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【AJCC】ダノンデサイルが1番人気の支持に応えて完勝 前年ダービー馬としては26年ぶりの歴史的勝利

  • 2025年01月27日(月) 18時00分
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正攻法の競馬をテーマに計算通りの差し切り


重賞レース回顧

AJCCを制したダノンデサイル(撮影:下野雄規)


 近年は目標のビッグレースに向けて慎重なスケジュールを組む陣営が多くなった結果、厳寒期の「AJCC」に出走する4歳馬は少ない。まして前年の日本ダービー馬が1月のこのGIIに出走したのは1999年のスペシャルウィーク以来のことだった。

 そのダノンデサイル(父エピファネイア)が、1番人気の支持に応えて、スペシャルウィークに続き26年ぶりにAJCCを完勝した。スペシャルウィークの前は、1979年のサクラショウリまでさかのぼらないと出現しない記録なので、歴史的な勝利といえる。

 まだこの後の日程は発表されていないが、ダノンデサイルはかなりタフなチャンピオンに成長してくれる可能性がある。例えば、秋の「天皇賞(秋)→ジャパンC→有馬記念」と続く3連戦にチャレンジできるような…。

 この時期なのでタイムは速くならないが、緩みない平均ペースで展開した2分12秒1「60秒6-(11秒9)-59秒6」は、距離が2200mになった1985年以降では4位に相当する価値ある内容だった。

 レースが紛れの少ない中身になった結果、上位人気で崩れたのは残念ながら12着に沈んだ2番人気の5歳馬レーベンスティール(父リアルスティール)だけ。

 中山2200mは好時計で2連勝していたレーベンスティールだが、レース後、C.ルメール騎手が「以前より体つきが変わって、2200mは長いような気がします」と振り返った。敗因はそれだけではない気はするが、父リアルスティール(同馬は長丁場もこなしたが)に良く似てきた体型は、たしかにマイラータイプを思わせるところがある。1800-2000mまでがベストなのか。

 ダノンデサイルは、今回は先行策を取らず、正攻法の好位抜け出しが大きなテーマ。4コーナーで一瞬だけバランスを崩しかけるシーンはあったが、鞍上の戸崎圭太騎手は、先に抜け出したコスモキュランダ(父アルアイン)、粘り込みを計るマテンロウレオ(父ハーツクライ)を前方に見ながら、かわせる手応え十分だったのだろう。着差は少なかったが、計算した通りの差し切りに映った。少なくともギリギリの内容ではない。

 2着マテンロウレオは、6歳馬らしく折り合い十分の好位追走。4コーナーを回るまで動かなかった。直線のコース取りも計算通りで、坂を上がった地点では勝利も見えたが、58キロの勝ち馬に一気に差されたのだから、勝ち馬を讃えるしかない。能力全開の快走だった。

 3着コスモキュランダは、流れの落ち着いた向正面で順位を上げ、直線に向いてのスパートも絶妙だったが、爆発力のあるタイプではないので小差3着は仕方がない惜敗だろう。ただ、ダノンデサイルと同じまだまだパワーアップが期待できる4歳馬。これで[1-4-1-1]の得意の中山コースなら、流れひとつでビッグレースでもチャンスがありそうだ。

 屈腱周囲炎での長期休養を克服した6歳馬ボルドグフーシュ(父スクリーンヒーロー)は上位3頭には及ばなかったが、馬体は好調時と遜色ないほど良くなっている。得意の長丁場で完全復活があり得る。

 デキの良さが光った牝馬ライラック(父オルフェーヴル)は、置かれることなく道中はインキープ。直線は外に出て伸びたが、もう少し時計を要するような馬場だったらもっと伸びただろう。力は出し切っている。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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