
▲フォーエバーヤングを支える2人の対談。後編では、旅好きのエバヤンの素顔に迫ります(撮影:高橋正和)
今年のサウジカップでは、先に抜け出したロマンチックウォリアーを差し返し、劇的な勝利を挙げたフォーエバーヤング。いよいよ10月1日(水)、船橋・日本テレビ盃で秋の始動戦を迎え、その後はブリーダーズカップを目指します。
秋の大舞台を前に、netkeibaでは「エバヤンの新学期」と題した大特集をお届け。エバヤンの最大の理解者であり、日々のケアを担う渋田康弘調教助手と、調教で跨りコンディションを整える荒木裕樹彦調教助手による対談をはじめ、「エバヤンの父と母」の近況取材、さらにここでしか見られない「エバヤンアルバム」まで盛りだくさんの内容です。
第2回は渋田調教助手と荒木調教助手の対談・後編。矢作芳人調教師が「旅が好きな馬」というフォーエバーヤングの旅の必需品やルーティン、そして「チーム矢作」としてこの秋にかける思いを伺いました。
<前編は
こちら>
(取材・構成:大恵陽子)
芝が大好きなエバヤンに、渋田助手がまさかの誤魔化し!?
──前編ではサウジC前のカイバの話がチラッと出ました。海外でも日本と同じ物を使っているのでしょうか。
渋田 サウジやドバイでは同じで、日本で使っている矢作厩舎オリジナルの飼料を持ち込めます。だけど、去年のブリーダーズカップは大変でした。日本から基本的には持ち込めなくて、向こうの飼料を使わないといけません。
荒木 飼料は輸入品が多いので、世界共通の物や似た物があるにはあるんですけどね。
渋田 漢字で「塩」って書いてある物を持って行ったら「英語表記じゃないからダメ」と言われたんですけど、「これを使いなさい」と渡されたのがハングル表記の塩。もう大爆笑しちゃった。
──もはやネタですね(笑)。
渋田 色んなチームと仲良くなって飼料を見せてもらったら、僕の使いたい物が飼料庫にいっぱいあるんですよ。でも、遠征で来ている僕たちは使えない、と。ヤングもさすがにカイバを見て「これはいらない」とか言い出したので、「だよね」とか言いながら。でも、牧草はいい物でしたし、3日目くらいからはやりくりできました。

▲サウジ、ドバイ、アメリカ…遠征先のルールに合わせて結果を出す技量が求められる(撮影:高橋正和)
──海外遠征での必需品はありますか?
渋田 いっぱいありますよ。日本だと馬房の扉を開けると馬栓棒(馬房入り口に横に通された棒)があるけど、アメリカにはないので、ロープが必要。
荒木 そう、扉を開けると馬が出てきちゃう。
渋田 必需品の話とは逸れますけど、海外遠征では日本チームで集まるといつご飯を食べに行くかじゃなくて、いつ馬具屋に行くかを相談します。「馬にここまで連れてきてもらった」という思いから、そうなるのかも。日本の馬具はほとんどが輸入品ですけど、海外に行くと素材やデザインがちょっと違う物もあって、頭の中では使わないって分かっていても買っちゃうんです。子どもや彼女にプレゼントするような気持ち。ヤングは馬服だけで13枚くらいあります。
──月替わりで着ても余る(笑)。
渋田 海外に行くたびに買っています。でも、寒い冬にヤングは日本にいたことがほとんどない。
──冬は毎年、中東に行っていますもんね。フォーエバーヤング自身はどこの国が一番好きそうですか?
渋田 サウジが好きですね。厩舎がすごく良くて馬がリラックスしすぎちゃうくらいだし、外に出たらすぐに芝が食べられるようになっていて、馬にとって楽園。芝が生えている場所の見た目は半分土で、あんまり美味しそうじゃないんだけど、ドバイの草よりもサウジの方が好きです。アメリカも去年、気に入っていました