こちらのコラムでは、俺プロ出身の奇才・のれん氏が当週の重賞注目馬を公開。ただ強いというだけでなく、馬券で期待値がとれそうな「妙味ある馬」を紹介していただきます。
今週のれん氏が注目したのは、東京競馬場で行われる府中牝馬ステークス(GIII)。実力派の見解を、ぜひ予想の参考にお役立てください!
開催最終週のDコースに変更で変わる傾向とは
昨年まで同じ名前のレースが10月に施行されていたが、そちらは今年から副題になっていたアイルランドTの名を冠しての開催。今週行われるのはハンデ戦で、実質的には廃止されたマーメイドSを開催条件だけ変更して引き継いだ形となる。
この6月末の開催はDコースでの競馬となるが、一昨年までユニコーンSが行われていたものの、芝重賞はこれまで開催されたことがなかった。
コースを変更する際にはラチを移動させて内の馬場をカバーするため、コース設定が変わる毎にコースの一周距離は長くなり、Aコースだと一周距離が2083.1mだが、Dコースでは2139.6mと56.5mもの差となる。芝1800mはポケットスタートなので厳密には異なるが、ざっくりワンターンだとして約28mスタート地点が前に出ていることになる。
そもそもがすぐにカーブするコース形態なのでその影響は意外と大きく、同じくDコースで開催される共同通信杯は少頭数になりやすいとはいえ2010年以来16年連続でテンの1F目が12.6秒よりも遅く、大体の年で13秒近く。
そして昨年まで同じDコースの東京芝1800mの3勝クラスとして施行されていた江の島Sは、昨年がテン3F37.0秒のスローペースで逃げと番手、3番手がそのままの順でゴール。その前に行われた2021年も、同じくテン3F37.0秒のスローペースで逃げと番手がそのまま。そしてその前年も不良馬場とはいえテン3F36.9秒で逃げと番手がワンツーしていた。
こうも毎年同じようなレースになっていると、コース形態に加えて開催最終盤の上に梅雨時で馬場も荒れていることが多く脚が溜まりにくい上、騎手意識的にも前半から突っ込みにくくなることも影響していそう。
今年の開催も雨に降られることが多かった分か、特にここ2週間は良馬場でもいつもとは違うような印象で、東京が庭なはずのノーザン勢が大苦戦。開幕に合わせて素質馬を揃えてくる新馬戦では走っていたものの、逆にそれ以外はほぼ壊滅的な成績だった。
昨年までの府中牝馬Sは秋の開幕2週目のAコースでの開催で、馬場がきれいな状態のためにとにかく溜めて速い上がりを使える馬がよく走るレースだったが、開催最終週のDコース開催となる今年からはそのイメージを払拭した方が良いだろう。