
“パンチ”ことネコパンチ(提供:ノーザンレイク)
まさか仲間入りするとは…パンチとの縁
筆者が運営に関わっている北海道新冠町の引退馬の牧場・ノーザンレイクには、前回登場したメイショウドトウ(認定NPO法人引退馬協会預託馬)以外にも2012年の日経賞で江田照男騎手を背に大逃げで快勝し単勝万馬券を出したネコパンチがいる。3月28日に満19歳になった。
誘導馬や乗馬としてのセカンドキャリアを過ごした東京競馬場からノーザンレイクにやって来たのは2023年12月3日だった。

パンチが到着した、2023年12月3日(提供:ノーザンレイク)
私がかつてライターとして美浦トレーニングセンターに出入りしていた頃、出走するレースの追い切りや障害練習について、東京競馬場に出発する時の様子など幾度となくネコパンチを記事にして馴染み深い馬ではあったが、その当時は自分が引退馬の牧場の運営に関わり、さらにネコパンチがその牧場に仲間入りするとは想像もしていなかった。
またパンチが乗馬を退いた後は、生まれ故郷の大道牧場が引き取るつもりでいたと聞いた。牧場の代表が亡くなり牧場を閉めたことは後から知ったのだが、もし代表が健在ならノーザンレイクに来なかった。そう考えると、パンチとは縁があったのだと思う。
競走馬現役時代、トレセンで立ち上がるなどパンチのヤンチャな姿をよく目にしていた。東京競馬場にいた時も時折噛みついたり、手入れの際に蹴る仕草を見せることがあったらしい。
ノーザンレイクに来てからはじゃれて噛んだり、朝、飼葉を食べている時に馬着を脱がせると蹴るような格好は見せるが、JRA厩務員時代に勤務していた藤沢和雄厩舎で能力が高くパワー溢れる馬ばかり担当してきたノーザンレイク代表の川越靖幸にとっては「大人しい馬」だそうだ。
パンチが来た当初は馬房や放牧地が隣のメイショウドトウがパンチに興味津々でソワソワしていた。ところがパンチはドトウにはほとんど目もくれず、我が道を行くタイプかに思われた。

ドトウの熱いラブコールに少しだけ応えるパンチ(提供:ノーザンレイク)
訪れた見学者に対しても「お目当てはドトウなんでしょ」とばかりに放牧地の遠くの方で草を食み、愛想を振りまくようなことはあまりなく、訪れた人や馬にはさほど興味はなさそうにも見えた。
だが最初から牧場猫のメトには興味を示し、近くに来ると匂いを嗅ごうとし、目の前を通ると首を伸ばして鼻を近づけていた。ドトウをはじめとする他の馬たちもメトが好きで自分たちの仲間だと認めていると感じるが、中でもパンチはかなりのメト好きに見える。

メトのことが大好きなパンチ(提供:ノーザンレイク)

でも草が美味しい季節は、メトより草(提供:ノーザンレイク)
放牧地でゴロゴロと転がるのも大好きだ。それは構わないのだが、パンチはただのゴロゴロ好きではなかった。川越や私が頭を抱えたくなるようなやり方で転がってくれるのだった。
(つづく)
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