フラワーCはキズナ産駒が上位独占 制したレーゼドラマは樫舞台にも期待大
血統で振り返る阪神大賞典
【Pick Up】サンライズアース:1着
父レイデオロは日本ダービー、天皇賞(秋)など5つの重賞タイトルを獲得しました。初年度の種付け料は600万円。それから5年が経過した今年、250万円と半分以下に落ち込んでいます。
種牡馬にはさまざまなタイプがありますが、レイデオロは長距離を得意としています。芝2500m以上では[4-4-2-9]。勝率21.1%、連対率42.1%、複勝率52.6%と抜群の成績です。芝3000m以上では今回を含めて[1-0-1-0]。昨年の菊花賞でアドマイヤテラが7番人気ながら3着と健闘しました。
芝1000~1200mでは過去27戦して5着が最高着順であるように、スピード面に難があるのは事実ですが、長距離向きと理解していれば扱いは決して難しくありません。
本馬はセラフィックコール(ダイオライト記念2回、みやこS)、テリオスララ(阪神JF・3着)をきょうだいに持つ良血で、近親には多くの重賞勝ち馬が並んでいます。“2代父がキングカメハメハ、母の父がマンハッタンカフェ”という配合構成は、昨年のこのレースの覇者で天皇賞(春)を勝ったテーオーロイヤルと同じです。
今回はスローペースで逃げられた利はあったものの、全体的なパフォーマンスは長距離界のニュースター誕生と印象づけるもので、次走の天皇賞(春)でも楽しみな存在です。
血統で振り返るフラワーC
【Pick Up】レーゼドラマ:1着
キズナ産駒が1~3着を独占しました。同産駒はシックスペンス(中山記念)、ショウナンザナドゥ(フィリーズレビュー)、クイーンズウォーク(金鯱賞)に続いて4週連続重賞制覇。今年のJRA平地重賞は6勝目で、ロードカナロア(4勝)、エピファネイア(3勝)を抑えて単独トップです。
母シアードラマはパーソナルエンスンS(米G1・ダ9ハロン)を含めて3つの米G1を勝った名牝。BCスプリント(米G1・ダ6ハロン)の勝ち馬ビッグドラマ、ダート短距離で4勝を挙げたマルターズマッシブの半妹です。
母方にファピアノを持つキズナ産駒は成功しており、連対率24.8%、1走あたりの賞金額312万円、勝馬率57.7%。キズナ産駒全体は連対率20.1%、1走あたり234万円、勝馬率46.6%なので、明らかに成績が向上します。
本馬の前にデビューした母の仔は4頭すべて勝ち上がっています。ただ、重賞級の大物は出ていませんでした。本馬はダート向きだった全姉ルージュアベリアとはタイプが異なります。切れるタイプではありませんが、スピードの持続力に優れており、むしろクラスが上がって締まったペースになったほうがレースはしやすいでしょう。オークスでも展開次第ではチャンスがあると思える存在です。
知っておきたい! 血統表でよく見る名馬
【ラーイ】
イギリスでデビューし、のちにアメリカへ転じました。重賞勝ちはベルエアH(米G2・ダ8ハロン)のみですが、2着に10馬身差をつけて1分33秒0という出色の好タイムを記録。イギリス時代には2歳時にミドルパークS(英G1・芝6ハロン)で2着となっています。
父は大種牡馬ブラッシンググルーム、母はカナダ年度代表馬、米最優秀古牝馬のグローリアスソング、という超良血。兄弟にシングスピール、グランドオペラ、叔父にデヴィルズバッグ、セイントバラードがおり、一族にハルーワソング(ヴィルシーナ、ヴィブロス、シュヴァルグラン、ディヴィーナ、セラフィックコール、サンライズアースなどの祖)、ダノンシャンティ、ダノンバラードなどがいます。
この良血は種牡馬となって開花し、ファンタスティックライト、セレナーズソング、ノヴェールをはじめ100頭近いステークスウィナーを誕生させました。基本的には芝・ダート兼用のスピードタイプで、少し一本調子なところはありますが、仕上がり早で、時計の速い決着に強く、配合次第でさまざまなタイプを出しました。日本ではトキオパーフェクト、フライングアップル、グラスワールドという重賞勝ち馬が出ています。
サイアーラインはラーイ→ノヴェール→ルアーヴルと続き、母の父としてはジャイアンツコーズウェイが代表格です。年を経るごとに血の重要性が増している感があり、わが国の現役種牡馬では、レモンポップ、ブリックスアンドモルタル、デクラレーションオブウォー、マインドユアビスケッツ、オナーコード、セリフォス、グレナディアガーズ、シャープアステカなどに含まれています。
血統に関する疑問にズバリ回答!
「2025年のPOGで注目すべき種牡馬は?」
前年比で大幅に産駒が増えた種牡馬は、人気化した確固たる理由が存在するので、高確率で繁殖牝馬の質もアップしています。今年はキタサンブラック(63頭増)、シルバーステート(52頭増)、ドレフォン(24頭増)の3頭がこれに該当します。いずれも2021年に初年度産駒がデビューして好成績を挙げ、翌春の種付けシーズンで人気化したという経緯があります。6月にデビューする2歳馬は、POGはもちろん馬券でも狙い撃ちしたいところです。
3月21日、栗山求と望田潤が監修した『パーフェクト種牡馬辞典2025-2026』(自由国民社)が発売されました。最新の知見を駆使し、配合&馬券、という二本柱で主要種牡馬や新種牡馬を徹底攻略。種牡馬本のスタンダードといえる一冊です。