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「60歳まで乗るためには…」年明け7勝を挙げた小牧太騎手 2025年の意気込みは?

  • 2025年01月07日(火) 18時02分
太論

▲年末年始の園田開催を終えた小牧太騎手にお話を伺います(撮影:稲葉訓也)


1月2日からスタートした園田競馬で計7勝を挙げ、年始から大活躍の小牧騎手。3日には上限の8鞍に騎乗するフル稼働で、思わず「疲れたぁ」と本音も。年末に園田のNo.1ジョッキー・吉村智洋騎手が落馬負傷、さらに鴨宮祥行騎手がオーストラリア修行を決行したこともあり、しばらくは上限いっぱいに騎乗する日が増えそうです。

そんな状況を受けて、周りからはリーディングを期待する声も上がっているようですが…。はたして小牧騎手の意気込みは!?

(取材・構成=不破由妃子)

左の肩甲骨がパックリ折れて…そのまま競馬に乗っていた!?


──年末の29日から3日間、元旦を挟んで2日からまた3日間。ほぼ6日連続といっていい開催でしたね。本当にお疲れさまでした。

小牧 疲れたぁ(苦笑)。1月3日は、移籍して初めて8鞍(園田・姫路競馬における1日の騎乗数の上限)乗ったからね。まぁでも、いい馬に乗せてもらっているから。おかげで疲れも許容範囲や。

──年末に落馬してしまった吉村智洋騎手の代打もけっこうあって。

小牧 うん。僕もいい馬に乗せてもらっているけど、やっぱり彼は強い馬に乗ってるわ。エイシンハリアーとか、めちゃくちゃ強かった。

──吉村さん、肩甲骨と肋骨の骨折だとか。心配ですね。

小牧 あの落ち方は…。正直、怖かったわ。ケガをしてしまったのはかわいそうやけど、あれで済んでよかったと思う。不幸中の幸いや。もう見ていられへんかったもん。

──小牧さんは乗っていないレースだったから、じっくり見ていたんだろうなと思って。

小牧 確かにレースはしっかり見ていたけど…。そのあと、もう1回見ようとは思えへんかった。あのあとは、僕もちょっと動揺してしまったね。ジョッキーという仕事は、ああいうことが起こるから怖い。ひとつ間違えたら、ホンマに命にかかわる。

──吉村さんのような落馬は、どれだけ注意したところで防げるものではない。なにしろ突然、馬がガクッとなりましたから。

小牧 あれね、いかにも骨折したような崩れ方やったけど、ただ単に躓いただけなんやって。だから馬はなんともないねん。

──そうでしたか。それもまた不幸中の幸い。

小牧 ホンマやね。ただ、躓いただけでもああいうことが起こるんやなと思うと、逆に怖いなとも思った。てっきり骨折したと思ったから。余計に怖いね。

──見方を変えればそうですね。それにしても、不幸中の幸いとはいえ、肩甲骨の骨折はジョッキーにとって痛手ですよね。「肩甲骨の可動域が…」というような話をよく聞きますし、騎乗する上で大事な部位なんだろうなと思って。

小牧 大事やね。僕もね、左の肩甲骨がパックリ折れたことがあるよ。なんせ痛いし、痛い以上に腕が利かなくなる。僕の場合、折れた状態で3日間、競馬に乗せられたし。

──えっ!? 折れたまま競馬に乗った?

小牧 うん。ロードバクシンという大事な馬で重賞が控えていたから、我慢して乗ってくれって言われて。馬に乗る以上、固定するわけにはいかないから、テーピングだけしてね。今でも覚えているけど、腕が利かんかったもん。

──完治まで長引いたのでは?

小牧 はっきりとは覚えていないけど、1カ月くらい掛かったかなぁ。それでも、しばらくは我慢して乗っていた感じで、そのうちいつの間にか治ってた。まぁ若かったからね。今でも肩が痛くなるときは左ばっかりや。今日もちょうど鍼治療に行っていたんやけど、もう持病みたいになってしまったね。

──そうでしたか。吉村さんはしばらくお休みでしょうし、昨年兵庫リーディング4位の鴨宮祥行騎手は、4カ月間オーストラリアへ。小牧さん、しばらくフル稼働ですね。どうしたって馬が集まってくる。

小牧 そうやねん。ありがたい話やけど、60歳まで乗るためには、自分のペースを守ることも大事やと思ってる。やっぱり3日連続で競馬というのは、けっこうしんどいから。

──しんどいと言いつつ、年始の3日間で7勝。年末から乗りっ放しなわけで、やっぱり小牧さんは鉄人だなぁと思いながら見ていました。

小牧 「馬に乗るのは趣味」と思いながら仕事してたわ。そうじゃないと、気持ち的に持たんからね。そんなに神経を尖らせんと、楽しんで乗るようにしてた。

──そういう気持ちの作り方もベテランならではですね。それだけお忙しかったとなると、加矢太さんのリーディングも、小牧さんご自身の地方3500勝も、まだお祝いできてないのでは?

小牧 まだやね。なんせ加矢太に会えていないから。でも、本当によかったよね、3年目でリーディングが獲れて。

──小牧さんのリーディングも期待しちゃいます。

小牧 周りは盛り上がってるけどねぇ、僕はもうそんなんは考えてない。体と上手に付き合いながら、1頭1頭、1勝1勝や。60歳まで、あと2年半とちょっと。ぼちぼち頑張っていきますわ。
(文中敬称略)
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1967年9月7日、鹿児島県生まれ。1985年に公営・園田競馬でデビュー。名伯楽・曾和直榮調教師の元で腕を磨き、10度の兵庫リーディングと2度の全国リーディングを獲得。2004年にJRAに移籍。2008年には桜花賞をレジネッタで制し悲願のGI制覇を遂げた。2024年には再度園田競馬へ復帰し、活躍中。史上初の挑戦を続ける。

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