7月21日、22日は、前評判ではそれほど騒がれていなかった新馬の中に、光る素質を見せた馬が多かったと思う。特に新潟の新馬戦で目立っていた。まずは21日の新潟、直線1000mの新馬戦。直線競馬デビューの新馬で、のちに出世した馬は
バランスオブゲームのほか見あたらないと思うのだが(印象だけで言ってます)、しかし6馬身差圧勝の
エフティアクトレス(牝、美浦・矢野進)の身体能力は相当高そうだ。元来、直線競馬を圧勝するためには、かなりの体力というか、馬力が必要なのだが、前半脚をタメて、外へ持ち出され、スパートで軽く突き放すという競馬を、メリハリのつけづらい直線競馬で、しかもデビュー戦でできたという点を評価。プライムステージの仔だから気性面が課題だし、それによって距離の守備範囲が決まってくると思うが、特に問題が出なければ、マイルまでならこなすだろう。新種牡馬ファルブラヴの産駒。
同日の新潟芝1800mの新馬戦を勝ったのが、これまた新種牡馬ゴールドアリュール産駒の
ゴールドストレイン(牡、美浦・稲葉隆一)。種牡馬としての評価は今ひとつとしていたのだが、これもサンデー系の威力か? 1000m通過65.4秒の超スローを好位で折り合い、ゴール前2F目、10.7秒とラップが激流化したところでスパート、差して突き放した。レースが巧いし、最後の2Fはおそらく10.7→11.1、2秒くらいでまとめ上げたものとみる。瞬発力を維持できる力もあるようだ。母はクイーンC勝ちのサクセスストレイン。新潟2歳Sへ向けて、面白い馬になりそうだ。
翌22日、芝1400mの新馬戦を勝った
スズジュピター(牡、母ジュピターズジャズ、美浦・高橋裕)もかなりの器。息が入らない流れを3番手で先行。前に行った組が総崩れになる中、大外をブン回して余裕の抜け出し。鞍上が左右後方を確認する余裕があった。タニノギムレット産駒で、仕上がりの早いビーバップの牝系だ。同じ稍重発表(厳密な馬場差は、個人的には日曜の方がかかっていたと見ている)だった前日のマリーゴールド賞を、0.5秒も上回った。時計面や内容からも、完全にマリーゴールド賞組より上。
そのマリーゴールド賞は、
エイシンパンサー(牝、父コロナドズクエスト、母ナナコフレスコ、栗東・平田修)の取消で興趣が削がれてしまった。勝った
エフティマイア(牝、父フジキセキ、母カツラドライバー、美浦・矢野進)は完成度の早さで無難な勝利。結果自体には今後に結びつくほどのものが見えなかった。
それにしても、新潟の2歳戦でここまでスペースを割くことになるとは思わなかった。
函館では、22日芝1800m戦に注目が集まった。評判の高ブランド馬、
スパークキャンドル(牡、美浦・藤沢和雄)のデビュー戦だったが…。新馬戦では無条件で買い? のフジキセキ牝馬
レディービスティー(牝、母バンクシアローズ、栗東・藤原英昭)に競り負けての2着。ただ、勝負根性は見せていたし、ゴール前はフラついたり寄られたりするシーンもあったので、それほど失望させられるものではなかった。もっとも、そうなった理由は、どうも下半身が甘いような走りをするところにあるのではないだろうか。意外と時間がかかりそうな気がする。あと、体型はやはりA.P. IndyとSerena's Songの配合らしく、ダート向きに見えるのだが? 勝ったレディービスティーは、もちろん評価できるのだが、フジキセキ産駒の牝馬は成長力に乏しいケースがあるので、見極めはまだ先の話となる。
なお、21日、
ハートオブクィーン(牝、父ジョリーズヘイロー、母マイシークレット、北海道・若松平)の勝ったラベンダー賞の組は、今後へ向けてはまだふた周りは育たないと、将来性云々は語れない感じ。
小倉からは特記すべき馬が見当たらなかった。
新種牡馬からはエイシンプレストン産駒も勝ち名乗り。シンボリクリスエス産駒は未だ2着止まりで勝ち馬なし。少し心配。