こちらのコラムでは、レース質予想のパイオニア・立川優馬氏が著書である『「今週勝つ!」を叶える馬券カレンダー』を基に週末の展望を解説していくものとなります。
人気予想家の見解を、ぜひ予想の参考にお役立てください!
(取材・文・構成=編集下M)
例年以上に追走面が求められそう
編集下M(以下、M) 先週は無料公開だった桜花賞こそ◎エンブロイダリーも相手抜けで単勝2000円×5倍のみ的中という、絵に描いたような“トントン”でしたが、福島芝はこのコラムで触れた通りになりましたね。2000mは差し狙い、それ以外の距離は内枠狙い。
立川(以下、立) 開催の仕組みを読み解くと、必然的に内枠有利になるんですよね。最初の芝レースで2→5→6という内枠決着となった土曜2Rを筆頭に、『ウマい馬券』でも結果を残すことができました。
M 2000mだけは差し決着になるという予測通り、土曜5Rでは4角10番手から最低人気のベラトールが差し切り単勝347.4倍。日曜メインの福島民報杯も2、4、5着馬が4角8番手以下の馬でした。
立 その3頭は13番、14番、15番と外枠だったのが響きましたね。内枠だったら間に合っていたと思います。今週土曜は雨が降らないようなので、引き続き同様の狙い方で良いでしょう。初回のコラムとしては意義あるものをお届けできたのですが、残念なことが2つあって…。
M 残念なこと、ですか。
立 1つは「内枠・先行・延長・スローペース」のレース質そのままに、内枠延長馬が1〜3着を独占して3連複約10万馬券になった土曜福島9Rを『ウマい馬券』で取り逃がしてしまったこと。もう1つは、コラムが土曜18時公開だったので、読者の皆様の土曜福島の馬券検討にはお役に立てなかったことです。
M それは思いました。「土曜の結果を見て書いたよね?」と思われてしまいそうですよね(笑)。なので、今週から公開時間を土曜12時に変更してもらっています。
立 それなら、今後は安心して土曜のレースについても触れられますね。
M さて、今週は皐月賞。『「今週勝つ!」を叶える馬券カレンダー』の4月第3週も「皐月賞はテンの追走経験が取捨のポイント」となっていますね。

『「今週勝つ!」を叶える馬券カレンダー』(画像は電子版)より
立 タイトルの通り、皐月賞では追走力が重要であることを紹介しています。特に、今年はCコース替わりのうえに、先週段階でかなりの高速馬場だったので、例年以上に追走面が求められそうですね。
M 誌面では前哨戦の勝ち時計とテン5F比較を紹介していました。今年の主な前哨戦は以下の通りになります。
ホープフルS 2.00.5(テン5F1.01.4)
京成杯 1.59.9(テン5F58.3)
きさらぎ賞 1.47.0(テン5F58.7)稍重
共同通信杯 1.46.0(テン5F1.00.0)
弥生賞 2.01.3(テン5F1.00.9)稍重
スプリングS 1.51.5(テン5F1.01.7)重
毎日杯 1.45.9(テン5F1.00.5)
立 単純にテン5Fの比較では京成杯が速いですが、このレースは大逃げがいての前崩れのハイペースで、上位勢はそこまで追走していません。各馬場状態(高速馬場、渋った馬場など)を考慮すると、上位好走馬の追走力比較では以下のように考えます。
きさらぎ賞>共同通信杯>京成杯=弥生賞>毎日杯>ホープフルS>スプリングS
M もっとも評価しているきさらぎ賞の勝ち馬がサトノシャイニングですね。
立 稍重馬場でもかなり流れたきさらぎ賞を追走し、上がり3F12.5-11.6-11.6の加速ラップで勝ち切ったサトノシャイニングは、皐月賞の速い流れでも末脚が削がれることはないでしょう。実際、きさらぎ賞2着馬は桜花賞3着、3着馬はチャーチルダウンズC勝ちと、きさらぎ賞より短い距離で追走力を求められても好走できていますよね。
共同通信杯を先行して押し切ったマスカレードボールも、流れに乗り切れれば追走面での問題はなさそうです。
M 断然人気が予想されるクロワデュノールの前走、ホープフルSはあまり追走面においては評価できないようですね。
立 クロワデュノールはここまでテン5F1分1秒を切る流れを経験していないので、追走面で死角があるのは確かです。ただ、去年のジャスティンミラノもテンに緩い流れの共同通信杯からのローテーションで、追走力上位馬を押さえて勝っています。能力上位として消すことはできないですし、ここを好走できればダービーは安泰ですね。
M やはり枠は外より内ですか?
立 皐月賞自体は以前の高速馬場時ほど内枠の重要性は高くありませんが、今年はCコースの高速馬場なので、雨が降らなければ1分57秒前後の決着になるでしょう。そうなると進路としてはラチ沿いを通したほうがよいですし、あまり外を回しすぎると間に合わないので、例年よりも内枠有利だと捉えています。
M 何か他に穴パターンはあります?
立 昨年のジャンタルマンタルのような、マイルで追走経験がある馬は一つの穴パターンですね。ただ昨年の朝日杯FSはテン5F1.00.4と流れておらず、ほかのマイル経験組も58秒台のような急流を経験していないので、ミュージアムマイルやドラゴンブーストにその役割を求めるのは酷かも、というのが正直な印象です。あとは、若葉Sでテン5F1.00.3の流れを先行押し切りのジョバンニも、緩い流れの前哨戦を使っている外枠の馬よりも適性面では高いと思います。
M かなり狙うべき馬がみえてきた気がします。土曜の福島は、2R、3R、5R、6R、9R、10R、12Rが芝のレースなので、ここで資金を作って、皐月賞にぶっ込みたいですね!
<枠順確定後の追記>
有力ステップのきさらぎ賞勝ち馬サトノシャイニングが内枠、少なくともクロワデュノールより内枠なら、サトノの単勝を中心に馬券を組むのもありと考えてしましたが、8枠かつクロワデュロールより外枠を引いたことで苦しい枠並びになりましたね。これならば、自身の内枠のテンが遅くラチ沿い2列目を確保できそうな共同通信杯勝ち馬マスカレードボールに食指が伸びます。
また、追走面での担保がある馬が比較的外に並んだ印象なので、重賞ではありませんがテン5F59.5と流れたすみれSを逃げ切ったジーティーアダマンにもチャンスが出てきたかなと。すみれSが1分を切ってくるのは10年ぶりで、10年前とは違って中盤の緩みのないラップで走破しているので意外性はありそうです。(立川優馬)