
▲絶好調の小牧太騎手が明かす“要因”とは(撮影:稲葉訓也)
先週の水曜日は、すごいことが起こりました。なんと小牧騎手、7Rから12Rまで6連勝! 「ぶっ続けで乗って勝てたのは価値がある」と、本人もご満悦です。前日の火曜日には、年間200勝も達成。移籍2年目でのリーディング奪取は目前です。
今回の『太論』では、6連勝のおもなレース回顧と、それを可能にした経験値に言及。JRAでの経験から「引き出しと技が増えた」と語る“いぶし銀”から目が離せません!
(取材・構成=不破由妃子)
活躍の秘訣はJRAで得た「折り合う技術」
──先週水曜日の園田は“フトシ祭り”でしたね。7Rから12Rまで6連勝するなんてスゴ過ぎる!
小牧 なんかおもしろかったね。どうせなら、日を跨いで8連勝したかったなぁ。そうしたら、連勝記録やったのに。
──小牧さん、6連勝は以前にもしたことがあったんですか?
小牧 あるよ。確か2003年やったかな。当時はね、1日6鞍が騎乗数の上限やったんですわ。だから、全部勝った日があったんやね。僕以外にも、全勝したジョッキーは何人かいるみたいよ。今回、価値があるなと思ったのは、ぶっ続けだったこと。人間、なかなかそこまで気持ちが続かへんから。自分でもよう勝ち続けられたなと思うわ。
──1番人気ばかりではありませんでしたが、6連勝できる可能性は感じていらしたんですか?
小牧 いや、自分で調教しているクラシカルカイザーとスプリガンは、ちょっと厳しいんちゃうかなと思ってた。とくにスプリガンは、前回揉まれて大敗したのに、また内枠が当たってしまったし。だから、どうにか外に出せんかなと思いながら。
──スプリガンでの勝利は、本当にお見事でしたよ。スタート後に一発ムチを入れて、好位の外目を取りに行った。あそこで少しでも引いていたら、外の馬に被されていただろうなと思って。
小牧 そうかもね。2勝目のナナンはね、何で人気がないんかなと思ってたよ(3番人気)。たぶん、ここまでの勝ちタイムがむちゃくちゃ遅いからやろうけど、僕、行かせてないからね。
──行かせていないし、最後も目一杯追ってないし。
小牧 そうそう。そのあたりを見過ごされていたんやね、きっと。あの馬、むちゃくちゃいい体をしてるねん。これまではゲートを出なかったり、折り合いが難しかったりして、極端な競馬しかできんかったみたいやけど、なかなかいいものを持ってるよ。
──折り合いが難しいとのことですが、小牧さんはずっと好位で折り合わせているような。
小牧 やっぱりね、JRAで乗っていたぶん、いろいろな経験をしているから。この馬はこうやって抑えたほうがいいとか、身体が覚えているところはある。芝のレースで折り合いの付け方を学べたのは、やっぱり大きいね。こっちにきて、改めてそう思うわ。昔、園田にいた頃よりは、引き出しと技が増えてます(笑)。当時より今のほうが乗れてるかもしれんで。
──20年前より乗れているなんて、すごいことですよ、小牧さん。
小牧 JRAでの経験のおかげやで。ゲートもね、前に園田にいた頃は何でもかんでも出して行っていたけど、今は馬に合わせた出し方ができる。そういう引き出しも増えたね。よう考えたら、ジョッキーになって今年で40年。すごくない? 40年も競馬に乗ってるなんて。
──アッパレの一語でございます。6連勝も納得です。そういえば、ジグラートも強かったですね。5馬身差の圧勝ながら、まだ全力で走っていないような。
小牧 あれは強いわ。ただ、スタートも行かんし、器用な競馬ができない。今回も、何発もムチを入れて気持ちを乗せて。でもね、そうやって気合いを入れるようにしてから走り出した馬やねん。曾和先生の次男の由行くんの馬やから、一緒に頑張っていきたいと思ってるよ。
──6連勝も大きなニュースでしたが、前日の火曜日には年間200勝も達成されて。小牧さん、とんでもないことをやってのけていますよね。
小牧 200勝は目標やったからね。達成できてよかったです。そういえば、忘年会を兼ねて、200勝とガンバルフトシの(11月の)勝ち祝いをしました。ガンバルフトシのオーナーの伊藤(永二郎)さん、スポニチの菱田さん、伊藤雄二先生の息子さんの強くん、スポーツ報知の山本くんと僕の5人でね。オーナーの伊藤さんとも久しぶりに飲めたし、みんな昔から仲良くしている人たちやから、久しぶりに楽しい夜やったわ。

▲「楽しい夜やったわ」(提供:小牧太)
──木曜日のガンバルフトシも勝って(タイム差なしの惜しい3着!)、7連勝を決めていたらもっと…。
小牧 ねぇ。連勝ストッパーになってしまったわ(苦笑)。でもね、走るようになってきたし、伊藤さんも笑ってた。また一緒に勝ちたいね。
(文中敬称略)