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インヴィンシブルスピリット新記録樹立

  • 2006年12月12日(火) 23時51分
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 12月3日、イタリアのネイプルス競馬場で行われた距離1000mの2歳メイドン戦を、今季の2歳が初年度産駒となる新種牡馬インヴィンシブルスピリットの子パピマムーパが優勝。インヴィンシブルスピリットにとって35頭目の勝ち馬となり、ファーストクロップサイヤーが2歳時に送り出した勝ち馬数の、北半球新記録を樹立した。

 従来の記録である34頭は、その後日本に輸入されたエンドスウィープが、フロリダで供用されていた時代の初年度産駒が競走年齢に達した1998年と、クールモア供用のファスリエフの初年度産駒が2歳となった2003年の2度マークされていたが、インヴィンシブルスピリットの35頭は、これらを上回る新記録となった。

 インヴィンシブルスピリット(その父グリーンデザート)は、ジョン・ダンロップ調教師の管理馬として、1999年に英国でデビュー。母ラファはフランスのオークス馬だが、父の影響を色濃く受けたのか、短距離路線で活躍。ヘイドックパークのG1スプリントCを含めて、いずれも6ハロンの重賞に3勝する活躍を見せ、01年の愛国におけるチャンピオンスプリンターの称号を獲得した。

 2003年から愛国のナショナルスタッドで種牡馬入り。初年度の種付け1万ユーロが設定されて、翌年94頭の初年度産駒が誕生した。この、2004年に誕生したインヴィンシブルスピリットの初子たちが、バカっ走りしたというわけだ。

 94頭の初年度産駒のうち35頭が勝ち上がるというのは、勝ち上がり率でいうと37%に到達するのだから、凄い確率である。しかも、G2ジムクラックSを制したコンケストや、ニューマーケットのG1ミドルパークSで3着となった後に仏国のG2クリテリウムドメゾンラフィットを制したキャプテンマーヴェラスなど、そこそこの大駒も輩出しているのだから、大した成績である。

 今年の2歳が初年度産駒という新種牡馬には、ロックオブジブラルタルという大物がいて、リーディングフレッシュマンサイヤー争いでも大本命に推されていた。実際にロックオブジブラルタルの産駒は、仏国のG1クリテリウムドインターナショナル勝ち馬マウントネルソンなどを出して、概ね期待に添う活躍を見せたのだが、インヴィンシブルスピリットはそのロックオブジブラルタルに大差をつけて、英愛2歳フレッシュマンサイヤーリーディングの首位に立ったのである。

 これを受けて繋養先のアイリッシュ・ナショナル・スタッドは、インヴィンシブルスピリットの来年度の種付け料を3万5000ユーロにすると発表。一躍流行の先端を行く種牡馬となっている。

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1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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