。今年のメンバー構成なら、かなりの支持が集まるはず。

M アーバンシックは3歳馬。クラシック最終戦の前走、菊花賞でGI初制覇を果たしています。2走前のセントライト記念を完勝しているうえ、春の皐月賞でも小差の4着に健闘していましたから、コース替わりはまったく問題なさそう。もともと中心視するつもりだったという方も多いのではないでしょうか。

伊吹 どちらかと言えば穴党であるAiエスケープがこの馬を推奨してきたということは、手頃な伏兵が見当たらなかったのかも。今年は堅く収まる可能性が高いと見ておくべきかもしれませんね。この見立てを踏まえたうえで、私はレースの傾向からアーバンシックの信頼度を見積もっていきたいと思います。

M 真っ先に注目しておくべきポイントはどのあたりですか?

伊吹 まずはこれまでの実績を素直に評価したいところ。過去8年の3着以内馬24頭中20頭は、前年か同年にJRAのGIを勝っている馬でした。


M これはわかりやすい。GI未勝利馬は強調できませんね。

伊吹 まだビッグレースを勝ち切ったことがない馬はもちろん、今年で言うところのシャフリヤールやスターズオンアースのような、しばらく惜敗が続いているGIウイナーも扱いに注意するべきでしょう。

M 先程も触れた通り、アーバンシックは前走の菊花賞を快勝している馬。この条件は問題なくクリアしています。

伊吹 あとは臨戦過程も見逃せないファクターのひとつ。前走の条件がGI以外だった馬は2016年以降[0-0-0-26](3着内率0.0%)と上位に食い込めていませんし、前走が国内のGIだった馬に限ると、大敗直後の馬も安定感を欠いていました。


M なるほど。前走好走馬を重視した方が良さそうですね。

伊吹 今年はこの条件に引っ掛かっている馬が多いので、しっかりチェックしておきましょう。

M GIを勝った直後のアーバンシックにとっては心強い傾向。高く評価して良いのではないかと思います。

伊吹 さらに、同じく2016年以降は、キャリア13戦以上の馬がやや苦戦していました。


M どちらかと言えばキャリアの浅い馬が優勢、と。

伊吹 ちなみに、出走数が13戦以上だった馬のうち、父にディープインパクト系種牡馬を持つ馬は2016年以降[0-2-0-17](3着内率10.5%)、父にミスタープロスペクター系種牡馬を持つ馬は2016年以降[0-0-1-23](3着内率4.2%)、父にステイゴールド系種牡馬を持つ馬は2016年以降[0-0-0-15](3着内率0.0%)、父にノーザンダンサー系種牡馬を持つ馬は2016年以降[0-0-0-8](3着内率0.0%)。いずれの父系も、近年の有馬記念とはあまり相性が良くないようです。

M アーバンシックはキャリア7戦。なお、父のスワーヴリチャードは先程名前の挙がった4父系に属していません。レースの傾向からも強調できる一頭ということになりますね。

伊吹 もともと私も、この馬を中心とした馬券で勝負するつもりでした。Aiエスケープも有力と見ているのであれば心強い限り。少なくとも、無理に逆らう必要はないでしょう。ただ、さすがに人気の中心となってしまいそうですから、相手は大胆に絞り込みたいところ。実際のオッズも見たうえで慎重に買い目を組み立てるつもりです。


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競馬評論家。JRAの公式ホームページ内「今週の注目レース」にて“データ分析”のコーナーを、TCK(東京シティ競馬)の公式ホームページ内「分析レポート」にて重賞競走のデータ分析を担当しているほか、グリーンチャンネル、JRAのレーシングプログラム、『週刊アサヒ芸能』、『競馬王』などさまざまなメディアを舞台に活動している。主な著作に『WIN5攻略全書 回収率150%超!“ミスターWIN5”のマインドセット』、『コース別 本当に儲かる騎手大全』シリーズ、『コース別 本当に儲かる血統大全』シリーズ、『ウルトラ回収率』シリーズ(いずれもガイドワークス)など。

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