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29歳の誕生日を迎えたメイショウドトウ 若さの秘訣は“女の子”!? (1)

  • 2025年04月15日(火) 18時00分
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第二のストーリー

▲今年の誕生日見学会(提供:ノーザンレイク)



“愛されキャラ・ドトウ”の誕生日見学会が実施


 引退馬が暮らす牧場ノーザンレイクの運営に筆者が携わって5年目に入った。牧場がある馬産地・北海道は日高管内の新冠町。元々雪が少ない地域ではあるが、今年はすぐに溶け雪景色になる日が少なく、このような冬は2020年7月の牧場開業以来初めてのことだった。

 ふきのとうが顔を出し始め春めいてきた3月25日はメイショウドトウ(認定NPO法人引退馬協会所有)満29歳の誕生日だった。昨年は疝痛の手術明けで、引退馬協会のドトウのフォスターペアレント会員限定誕生日見学会は厩舎内で行われた。明け28歳(満年齢では27歳)でのリスクを背負った全身麻酔での開腹手術を強靱な体力で乗り切り、術後も厳しいGIレースを走り抜いた強靱な精神力で乗り越えてくれた。JRA厩務員時代に秋古馬三冠のゼンノロブロイやマイルCS優勝のゼンノエルシドなどを担当してきたノーザンレイク代表の川越も「さすがGI馬の底力」と讃えた。

 あれから1年以上の歳月が流れ、体は少し細くなったものの放牧地と厩舎の往復では時折速歩になったり立ち上がることもあれば、年齢を感じさせないフォームで放牧地を駆け抜けることもある。

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▲御年29歳 駆けるメイショウドトウ(提供:ノーザンレイク)


 おっとりしたイメージを持たれがちだがオンオフのスイッチをしっかり持っている…。日頃接していてそう感じるし、高齢で全身麻酔の手術をした馬とは思えないほど元気いっぱいに過ごしている。そんなわけで今年の誕生日見学会は天候にも恵まれて無事に放牧地で開催できた。

 見学日当日、会員の方々は画像や動画を撮ったり、ドトウとのツーショット記念撮影をしたりした。ハーボールという馬用おやつがもらえるのもあり、ドトウは目を輝かせながら柵際で愛嬌を振りまいていた。

(※おやつをあげるのは引退馬協会会員の特典。食べ過ぎないよう量はノーザンレイク側が調整)

 ドトウのために「祝29歳 ドットさん 長生きして!」などの文字が入ったうちわや応援幕をわざわざ作ってきた方もいた。昨年に続いてフェルトで可愛らしいドトウと牧場風景(他の馬や猫のメト)の貼り絵を制作して送ってくれた方もいた。

 ドトウは本当に愛されキャラで、こんなに人気のある馬を預かる責任を改めて実感したのだった。

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▲誕生日祝いの可愛いらしいフェルトの貼り絵(提供:ノーザンレイク)


 誕生日見学会を無事に終え、29歳の日々をドトウらしく毎日生きている。

 例えば放牧時。昨年の6月後半から3頭の女子チーム(タッチノネガイ、アシゲチャン、キリシマノホシ)がドトウの隣の放牧地に放たれるようになると、ドトウは好んで、より牝馬たちに近いところで草を食むようになった。以前は女子チームとは反対隣のネコパンチにご執心だったが、今ではほぼパンチは放ったらかしだ。ただ牝馬の放牧地は広いので、ドトウから離れた場所に移動することも多々ある。そんな時は諦めてパンチ側の柵のそばでウトウトして時間を過ごしているが、牝馬たちが再びドトウ側の柵際にやって来るとすかさずそばに行くところをみると去勢はしていても女の子が大好きなのだろうし、これが若さの秘訣なのかもしれない。

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▲女子チームにべったりのメイショウドトウ これが若さの秘訣(提供:ノーザンレイク)


※タッチノネガイとアシゲチャンは「ネガイちゃん・アシゲチャン引退繁殖牝馬の会」所有

(つづく)

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北海道旭川市出身。少女マンガ「ロリィの青春」で乗馬に憧れ、テンポイント骨折のニュースを偶然目にして競馬の世界に引き込まれる。大学卒業後、流転の末に1998年優駿エッセイ賞で次席に入賞。これを機にライター業に転身。以来スポーツ紙、競馬雑誌、クラブ法人会報誌等で執筆。netkeiba.comでは、美浦トレセンニュース等を担当。念願叶って以前から関心があった引退馬の余生について、当コラムで連載中。

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