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根岸S制したコスタノヴァ 重賞馬を輩出するロードカナロア産駒の配合パターンとは

  • 2025年02月03日(月) 18時00分
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血統で振り返るシルクロードS


【Pick Up】エイシンフェンサー:1着

 父ファインニードルは、現役時代にスプリンターズS、高松宮記念をはじめ5つの芝短距離重賞を制覇しました。セイウンコウセイ、ハクサンムーンなどと並ぶアドマイヤムーンの代表産駒です。種牡馬としても好成績を挙げており、すでにファンタジーSを勝ったカルチャーデイを出しています。2024年の種牡馬別芝1200m勝利数ランキングでは第4位に食い込んでおり、この距離では信頼性の高い種牡馬です。

 フォーティナイナーのクロスを持つ同産駒は、4頭デビューして2頭がJRAで勝ち上がり、本馬のほかにダートで2勝を挙げているヘルメースが出ています。この先注目したい配合パターンです。

 母エーシンパナギアは、現役時代にJRAダート短距離で3勝。繁殖牝馬としても優れた能力を発揮し、エイシンフェンサーの他にロードエース、エイシンギアアップ(いずれもオープンクラス)、エイシンヌプリ(JpnIIIエーデルワイス賞3着)などを産んでいます。3代母エイシンマリアンナはシクラメンS(2歳OP・ダ1400m・当時の馬齢表記は3歳)の勝ち馬。パワー兼備の豊かなスピードを伝えるファミリーといえるでしょう。

 母の父エイシンサンディは、サンデーサイレンスの2世代目の産駒で、不出走のまま種牡馬入り。セイクリムズン(根岸S、カペラSなど重賞9勝)、エイシンテンダー(チューリップ賞)、ミツアキサイレンス(名古屋グランプリ、佐賀記念2回、兵庫CSなど)などを出しました。丈夫で息の長い活躍をする仔が多く、5歳にして本格化してきた孫のエイシンフェンサーには、そうした特長が受け継がれているように感じます。

血統で振り返る根岸S


【Pick Up】コスタノヴァ:1着

 父ロードカナロアは、アーモンドアイ、サートゥルナーリア、ダノンスマッシュ、ブレイディヴェーグ、パンサラッサ、ステルヴィオ、ファストフォース、ベラジオオペラなどの父。2020年から5年連続で総合種牡馬ランキング第2位となっています。

「ロードカナロア×ハーツクライ」の組み合わせは、ケイデンスコール(マイラーズC、京都金杯、新潟2歳S)、トロワゼトワル(京成杯AH2回)、ヴァルディゼール(シンザン記念)、ロードデルレイ(日経新春杯)に加え、オーストラリアでG1ブルーダイヤモンドSを制覇したタガロアが出ています。コスタノヴァは5頭目のJRA重賞勝ち馬となります。

 2代母トロピカルブラッサムはダート向きのサンダーガルチを父に持ち、母カラフルブラッサムの半兄ピイラニハイウェイは浦和記念と佐賀記念を勝ったダート巧者でした。

 コスタノヴァの兄弟には、リレーションシップ(阪急杯4着)、ファイアンクランツ(札幌2歳S3着)という芝馬がいますが、本馬はファミリーに流れるパワー型の資質が強めに表現されたのでしょう。父ロードカナロアは2024年の全日本ダート種牡馬ランキング(中央ダート+地方)で第6位と、ダート向きの種牡馬以外では最も順位が高く、海外でも2023年にパンサラッサがサウジC(沙G1・ダ1800m)を逃げ切りました。サンデーサイレンスを含まない血統構成だけに、配合次第でダート向きの仔を出せる種牡馬です。

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【デヴィルズバッグ】

 1983年夏にデビュー。米G1シャンペンSを6馬身差で圧勝するなど、10月末までに5戦全勝の成績を残し、米最優秀2歳牡馬に選出されました。大きな期待を集めて3歳シーズンを迎えたものの、年明け2戦目のフラミンゴSで断然人気を裏切り4着。その後、弱敵相手に2連勝したものの、クラシックに出走することなく3歳春に引退しました。通算9戦8勝。

 3歳時は重賞を勝てず、尻すぼみの競走生活だったとはいえ、カナダ年度代表馬グローリアスソングの全弟にあたる良血。種牡馬としての期待は大きく、巨額の種牡馬シンジケートが組まれました。しかし、大きな成功を収めることはありませんでした。日本で走ったタイキシャトル(ジャックルマロワ賞、マイルCS2回、安田記念、スプリンターズS)、アメリカのダート中距離路線で活躍したデヴィルヒズデュー(米G1を5勝)が目立つ程度です。

 タイキシャトルは日本でスピード型の種牡馬として成功。メイショウボーラー、ウインクリューガー、サマーウインド、レッドスパーダなどを出しました。デヴィルヒズデューの息子ロージズインメイはドリームバレンチノやコスモオオゾラ、サミットストーンなどの父です。

 基本的にはスピードを伝える血で、ダート向きの力強さもあります。全姉グローリアスソングの仔にラーイ、シングスピール、全弟セイントバラードは米チャンピオンサイアー。近親に多数の活躍馬がひしめいています。

 ストレイトガール、ワンアンドオンリー、サトノダイヤモンド、ドゥラエレーデ、レーヌミノル、ユーバーレーベン、サークルオブライフといったGI馬はデヴィルズバッグの血を抱えています。血の影響力は優れています。

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「日本でミスタープロスペクター系が天下を取ることはありえる?」

 日曜日に行われた2つの重賞、シルクロードSと根岸Sは、いずれもミスタープロスペクター系が1、2着を占めました。わが国でこの系統が総合リーディングサイアーの座についたのは、2010、11年のキングカメハメハ、2023年のドゥラメンテの計3回です。

 サンデーサイレンス系は、1995年以降、上記の3回を除いてすべてリーディングサイアーの座にあります。ただ、昨年の総合種牡馬ランキング上位10頭の顔ぶれを見ると、サンデーサイレンス系3頭、ミスタープロスペクター系3頭、ロベルト系2頭、ノーザンダンサー系2頭と、群雄割拠といった状況です。

 2024年は、キングカメハメハだけでなく、パレスマリス(ジャンタルマンタル、ノーブルロジャー)、レモンドロップキッド(レモンポップ、ガビーズシスター)、イルーシヴクオリティ(パンジャタワー)、ドバウィ(ヴァルツァーシャル、エトヴプレ)といったさまざまなラインから活躍馬が誕生しました。レモンポップは今年から種付けを開始し、ジャンタルマンタルもいずれ種牡馬入りするでしょう。

 サンデーサイレンス系の牙城を崩すのは容易ではありませんが、長い目でみれば、ミスタープロスペクター系がわが国の主導的なラインとなる可能性は十分考えられます。

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netkeibaでもおなじみの血統評論家・栗山求氏が血統の面白さを初心者にもわかりやすくレクチャー。前週の振り返りや、週末行われるレースの血統的推し馬、豆知識などを通して解説していきます。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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