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セレクションセール2007

  • 2007年07月17日(火) 23時49分
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 当初、台風の影響が懸念された7月16日と17日の両日、新ひだか町静内の北海道市場にて「セレクションセール2007」が開催された。しかし、両日とも予想に反して好天に恵まれ、北海道らしいカラッとした爽やかな気候の下、無事に二日間の日程を消化した。

当歳市場パレードリンク

 まず、16日は1歳市場が行なわれた。以前この欄でも触れた通り、今年は上場申し込みが550頭に達し、そこから220頭に絞られるという難関。この時点でかなり上場馬は厳選されたはずで、アグネスタキオン、キングカメハメハ、クロフネ、シンボリクリスエス、スペシャルウィーク、マンハッタンカフェなどの社台系種牡馬の産駒の他、コロナドズクエストやボストンハーバー、フォーティナイナーなどのJBBA系種牡馬、タイキシャトル、マーベラスサンデー、ブライアンズタイム、ワイルドラッシュといった日高で繋養されている種牡馬の産駒も多数上場され、バラエティに富んだ構成となった。

当歳市場風景

 結果は197頭が上場され128頭が落札。売却率64.97%、売り上げ総額は15億8235万円(税込み)。対前年比では、上場頭数で9頭増、落札頭数も13頭の増、売却率は3.8ポイントの増加で、総額でも3億5300万円ほど増えた。1歳に関しては、まずまずの結果が出たと言えるだろう。

最高価格馬サニーアスラン

 最高価格馬は114番「サニーアスラン」(父フォーティナイナー、母インキュラブルロマンティック、牡栗毛)の6300万円(税込み)。フサイチの冠名で知られる関口房朗氏が自ら市場に訪れ落札した。同馬は全兄にキネティクス(富士S)、半兄にフジノウェーブ(南関東公営、マイルGP、東京シティ盃)などいる名血。浦河の笹島政信氏生産、コンサイナーはチェスナットファーム。

関口房朗氏

 なお、「今年は日高に行って馬を買うつもり」と以前関口房朗氏ご本人が語っていたそうで、その言葉の通り、北海道市場に同氏が姿を現すと、場内の空気が文字通り一変した。まさしく圧倒的な存在感と表現する他なく、最前列左手に陣取った関口氏は、この日、活発に目当ての1歳馬をせり落とし、(株)FDOの名称で計7頭を購買した。総額2億3625万円(税込み)のお買い上げとなり、セレクションセールでのトップバイヤーとなった。

 ところで、この日、2軒のコンサイナーがともに「完売」を記録した。日高の市場ではすっかり「おなじみ」となったハッピーネモファームとチェスナットファームで、それぞれ12頭と7頭を上場。全て売り切り、活発な市場に大いに貢献した。

 2日目の17日は当歳市場が開催された。例年、セレクションセールは、1歳市場が比較的成績が良い反面、当歳市場が伸び悩む傾向があったのだが、果たして今年も、前日の盛況だった1歳市場とはうって変わってやや低調ムード。193頭上場で落札は72頭。売却率37.3%、総額8億3086万5千円という結果に終わった。前年比で上場馬は25頭増、落札も3頭増、しかし売却率は3.8%減少し、総額でも8746万5千円、下落した。

 最高価格馬は353番「メグミガバナーの19」(父アグネスタキオン、母メグミガバナー、牡栗毛)で3150万円。新ひだか町の安田豊重氏生産。落札したのは大島敏氏。

 前週のセレクトセールで当歳馬に投入される購買資金が枯渇してしまった? わけでもあるまいが、かなり対照的な結果に終わった。中でもちょっと目立ったのは、ダンスインザダーク産駒の不振である。当歳市場には(最多数の)16頭中15頭が上場され、落札は牡が2頭のみ。牝馬10頭は全滅に終わった。また、キングカメハメハ産駒も7頭上場されたがいずれも主取りであった。

 何とも厳しい結果という他なく、必ずしも生産者側と購買者側の希望がこと日高の当歳市場に関しては必ずしも一致していないのかも知れない。当歳市場は秋にも開催されるが、昨年までの例を見る限り売却率は概ね20%台。さらに苦戦が予想される。そろそろ日高における当歳市場は見直しの時期に来ているような気がする。

岩手の怪物トウケイニセイの生産者。 「週刊Gallop」「日経新聞」などで 連載コラムを執筆中。1955年生まれ。

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