
▲エコロクラージュと挑んだ黒船賞を回顧(撮影:稲葉訓也)
エコロクラージュで挑んだ黒船賞は6着。中央の強豪を相手に人気以上の結果を残しましたが、小牧騎手いわく「もっとやれる素質はある」。改めて手応えを感じた一戦だったそうです。勝ったのは川須騎手騎乗のシャマル。さっそく帰りに空港で乾杯したそうですが、そこにはもうひとり九州男児が!?
ファンからの質問は、「地方でのスタートの出し方」について。移籍から約8カ月、試行錯誤の末にコツをつかんだそうで、今週もベテランの技から目が離せない!
(取材・構成=不破由妃子)
「能力的にはもっと上位に」──改めて感じたエコロクラージュの素質
──先週の火曜日は、黒船賞に参戦。結果は6着でしたが、エコロクラージュの走りはいかがでしたか?
小牧 馬はよう走ってんねんけどなぁ。やっぱり砂がちょっとね、荒くて。
──すごい砂埃だなぁと思いながら見ていたのですが、やはり同じ地方でも園田とは違うんですね。
小牧 違うね。あの砂埃を馬が嫌がって。あれがなかったら、もうちょっと上の着順にこられたかなっていう感じやね。まぁそればっかりは慣れなアカンわ。でもね、能力的にはもうちょっと上位にこられる素質はある。それは感じた。
──ということは、これからも交流でいい勝負ができる可能性がありますね。楽しみ!
小牧 うん。調教師さんにも、「どんどん行こうや」って言ってます。楽しみです。
──黒船賞は、川須騎手騎乗のシャマルが逃げ切り勝ち。シャマルが3番、エコロクラージュが4番と、隣の枠でしたね。
小牧 そうそう。僕の馬のほうがスタートがよくて、川須はソロっと出していった感じで。けっこうなペースで行っていたけど、最後は4馬身差。強かったねぇ。
──ホントに強かった。ところで、帰りは一緒に帰ったんですか?
小牧 一緒に帰ったよ。川田将雅と川須と3人で空港で飯を食うてましたわ。
──おもしろいメンバー!
小牧 川田が頼んだ鰹のタタキを僕と川須で食うてた(笑)。
──強奪(笑)。
小牧 そういえば、川田に言うたよ。「同期の飲み企画になんで俺を呼んでくれへんねん」と。「そうでしたね(笑)」って笑っとったわ。飛行機の時間があったから短い間やったけど、楽しかったし、何よりこんなに早く彼らと一緒に乗れたのがうれしかったね。あの日勝ったのは川須やったから、川須に奢ってもらおうと思ってたんやけど、結局、川田が払ってくれたわ。
──九州男児3人で楽しそうだなぁ。さて、今週ですが、火曜日のメインレースでモズアカボスが移籍初戦を迎え、水曜日には兵庫三冠の第一戦、菊水賞があります。モズアカボスに関しては、このコラムが更新される時間にはすでに結果が出ていますが、どちらも注目の一戦です。
小牧 モズアカボスはね、本当は1700mとか1870mのほうがいいなって話してたんやけど、今回は1400mしかなくて。地力はあるけど、距離がどう出るかやね。菊水賞は、まぁオケマルが強いのは間違いないんやけど、オケマルが2枠、僕のべラジオドリームが7枠に入ったから、どういう流れになるか。競馬は何があるかわからんからね。少しでも迫れるように頑張るだけや。
──では、最後にファンからの質問をひとつ。「園田に移籍してからもずっと応援しています。小牧さんのスタートは安定感があり、いつも安心して見ているのですが、スタートの出し方のコツは中央とは違いますか?」。
小牧 僕のスタートが安定してる? 嘘やん。出遅ればっかりやん(笑)。
──そんなことはないでしょう。最近はとくに、スタートを決めてくるレースのほうが圧倒的に多いと思いますが。
小牧 ああ、最近はだいぶよくなったかも。躓いたりバランスを崩したりする馬が多かったから、どないしたらいいんかなってずっと考えながら乗ってた。今もまだいろいろ研究してるところやけど、ここにきてちょっとわかってきたような気がする。
──いろいろ研究して…ということは、やはり中央とは出し方が違うんですね。
小牧 違うね。
──ポイントは砂の深さですか?
小牧 それもあるけど、地方の馬は中央よりも間隔を詰めて使っているから、馬が焦るっていうのもある。
──気が急いていると。
小牧 そうそう。だから、前のめりに出てしまうというかね。で、ジョッキーとしても、地方の場合は前に行かなアカンでしょう。必然的に出して行かなアカンから、余計に躓いたりトモを落としたりするんやね。
──確かに、躓きやすい条件が揃ってますね。
小牧 うん、揃ってる。だからね、僕としては「また出遅れた~」とか「下手くそやなぁ」と思いながら、どうすればいいのか、ずっと考えてた。でも、ちょっとわかってきたよ。
──何かを見つけたわけですね。
小牧 見つけたと思う、たぶん。だから、これからはスタートがよくなると思うわ、たぶん(笑)。
(文中敬称略)