スマートフォン版へ

netkeiba

KEIRINグランプリ出場選手を有馬記念の出走馬にたとえると!?

  • 2025年12月22日(月) 16時00分
馬ラエティBOX

▲KEIRINグランプリ出場選手9名(撮影:北山宏一)



いよいよ今週末と迫った年の瀬の大一番・有馬記念。今年は12月28日開催、有馬記念が中央競馬の締めくくりだが、同日にKEIRINグランプリシリーズが開幕・その2日後となる30日には競輪の大一番のレース「KEIRINグランプリ2025」が開催される。

普段は有馬記念で終わり、という方も今年は「KEIRINグランプリ2025」も楽しんでみてはいかがだろうか。そこで2つの大レースをより楽しんでもらえるように、KEIRINグランプリの出走選手を有馬記念の出走予定馬に例えてみました。


【近畿】脇本雄太選手(94期=福井・36歳)→レガレイラ


馬ラエティBOX

▲脇本雄太選手(撮影:北山宏一)・レガレイラ(撮影:下野雄規)


 いまの競輪界で“最強”の二文字を背負う脇本雄太選手。現在開催されている6つのGI(全日本選抜・日本選手権・高松宮記念杯・オールスター・寛仁親王牌・競輪祭)をすべて制覇、さらに頂点の舞台・KEIRINグランプリも制し、史上初の「グランプリスラム」を達成。その実績を前にすれば、歴代最高の選手と言っても過言ではない。無理やり競馬で例えるならば、「クラシック三冠まで達成しているテイエムオペラオー」といったところか。

 自分のカタチに持ち込めないと脆い側面はあるが、特筆すべきはその“速さ”で、ツボにはまれば手をつけられないほどの強さを発揮。後方待機から一気の脚で前を呑み込むスピードと加速力で、多くのファンを魅了している。今年の出走予定馬で最も近い存在は、昨年の覇者であるレガレイラ。直前の大きな怪我で状態面が心配されるが、それでもやはり、その“格”と規格外のスピードは侮れない。

【近畿】古性優作選手(100期=大阪・34歳)→ミュージアムマイル


馬ラエティBOX

▲古性優作選手(撮影:北山宏一)・ミュージアムマイル(撮影:下野雄規)



 競輪も競馬と同様、単に脚力があるだけでは勝てない。展開を読み、有利な位置を取り、そして臨機応変に立ち回るという“戦略性”が問われる時代となっている。この点において右に出る者がいないのが古性優作選手で、さらに脚力や技術力もトップクラスという、オールラウンダーの完成形だ。「マジックマン」J.モレイラ騎手がもし競輪選手になったら、おそらく古性選手のようになるのではなかろうか。

 今年の出走予定馬でイメージがダブるのは、そのJ.モレイラ騎手が皐月賞のゴールへと導いたミュージアムマイル。天皇賞(秋)はマスカレードボールの僅差2着という悔しい結果に終わったが、その能力の高さを改めて感じさせる内容でもあった。最速ではなく、上がり2〜3位で結果を出せているのは、立ち回りが上手であるからこそ。レースの巧みさと総合力の高さで、どちらも戴冠が期待できそうだ。

【関東】眞杉匠選手(113期=栃木・26歳)→ダノンデサイル


馬ラエティBOX

▲眞杉匠選手(撮影:北山宏一)・ダノンデサイル(撮影:下野雄規)


 今年の競馬流行語大賞は、満場一致で戸崎騎手の「ベリーベリーホース!」に決まるはず。ドバイSCという大舞台でみせたダノンデサイルの剛脚は、まだ記憶にも新しい。こと“爆発力”に関していえば、今年の出走予定馬でも最右翼だろう。そんなダノンデサイルに似た側面を感じるのが、関東の若きエースである眞杉匠選手。まだ26歳という若手ながら、競輪界の将来を背負って立つ存在である。

 古性選手に近いオールラウンダーだが、古性選手ほどは完成されておらず、まだ荒削り。そのぶん安定感には欠けるが、勝負でみせる闘争心の高さや、ここ一番での“爆発力”はトップクラスだ。「眞杉ならば何かやってくれる」と、ファンを常に期待させてくれるのは本当に魅力的で、その期待に応えられるだけの能力もある。消化不良な結果に終わった昨年の分まで、今年の眞杉選手は魅せてくれそうだ。

【南関東】郡司浩平選手(99期=神奈川・35歳)→シンエンペラー


馬ラエティBOX

▲郡司浩平選手(撮影:北山宏一)・シンエンペラー(撮影:高橋正和)


 2025年は序盤から絶好調モードで、上半期だけでGIIIを6勝する大活躍をみせた郡司浩平選手。当然ながら大舞台での活躍が期待されたが、GIやGIIではなかなか結果を出せないという、もどかしい結果が続いた。南関東地区を牽引する存在で、周囲からの人望も厚く、熱烈なファンも多い郡司選手。脚力も言うまでもなくトップクラスだが、それでもなかなか勝てないのが、競輪のビッグタイトルなのだ。

 苦しみながらも、爽やかな笑顔で前に進む。そんな今年の郡司選手の姿と重なる出走予定馬は、シンエンペラーである。今年はサウジのネオムターフCを快勝するも、その後の海外遠征では残念ながらいい結果を出せなかった。しかし、久々の国内戦だったジャパンCを叩かれての有馬記念参戦で、ガラッと変わってくる可能性を感じる。能力の高さは折り紙付きなのだから、どちらもけっして侮れない。

【九州】嘉永泰斗選手(113期=熊本・27歳)→ビザンチンドリーム


馬ラエティBOX

▲嘉永泰斗選手(撮影:北山宏一)・ビザンチンドリーム(撮影:高橋正和)


 前橋・寛仁親王牌(GI)を優勝し、初のビッグタイトルを獲得した嘉永泰斗選手。九州地区の若手としてその存在感を強めているが、競輪選手としての歩みは、けっして順風満帆なものではなかった。持病であるヘルニアの悪化、落車による大怪我などもあり、大舞台では思うように結果が出せない日々が続く。そんな逆境を“不屈”の精神で乗り越えての戴冠だけに、ずっと応援してきたファンは胸が熱くなったはずだ。

 そんな嘉永選手には、ビザンチンドリームの姿が重なる。激しい気性がネックで高い能力を発揮できず、皐月賞13着、日本ダービーは17着と惨敗。そんな挫折を味わっても、ビザンチンドリームや管理する坂口智康調教師はまったく諦めなかった。春には天皇賞(春)で2着に好走し、秋には凱旋門賞にも挑戦(5着)。逆境を乗り越えた“不屈”の精神は言うまでもなく、暮れの大舞台でも大きな武器となる。

※ビザンチンドリームは回避となりました

【関東】吉田拓矢選手(107期=茨城・30歳)→エルトンバローズ


馬ラエティBOX

▲吉田拓矢選手(撮影:北山宏一)・エルトンバローズ(撮影:下野雄規)


 競輪にも「ダービー」がある。それが日本選手権競輪(GI)で、すべての競輪選手が夢見るビッグタイトルだ。そして今年のダービー王に輝いたのが、吉田拓矢選手。苦しい時期を乗り越えて心身ともにレベルアップし、今年は「全6回のGIのうち5回で決勝戦に進出する」という、じつに安定した走りをみせている。今年のKEIRINグランプリを優勝して、なんの不思議もない実績の持ち主といえるだろう。

 クロワデュノールばりの大活躍をみせた吉田選手だが、目立つのが好きではない本人の性格もあってか、ファンから“過小評価”されがちな側面があるように感じる。まるでエルトンバローズのようなキャラクターである。穴党ならずとも、こういうタイプとは仲良くしておくのが正解だ。

【近畿】寺崎浩平選手(117期=福井・31歳)→メイショウタバル


馬ラエティBOX

▲寺崎浩平選手(撮影:北山宏一)・メイショウタバル(c)netkeiba


 スタッフ全体で馬を仕上げる競馬もチーム戦だが、ラインというものが存在する競輪は、さらにその色が濃い競技だ。同じ釜の飯を食う仲間が、ともに「優勝」という最大目標に向けて全力を尽くす。そんな“絆”が感じられるのも、競輪の醍醐味である。函館・オールスター競輪(GI)における寺崎浩平選手の優勝は、仲間のために頑張ってきた彼が、今度は仲間に助けられ報われるという、まさに“絆”の勝利だった。

 そんな寺崎選手のイメージに最も近い出走予定馬は、今年の宝塚記念を制したメイショウタバルだ。メイショウサムソンの主戦だった石橋守調教師は、調教師として本馬でGI初制覇。手綱を握った武豊騎手が表彰式で「涙が出そうになるくらいうれしかった」と語ったのは、故・松本好雄オーナーや石橋調教師との間に、強い“絆”があったからにほかならない。近畿の強い“絆”で走る寺崎選手に、ぜひ注目していただきたい。

【近畿】南修二選手(88期=大阪・44歳)→ジャスティンパレス


馬ラエティBOX

▲南修二選手(撮影:北山宏一)・ジャスティンパレス(c)netkeiba


 2025年の獲得賞金ランキング7位と、1年を通じてトップクラスで存在感を発揮していた南修二選手。その活躍をひと言で表現するならば“進化”だろう。現在44歳というベテランながら、現在の競輪で勝つために必要な脚力をひたすら磨き上げ、そして進化を果たした。この年齢になって自分を変えようとして、それを実際に成し遂げるというのは、並大抵の努力でできるものではない。

 そんな南選手を彷彿させる出走予定馬といえば、ジャスティンパレスしかないだろう。昨年の秋から古馬中距離GI皆勤賞で、今年の宝塚記念と天皇賞(秋)では3着に好走。しかも、天皇賞(秋)では位置を取りにいく競馬で結果を残すなど、ここにきてまたひと皮剥けた感もある。今年の有馬記念とKEIRINグランプリは、ジャスティンパレスや南選手にとって集大成となるレース。さらに“進化”した姿を見せてほしい。

【北日本】阿部拓真選手(107期=宮城・35歳)→ミステリーウェイ


馬ラエティBOX

▲阿部拓真選手(撮影:北山宏一)・ミステリーウェイ(撮影:下野雄規)


 ファンの記憶に深く刻まれる、人気薄での“激走”。昨年の有馬記念でも、10番人気のシャフリヤールが2着に激走して、多くのファンを驚かせた。過去には、メジロパーマー(15番人気)やダイユウサク(14番人気)など、超のつく穴馬が優勝したこともある。それに匹敵するレベルの“激走”を今年の小倉・競輪祭(GI)でみせたのが、阿部拓真選手。優勝した決勝戦の3連単は、なんと最低人気の組み合わせだった。

 まだGIIIを勝ったこともない選手のGI制覇で、KEIRINグランプリ最終切符を手にするのが彼だと予測した者など、ほぼいなかったはず。そんな意外性の高さや“激走”への期待感から、ミステリーウェイの姿を阿部選手に重ねたい。ミステリーウェイと同様、阿部選手もここにきて本当に力をつけており、調子もグングン上げてきている。人気薄での「もう一発」を期待したくなってしまうのは、私だけだろうか?

馬ラエティBOX

このコラムをお気に入り登録する

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

netkeiba豪華ライター陣がお届けするエンタメコーナー。今まで味わったことのない競馬の面白さを体感してください!

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング