
▲天皇賞(春)で上位人気が予想されるヘデントールとサンライズアース(撮影:下野雄規)、(c)netkeiba
競馬アナライザー・Mahmoud氏が、動画解析と科学的手法を駆使して天皇賞(春)を徹底分析。
出走馬15頭の距離適性を、ミオスタチン遺伝子に基づいて予測し、独自に取得した走行データからレース展開を大展望。
注目するのは、ヘデントールとサンライズアースが持ち込む持久戦で台頭するあの馬。予想印(◎、◯、▲、△)で上位評価5頭を発表します──。
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(構成・文:Mahmoud)
距離適性に影響を与える“ミオスタチン遺伝子”
昨年、「距離適性に影響を与える“ミオスタチン遺伝子”」をテーマに天皇賞(春)の展望を行いました。今年も引き続き、ミオスタチン遺伝子について続編として解説したいと思います。まずは、
昨年の展望コラムからミオスタチン遺伝子の基礎知識を引用します。
「ミオスタチンとは筋細胞の増殖分化を抑制する物質であり、ミオスタチン遺伝子C型は筋肉が付きやすくT型はその逆。父母から一対ずつ引き継ぐのでC/C、C/T、T/Tといった3種類の遺伝子型が競走馬には存在します。C/C型は筋力で勝負するタイプなので短距離型、T/T型は筋力が強くなりにくいので長距離型、C/T型はその中間層。」
もう少し私なりの表現を引用してみます。
「筋肉量が多いC/C型はそのパワーを生かしてピッチを速めたりストライドを伸ばしたりしてスピードを高めることができますが、筋力を多く使うとそれ相応に酸素消費量が増大し心肺機能の負担が大きくなります。エンジンを搭載した車で例えると燃費が悪く走行距離が短くなる方向性にあります」
「逆にT/T型は筋力が弱くスピードを高めることが苦手ですが、その分酸素消費量は少なく済み燃費が良く走行距離が長くなります。そして筋肉は重いですから傾向としてC/C型は馬体重が重くT/T型は軽くなりやすく、一つ前の段落の「施行距離と馬体重の相関関係」で述べた「距離が伸びるにしたがって大型馬の優位性は少なくなる」という部分はこのミオスタチン遺伝子の型の違いが影響しているのではないかと思うわけです」
種牡馬の距離適性データは、“人がどの距離のレースに出走させたいか”を間接的に反映している
父母が持つミオスタチン遺伝子の組み合わせによって、その仔のミオスタチン遺伝子型が決定するわけですが、種牡馬によって距離適性が決まるという考え方は古くから用いられてきました。ここで興味深いデータを紹介しておきます。C/C型種牡馬ロードカナロア産駒とC/T型種牡馬ダイワメジャー産駒の距離実績です。