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【桜花賞 AI予想】見解が割れる一頭! AIが本命視する実績馬の信頼度をチェック

  • 2025年04月07日(月) 18時00分
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単勝オッズ5.1倍(2番人気)のベラジオオペラが優勝(c)netkeiba


netkeibaにある膨大な競走成績を人工知能によって機械学習するAiエスケープを開発したAIマスター・Mと、レースデータの分析を専門とする競馬評論家・伊吹雅也による今週末のメインレース展望。コンピュータの“脳”が導き出した注目馬の期待度を、人間の“脳”がさまざまな角度からチェックする。
(文・構成=伊吹雅也)

単勝二桁人気の馬は上位に食い込めていないが……


AIマスターM(以下、M) 先週は大阪杯が行われ、単勝オッズ5.1倍(2番人気)のベラジオオペラが優勝を果たしました。

伊吹 お見事と言うほかありませんね。好スタートを決めて先行争いに加わり、インコースの4番手で1コーナーから2コーナーを通過。デシエルト(14着)が後続を引き離して逃げる中、ホウオウビスケッツ(5着)、シックスペンス(7着)らとともに2番手グループを形成し、ゴール前の直線入り口で早くも先頭のデシエルトを捕らえにかかっています。その後、ワンテンポ早く仕掛けたホウオウビスケッツが一旦は抜け出しかけたものの、残り200m地点を過ぎたところでベラジオオペラが外からかわし、単独先頭に。後方から伸びてきたヨーホーレイク(3着)、ロードデルレイ(2着)、エコロヴァルツ(4着)らの追撃も振り切り、セーフティリードを保ったまま入線しました。勝ち時計の1分56秒2は従来の記録をちょうど1秒上回る驚異的なコースレコード。デシエルトだけでなくホウオウビスケッツやシックスペンスも最後の最後で失速してしまったように、どちらかと言えば差し有利な流れでしたから、着差以上の完勝と言って良いでしょう。しっかり仕上げてきた陣営はもちろん、完璧なレース運びで持ち味を引き出した鞍上の横山和生騎手も素晴らしかったですね。

M ベラジオオペラは昨年の大阪杯に続く自身2度目のGI制覇。昨秋は天皇賞(秋)で6着に、有馬記念で4着に敗れてしまったものの、実績ある舞台で再び輝きを取り戻しました。

伊吹 馬券に絡むことができなかったとはいえ、有馬記念は勝ち馬と0.3秒差、天皇賞(秋)も勝ち馬と0.4秒差。この馬なりによく頑張っていたと思います。右回り、かつ2200m未満のレースはこれで通算6戦5勝。崩れてしまったのは不利な展開に巻き込まれた3歳時の皐月賞だけですし、このカテゴリにおいては頭ひとつ抜けた存在と言って良いのかもしれません。

M レース選択を含め、今後が楽しみですね。

伊吹 おそらく次のターゲットは宝塚記念になると思うのですが、今年から大阪杯との間隔が短くなりましたし、3着だった昨年と同等かそれ以上のコンディションで出走してくる可能性が高そう。もしそうなったら、当然ながら相応に高く評価するべきだと思います。5歳になったとはいえまだキャリア12戦。上積みも十分に期待できることを意識したうえで、馬券上の位置付けを検討しましょう。

M 今週の日曜阪神メインレースは、世代最強牝馬決定戦と位置付けられている大一番、桜花賞。昨年は単勝オッズ4.3倍(2番人気)のステレンボッシュが優勝を果たしました。なお、その2024年は単勝オッズ3.5倍(1番人気)のアスコリピチェーノが2着に、単勝オッズ14.6倍(7番人気)のライトバックが3着に食い込み、3連単1万1470円の低額配当決着。堅く収まりがちという印象を持っている方が多いかもしれません。


伊吹 レッツゴードンキが勝った2015年こそ3連単23万3390円の好配当決着でしたが、2016年以降の桜花賞における3連単の配当は、平均値が3万4040円、中央値が2万330円。大きな波乱が起きづらいレースです。



M ただ、過去10年の単勝人気順別成績を見ると、3着以内馬30頭のうち8頭を7番人気以下の馬が占めています。

伊吹 単勝10番人気以下の馬が2015年以降[0-0-0-88](3着内率0.0%)だった一方で、単勝7番人気から9番人気の馬は2015年以降[2-2-4-22](3着内率26.7%)とまずまず健闘していました。上位人気馬の好走率が極端に高いわけではありませんし、場合によっては妙味ある伏兵を狙っても良いのではないでしょうか。

M そんな桜花賞でAiエスケープが指名した特別登録時点の注目馬は、エンブロイダリーです。

伊吹 ある意味、ちょっと意外なところを挙げてきましたね。今回のメンバー構成ならそれなりの支持が集まりそう。

M エンブロイダリーは前走のクイーンCを制している実績馬。デビュー戦で2着に、3走前のサフラン賞で5着に敗れているものの、その他の3戦は危なげのないレース運びで完勝しています。阪神JF組との勝負付けが済んでいない新興勢力である点に魅力を感じている方も少なくないはず。現在の雰囲気からすると、単勝1番人気の立場でレースを迎えることになるかもしれません。

伊吹 Aiエスケープがあえてこの馬を推してきたということは、今回は妙味ある伏兵が見当たらなかったということなのでしょう。この見解を踏まえたうえで、私はレースの傾向からエンブロイダリーの信頼度を測っていきたいと思います。

M 真っ先に注目しておくべきポイントはどのあたりですか?

伊吹 まずは馬格をチェックしておきたいところ。2018年以降の3着以内馬21頭中19頭は、前走の馬体重が450kg以上でした。



M 小柄な馬はあまり上位に食い込めていませんね。

伊吹 ちなみに、前走の馬体重が450kg未満、かつ馬番が5番から18番の馬は2018年以降[0-0-0-38](3着内率0.0%)と3着以内なし。よほど枠順に恵まれた馬でない限り、この条件に引っ掛かっていたら評価を下げるべきでしょう。

M エンブロイダリーは前走の馬体重が482kg。馬格を心配する必要はなさそうです。

伊吹 あとはコース適性も見逃せないファクターのひとつ。同じく2018年以降の3着以内馬21頭中18頭は、“JRAの、右回りの、1600mの、重賞のレース”において3着以内となった経験がある馬でした。



M 左回りの重賞や今回と異なる距離の重賞でしか馬券に絡んだことがない馬は、過信禁物と見るべきかもしれませんね。

伊吹 おっしゃる通り。今年もこの条件をクリアしている馬はそれほど多くないので、大胆に絞り込んで良いのではないかと思います。

M エンブロイダリーは右回りの重賞に出走した経験すらなし。残念ながら、この傾向からは強調しづらい馬です。

伊吹 さらに、同じく2018年以降の3着以内馬21頭中19頭は、“JRAの、右回りの、重賞以外のレース”において2着以下となった経験がない馬でした。



M こちらもなかなか興味深い傾向。右回りのレースにおける安定感が重要――といったところでしょうか。

伊吹 この経験があったにもかかわらず3着以内となったのは、阪神JFで2着となった実績があった2024年1着のステレンボッシュと、前走のチューリップ賞で2着に食い込んでいた2019年2着のシゲルピンクダイヤだけ。基本的に、重賞を除く右回りのレースはすべて勝ち切っているくらいの馬でないと、上位争いに絡むのは難しいようです。

M 先程も触れた通り、エンブロイダリーは3走前のサフラン賞で5着に敗れている馬。この傾向を見る限りだと、コース替わりがマイナスに働きそうな一頭と言えます。

伊吹 正直なところ、私は重いシルシを打たないつもりでした。もっとも、能力の高さは十分過ぎるほどに証明していますし、あっさり課題をクリアしても不思議はありません。他ならぬAiエスケープが素直に信頼して良いと見ているわけですから、無理に逆らう必要はないでしょう。

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競馬評論家。JRAの公式ホームページ内「今週の注目レース」にて“データ分析”のコーナーを、TCK(東京シティ競馬)の公式ホームページ内「分析レポート」にて重賞競走のデータ分析を担当しているほか、グリーンチャンネル、JRAのレーシングプログラム、『週刊アサヒ芸能』、『競馬王』などさまざまなメディアを舞台に活動している。主な著作に『WIN5攻略全書 回収率150%超!“ミスターWIN5”のマインドセット』、『コース別 本当に儲かる騎手大全』シリーズ、『コース別 本当に儲かる血統大全』シリーズ、『ウルトラ回収率』シリーズ(いずれもガイドワークス)など。

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