
▲川田騎手がレース中の動作について詳しく解説(撮影:福井麻衣子)
今回のテーマはレース中の追う動作について。ゴール前でジョッキーが追う手を緩める“油断騎乗”に見える動作には、実は様々な理由があることを明かします。
一つの勝利を掴むために、どんなことを考えながら騎乗しているのか。「追えばいい、叩けばいいというものではないんですよね」と、1月のレースを例に挙げ、川田騎手が詳しく解説します。
(取材・構成=不破由妃子)
「馬には気持ちがあるから」“油断騎乗”ではない動作の背景
──先週は、惜敗続きだったアンバードール(1月18日・中京7R)とテーオードラッカー(1月19日・中京8R)を勝たせた一方で、パカーラン(1月19日・中京7R)はまたしても2着。パカーランに限らず、常に2着、3着にはくるのに、どうしても勝ち切れない馬って多いですよね。やはりジョッキーとしても、もどかしい感じですか?
川田 パカーランについては、毎回しっかり走ってくれての結果です。その日の精一杯の走りをしてくれていますが、いつも彼より1頭、強い馬がいるということ。
──抜け出すとやめたり、ソラを使ったりなど、勝ち切るのが難しい理由がある馬も?
川田 そういう馬ももちろんいますよ。日曜日に勝ったテーオードラッカーも2着、3着が多かった馬で、先週にしてもゴール前で足跡を見つけて、浮いて走らなくなった。だからあそこまで詰め寄られたりもするんですけど…。
──最後はヒヤヒヤしました…。思わず「川田さん、後ろきてるー!」と叫んだ(笑)。
川田 油断騎乗だなんだと言う人もいるでしょうねぇ。でもね、あの馬の場合、あの瞬間はあれ以上強く促せないんです。
──あ、そうなんですね。
川田 あの状況で無理に強く促せば、