有馬記念GI、芝2500m。皆の夢を乗せて走るドリームレースの始まり。しかし、ドウデュースの引退レース出走取消のニュースが流れたとき、多くのファンのどよめきの声が聞こえてきそうでした。
苦渋の選択をされた陣営の皆様は、さぞ無念に思われたことでしょう。松島オーナーからのメッセージには「産駒で夢の続きを!」とありました。ドウデュースのこれまでの活躍と、武豊騎手との絆の強さ、そしてチーム友道康夫厩舎など関わった皆様に拍手と、勇気ある決断に感謝です。
そして大きな話題を呼んだ有馬記念。さすがという感じがしました。ダービー馬2頭の大健闘に歓声が爆発。ハナ差2着だったシャフリヤールは、海外やタフなレースも経験していて、悔しさも大きかったと思います。
64年ぶりに3歳牝馬として有馬記念を制したレガレイラ号、おめでとうございます。見応えのあるレースにずっとどきどきしました。陣営の皆様、おめでとうございます。まだ3歳なので、これからの活躍も楽しみです。
▲有馬記念を制覇したレガレイラ(撮影:下野雄規)
有馬記念といえば、同期の和田竜二騎手が騎乗した2000年は印象に残っています。メイショウドトウとの叩き合いを勝利したテイエムオペラオーは、GI・5勝を含む1年間で8戦全勝という成績に。有馬記念は、やはり夢とドラマが詰まった最高のレースなんですね。競馬に関わる人間でよかったと感じています。
余談ですが、僕の愛馬・関屋記念を制したオースミコスモが25歳で亡くなりました。北海道浦河郡で余生を過ごし、3年前に会いに行った時には、元気に過ごしていたので安心していましたが…。渡邊様の話では、寝転んでから立てなくなり、ずっと寝たままになってしまったようです。
とっても大事にしていただき感謝しています。祭壇にほんの少し人参を送ってお供えしていただき、遠くから合掌しました。ありがとうオースミコスモ号、向こうでビッグテースト号と仲良くしてや、お疲れさまでした。
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僕は有馬記念の前日、21日の阪神Cを見に行き、長谷川浩大厩舎のナムラクレア号の勝利にも感動しました。長谷川厩舎に重賞8勝目をプレゼントしてくれたナムラクレア号、強い競馬でした。陣営の皆様おめでとうございます。僕の後輩なので、調教師としての活躍は嬉しいです。
この日は先輩である幸英明騎手の通算1700勝という大きな記録達成もありました、おめでとうございます。現役時代からずっと大事に接してくれる先輩の活躍は嬉しいです。「おめでとうございます」と声かけると、幸スマイルで「ありがとう」という返事が最高でした。
12月はGIレースが続々あり、京都競馬場で生観戦させていただきました。8日の阪神JFは例年阪神競馬場で行われていますが、今年は京都開催なので少し違ったレース展開だったかと思います。
GIを初制覇した岩田望来騎手、アルマヴェローチェ号おめでとうございます。上村調教師はじめ、陣営の皆様おめでとうございます。とっても上手な手綱捌きでの勝利は見事でした。
▲阪神JFを終えてコメントする岩田望来騎手
岩田 上村先生から「無難に乗るなよ」と助言していただいたので、迷うことなく思いっきり乗ることができました。最高の気分です。同期の団野が一番先に「おめでとう」とハイタッチしに来てくれて、嬉しさが倍増しました。
常石 お父さんからのメッセージはありましたか?
岩田 父からお祝いの花束を貰い嬉しかったですが、ちょっと照れくさかったです。
常石 お父さんは偉大な方ですが、アドバイスなどありましたか?
岩田 色んなケースがあるのであまり話しませんが、見守ってくれています。有難いし、尊敬しています。
常石 お父さんが見守ってくれるのは最高の助言ですよね。
岩田 はい。たくさんのファンの前で勝つことができて、応援してくれていることが実感でき嬉しかったです。4コーナーを回る時、少し他馬に迷惑かけてしまったのは申し訳なかったです。今年は年男で、ゴールした瞬間ガッツポーズできて最高でした。この馬はまだまだ成長する馬なので楽しみです。
常石 これからも活躍楽しみにしています。
岩田 今年は海外での騎乗も経験でき、馬主さんはじめ多くの方に守られていると感じました。しっかり結果を出せるように頑張ります。応援よろしくお願いします。
上村調教師のコメントは以下の通りです。
▲続いてコメントした上村洋行調教師
札幌からこのレースを目標にして調整してきました。アルマヴェローチェは落ち着いていて、どこへ行っても飼い葉をよく食べてくれます。だから馬体もしっかりしていて、思い通りに仕上げることができました。若い馬なのでまだまだこれからで、どう成長してくれるかが楽しみです。距離も長い方が良いと思っていて、早く春が来てほしいです。岩田望来騎手はレース運びが上手くて安心して見ていられます。今後も頑張ってほしいと思います。
調教師の先生から安心して任せられるというコメントは、騎手にとって信頼されている嬉しい言葉です。
12月15日に行われた朝日杯FSは、京都競馬場で2歳馬のマイルチャンピオンを決めるレースです。アドマイヤズーム号が制覇し、川田将雅騎手の手綱捌きが絶妙でした。陣営の皆様おめでとうございます。この時期の2歳馬はまだまだ子供で調教は難しいですが、名馬をたくさん送り出している友道厩舎は、気難しい馬でもしっかり調教を行っていました。
▲朝日杯FSを優勝したアドマイヤズーム(c)netkeiba
テンションが上がりやすい馬ですが、ここまで無事にレースができて良かったです。今後が楽しみですね。友道厩舎はドウデュース号でジャパンCを制覇し、次は有馬記念だー! と勢いをつけていたところだったんですね。
でも生き物だから、アクシデントは当然出てきます。僕も経験があります。障がい者乗馬でリース契約したとき、オーナーから「生き物ですから、いつどこでどうなるかわかりません。それを覚悟して契約してください」と言われました。パラ馬術は、それぞれの障がいの症状が違うので個別にリースか自分の馬を持たないと、海外の大会に出場できません。
だから日本での練習用と、海外の大会用と最低2頭のリースが必要です。パラリンピックを目指していたので、日本での練習用の馬とドイツで乗る馬を、4年間リースして莫大な費用が掛かったのはオカン泣かせでした。日本での練習のためリースした馬が3年目に亡くなってしまったのは困りました。色んなアクシデントを乗り越えての馬たちの活躍を期待し、楽しみましょう。
28日には最後のG1レース、ホープフルSもあるので1年間の思いをぶつけましょうね。
新しい年も楽しみです。僕は年男になります。執念深く突っ込んでいきたいと思いますので、来月のコラムもぜひ楽しみにしてください。1年間コラムを読んで下さり、ありがとうございました。まだまだ続きます!
オカン GIレースが京都競馬場で開催されると、「俺が行かな」とまるで自分がレースにでも出るような勢いで、楽しみにして出かけていきました。普段とは違う生き生きと出かける姿を見ると、やっぱり競馬人だなあと思います。関係者の皆さんの邪魔をしないようにと口うるさく話していますが、迷惑おかけしたことも多々あると思います。この場をお借りしてお詫び申し上げます。
ファンの方がまだ知ってくれていて、「つねちゃん久しぶりやな、元気か? と聞いてくれて嬉しかった、サインもしたで」と話す息子。障がい者になっても、競馬のことは記憶に残り、生きる原動力になっています。人の名前は忘れても、馬のことは覚えていて良きパートナーです。パラ馬術もまだまだ続くようで、ますますオカンの懐具合が厳しくなるわ。息子よ、いつまで続けるんだよ。とりあえずがんばれ!
(文中敬称略、次回の更新は2/1(土)を予定しています)