▲「菊花賞馬vs日本ダービー馬」有馬記念に適性があるのはどちら?(C)netkeiba、撮影:下野雄規
競馬アナライザーのMahmoud氏が、動画解析を駆使して科学的に競馬を分析する短期連載コラム。
今回は、年末の大一番・有馬記念を徹底分析。過去に中山コースで行われた京成杯でワンツー決着となったダノンデサイルとアーバンシックの優劣検証や、逃げ宣言が飛び出したシャフリヤールの個別ラップなどから展開を予想。
そして、「ダントツに期待」として本命に推奨するのは意外な穴馬。最終結論として上位評価6頭(◎、◯、▲、△)を発表します。
(構成:Mahmoud、netkeiba編集部)
降雨が少ない2024年のポイントは「高速馬場」
──いよいよ今週末は有馬記念です。今年のポイントはどこでしょうか?
Mahmoud 早速ですが、出走馬16頭の走破タイム換算値TOP30を見ていきましょう。今回は国内戦で完走した近10走を対象としており、計150走のデータとなっています。馬場の速さは先週の中山競馬場をベースとして計算しました。
▲出走馬の持ちタイムを、先週の馬場差で中山芝2500mに換算したランキング表(作成:Mahmoud)
──上位陣はかなり速いタイム換算値となっていますね。
Mahmoud 今開催の中山競馬場は降雨の影響が全くなく、馬場の傷みは非常に少ない状態です。開幕週からの馬場の速さを先週まで保ったままと言えます。
したがって、走破タイム換算値の上位5位までがゼンノロブロイが持つ2:29.5のコースレコードを上回る値となりました。ただし、この上位陣は軒並み2023年にマークした値であり、そのレースでの勝ち馬はイクイノックス。いわばイクイノックスに引っ張られて出せたタイムという側面があります。
そんな中、2位のプログノーシスは1着時の2レースがTOP10内にランクインしており価値は高いです。また、3歳馬アーバンシックも1着時の菊花賞が7位にランクインしており、1着時のみならプログノーシスに次ぐ存在。アーバンシックの勝機は十分に考えられます。
アーバンシックvsダノンデサイルが4度目の対戦──分があるのはどちら?
──上位人気が想定されるアーバンシックとダノンデサイルは今年1月の京成杯でワンツーして以降、日本ダービー、菊花賞をそれぞれ勝利してきました。有馬記念という舞台での適性はどちらに分があると考えますか?
Mahmoud この2頭は中山芝内回り2000mの京成杯で対決し、ダノンデサイルが0.1秒先着しました。この2頭の特徴の違いを知るために、京成杯の後半1200mの平均完歩ピッチ(1完歩に要する時間を平均した値。グラフの値が下になるほど、ピッチ=脚の回転が速いことを表す)を比較してみましょう。
▲京成杯でワンツーとなった2頭の平均完歩ピッチを比較(作成:Mahmoud)
2コーナー出口付近(=後半1200m)からの個別ラップタイムは、ダノンデサイル(ピンク)が12.8-12.5-12.3-11.7-11.3-11.2、アーバンシック(青)が12.6-12.3-12.4-11.9-11.1-10.9です。バックストレッチではダノンデサイルが遅く走った分、完歩ピッチも遅くなっていますが、後半400mはアーバンシックよりラップタイムが遅いにもかかわらず、完歩ピッチは速くなっています。
ピッチの緩急が大きいのがダノンデサイルの特徴で、中山芝内回りの対応力は当然ダノンデサイルが上です。
アーバンシックは