
▲先週は兄弟タッグで2勝を挙げた小牧太騎手(撮影:稲葉訓也)
先週は、兄弟タッグで2勝をマーク。そのうちのひとつが4月8日のメインレースで、「初めて毅と表彰台で並んだ」という記念すべき1勝となりました。また、先週は追い比べを制しての勝利が多かったのも印象的で、小牧騎手の勝負強さが光った一方、勝つには追い比べにせざるを得ないやっかいな馬もいるそうで…。
そして、コラムの最後には“ジョッキー・小牧太”のすごさがわかる、うれしい報告が。お楽しみに!
(取材・構成=不破由妃子)
兄弟タッグで初の表彰台に
──先週は、弟の毅さんとのコンビで2勝をマーク。4月8日にはメインレース(そのたんお誕生日記念・B1・ダ1400m)を勝ち、兄弟揃って表彰式へ。素敵な光景でした。
小牧 毅と表彰式で並んだのは、先週が初めてだったらしいで。なんせウインディーパレスで勝てたのがよかった。やっぱり、あれぐらい走るんやね。前回が走らなすぎた(3月11日・B2一・勝ち馬から1秒6差の2着)。
──最後は2着馬を突き放して3馬身差。力が違いましたね。
小牧 前回と違って、今回は動きに余裕があったよ。馬主の小林さんもきてくれていて、喜んでくれたわ。毅と表彰台に立てたのもそうやし、よかったよ、あの馬で勝てて。次の日のオーシンエンジェル(蟇浦7ハロンC3一・ダ1400m・4番人気1着)は、勝つまではどうかなと思っていたなかでの1勝やったね。毅も喜んでたわ。
──兄弟タッグでの勝利は、なんか温かい気持ちになる。いくらでも見たいです。4月10日は、7Rのマジーク(C1二・ダ1400m)と8R(C2・ダ1700m)のラキアレクサンダーで2勝。どちらも追い比べを制しての勝利で、見応えがありました。
小牧 マジークはまだ体がちゃんとできていないけど、走るよ、あの馬。あんまり調教をしなくても走る。前回は3月頭に使って勝ったんやけど、僕の考えで少し長めに休んでもらってね。1カ月間隔が空いて、まだ体もできていないなかで、あれだけ走るんやから。これからが楽しみですわ。あのレース、ほかにもようけ乗り馬がおってね。
──ああ、中央から園田に転入後、ずっと小牧さんが乗っていたダイゴリュウジンとか。
小牧 そうそう。でも、マジークは僕から厩舎サイドに休ませてとお願いしたもんやから、ここはもう決めてた。正直、ダイゴリュウジンのほうが強いかなぁとも思ったんやけど、思った以上にしっかり走ってくれたね。勝ててよかったです。
──ラキアレクサンダーは、直線でいったん2着馬に前に出られながらも、しぶとく盛り返したレースでしたね。
小牧 あの馬ね、先頭に立つとやめるんですわ。中央で4回も2着にきている馬から、力は間違いなくあるんやけど、とにかく先頭に立ちたくない。だから2着4回やねん。
── 一番勝たせるのが難しいタイプ。
小牧 そうやねん。今回も先頭に立った瞬間、完全にやめてましたやん。でも、2着馬にいったんかわされたもんやから、またやる気になった。
──力があるから、いったんは先頭に立つところまで行くけど、立ったら立ったで頑張るのをやめてしまう。騎手泣かせの馬ですねぇ。
小牧 JRAで2着、3着まではいくけど、結局勝ち切れなくて園田に転入してきたような馬は、そういう馬ばっかりやで。本当に多い。だから、園田にきても簡単には勝たれへんねん。力はあるのにねぇ。
──僅差で負けるとジョッキーのせいにされがちですけど、馬自身の意思で頑張るのをやめてしまうわけですから、どうしようもできない…。
小牧 この前のラキアレクサンダーは、うまいこといったんかわされる展開になったから勝てたけど、毎回そういう展開になるわけじゃないからね。能検(能力検査)でも全然やったもん。自分からは、まったく行こうとしない。
──そういうタイプの馬って、いずれは最後まで頑張れるようになるものなんですか?
小牧 勝つことを覚えたら、だんだんよくなってくるんじゃないかな。もともと力がある馬が多いから、そうなったら楽しみになるんやけどね。
──最後にファンからの質問をひとつ。「園田の調教はレースコースのみですが、小牧さんは馬によってどういう工夫をしていますか? コースにバリエーションがないなかでも、馬が変わったことを実感することはありますか?」。
小牧 その馬に合わせて、いろんな調教をしてるよ。それが楽しいところやねん。具体的な工夫というよりも、今日は1周でやめようとか、速歩(はやあし)のみにしておこうとか、運動だけにしておこうとか。距離も時計もそうやし、自分の感覚で決めている感じやね。
──コースは1種類ですが、メニュー自体は数限りなく考えられますものね。
小牧 そう、やりようはいくらでもあるから。もちろん、よくなってきたな、今回はダメやなとか、馬の変化もわかる。自分がレースで乗る馬ばかりだし、調教も全部任せてもらっているからね。楽しんで乗れてるわ。そうそう、最後にひとつ、報告があるんやけど。
──うれしい報告ですか?
小牧 そうです。園田で年に何度か発表があるんやけど、今年1月から3月の最優秀騎手賞に選ばれて。なんと、21年ぶり49回目。21年ぶりやで。すごいやろ?
──21年の時を経てというのが、そのすごさを物語りますね。
小牧 なんかうれしくてねぇ。この『太論』が更新される頃にはもう終わってしまっているんやけど、明日、ウイナーズサークルでその表彰式があります。次にまた獲れることがあったら早めにアナウンスするので、50回目のMVPの表彰式は、ぜひみなさん見にきてください。
(文中敬称略)