東京ダートでは5戦5勝に

根岸Sを制したコスタノヴァ(撮影:下野雄規)
大きく明暗を分けたのは「東京コース」に対する適性と、稍重で「少々時計の速いレース」に対する適性の差だった。
快勝した5歳コスタノヴァ(父ロードカナロア)は、これで東京のダート[5-0-0-0]となり、2着の5歳ロードフォンス(父ロードカナロア)は、東京のダート[3-2-1-1]となった。ともにダートをこなせるロードカナロア産駒で、時計勝負の1400mもベストに近い距離だった。これでロードカナロア産駒は、2021年レッドルゼル、2024年エンペラーワケアに続き、直近の5年間で「根岸S」3勝となった。
コスタノヴァも、ロードフォンスも、ともに差しタイプだけに、ライバルの1番人気馬フリームファクシ(父ルーラーシップ)がやや出負け気味で、2頭より後方追走になったこと。さらには人気の1頭ドンフランキー(父ダイワメジャー)が、サンライズフレイム(父ドレフォン)、伏兵サトノルフィアン(父ゼンノロブロイ)にからまれ、厳しい先行争いになったことも味方した。
とはいえ、直前に良化はしたものの、目を痛めて今回は不本意な5カ月半ぶりだったコスタノヴァの4馬身差の独走は、5歳馬ながらまだここが9戦目。素質が開花しての実力通りだったことは疑いない。大型馬ながら休み明けも大丈夫。2走前に記録した1分21秒9(良)は、ノンコノユメのコースレコード(重)1分21秒5と馬場状態を考慮すれば互角の快時計。改めて秘める資質の高さを証明したので、今回の初重賞制覇によりチャンピオン級の新星誕生といえる。
2着に伸びてきたロードフォンス(母の父ダイワメジャー)も、自身の最高時計1分22秒7には及ばなかったが、これは稍重馬場にしてはそれほど時計の出るコンディションではなかったため。これまで非力にも映った馬体が、現在は490キロ台にパワーアップしている。これでオープンに昇格して「1着、2着」となったが、さらに地力強化を図るため、陣営は4月の「オアシスS(L)」を視野に入れる展望を明らかにしている。
3着に突っ込んだR.キング騎手の追い込み馬アルファマム(父マジェスティックウォリアー)の上がりは期待通り最速の35秒7。今回はレース上がりが36秒9と速かったため、ここまでが精いっぱいだったが、6歳牝馬ながら実にシャープな体つき。レース展開ひとつで8勝目のチャンスはある。
6着にとどまったフリームファクシは、パドックでは落ち着いて不安なしの状態に映ったが、約2カ月間に今回が4走目。「道中の反応が鈍かった」と、M.デムーロ騎手が振り返ったあたり、東京コースは初めての影響があったのと、目に見えない疲れがあったのかもしれない。
ついに600キロを超えたドンフランキーは、あまり速いペースにはならないだろうと思われたが、最近10年では前半3ハロン最速タイの「33秒9」。決してこなせないペースではないが、2頭に絡まれて途中から自分のリズムを失った。