やはり、POGでは毎年初の重賞となる函館2歳Sから触れるべきだろう。しかし多くのファンの方もおわかりのように、極悪の馬場コンディションへの適性がすべてを左右したレースとなった。
中距離換算で、水準よりも5秒から6秒もかかるという驚きの馬場。発表は重だったが、とてもとても重で済むような時計の馬場ではなかった。勝ったのは道営馬
ハートオブクィーン(牝、母マイシークレット、北海道・若松平)で、ラベンダー賞からの連勝。2年ぶり3度目の道営馬の函館2歳S制覇となった。ラベンダー賞は時計面では低調という評価を以前にここで下したし、その評価を変えるつもりは毛頭ないが、そのラベンダー賞よりもさらに大幅に時計を要する決着となっては、時計的な比較論はまったく意味をなさないものだった。
ハートオブクィーンの勝因は、まず道営馬特有の完成の早さ。次いで、このような馬場への適性の高さ。正直言って、ジョリーズヘイロー産駒でもあり、ハイペースの競馬では不安が大きいが、今後の中央出走時のレースがまた今回のような馬場になるのなら、一考は必要だろう。
ジョイフルスマイル(牝、父マヤノトップガン、母ゴーオンマイウェイ、栗東・矢作芳人)については、道中の展開の利…というか、この消耗する馬場で前に行った2歳馬がみな撃沈した中、自分の競馬をしたら連対してしまったということだろう。ちなみにこの馬は、母の父がジョリーズヘイロー。
イイデケンシン(牡、父サンダーガルチ、母ヘヴンリーアドヴァイス、栗東・昆貢)は、そのダート寄りの血統を生かして、この悪い馬場の内をすくって伸びた。後方から行ったのも、道中の消耗を避けた横山典騎手の作戦だったと思うし、それもある程度は功を奏した。2着3着の差は展開のアヤ。今後は、血統面からもダートへ活路を求めることになるかもしれないが、ダート的な適性が問われる芝1400mでは好走が見られるかもしれない。
エイブルベガ(牡、父アドマイヤベガ、母カネヤマシカダ、美浦・二ノ宮敬宇)は完全にこの馬場に泣いた。好タイム勝ちした馬はスピードへ特化しているわけだから、この馬場では凡走してもまったく不思議はない。
ベストオブミー(牝、父ブライアンズタイム、母フラワーアーチ、栗東・鮫島一歩)は、騎手のコメントではソエがひどかったとのこと。筆者の見た範囲では、そうした関係者コメントは見られなかったし、報道もなかった。大敗してから言い訳のように出されても、ファンは白けてしまう。ソエが出ていたら買うかどうかはファンが判断するから、関係者は隠さずに語ってほしいものだ。
小倉ではOP`特別のフェニックス賞。以前ここで「次走必勝」とみた
ビーチアイドル(牝、父ファルブラヴ 、母ビーチフラッグ、栗東・加用正)がなんとか勝ってくれたが、内容は特に唸らされるものではなかった。ゴール前で頭が高くなったのは、遊んだのか、苦しがったのかわからないが、距離的にはマイルではもう厳しいというのは見て取れた。
メッサーシュミット(牡、父スクワートルスクワート、母アバンダンメント、栗東・川村禎彦)は逃げて3着。ハイペースだったし、失速は仕方ないにしても、ちょっとアッサリと負けすぎた。これも一介のスピード馬となりそうだ。
新潟では日曜2Rの未勝利戦、芝1400mを勝った
サマーエタニティ(牝、父アドマイヤコジーン、母オールフォーゲラン、美浦・畠山吉宏)のスピードが目に付いた。危なげない逃げ切り、しかも後半のラップの落ち具合が小さく、体力がある。勝ちタイム1分21秒8は、稍重を思えば立派で、マリーゴールド賞を単純比較で1.9秒も上回った。アドマイヤコジーン産駒は昨年の2歳戦で活躍したものの、その後尻すぼみになるケースが多かったが、今年もまた2歳戦で復活しつつあるので、やはり2歳戦向きの早熟度があることがわかった。地味で人気にならないことも多いので、今後も2歳戦では要注意だろう。