秋競馬も佳境に入り、期待を掛けられる馬が続々現れました。取り上げたい馬が多いので、ポンポンと要約していきます。
まずは東京。土曜3Rの未勝利戦、敢えて勝ち馬よりも2着馬を取り上げます。
スペシャルシーズン(牡、母マガリーダー、美浦・本郷一彦)は、スタートで出遅れた後に横からぶつけられ、大きくリズムを崩す不利があり、かつ勝った
シルクハリアー(牡、父シンボリクリスエス、母アースレイヴ、美浦・畠山吉宏)におあつらえ向きのスローペース。マイルで前半62.7秒のペースだけに、絶望的な位置取りでしたが、上がり33.8秒の切れで2着まで伸びました。明らかに勝ち馬以上の評価です。広い東京向きなので、中山に移る前に勝ち上がっておきたいところ。スペシャルウィークにアリダーの肌。
土曜6Rの新馬戦(芝1600m、牝馬限定)では、大物の呼び声高い
メイビリーヴ(牝、母メディアウォーズ、美浦・松山康久)が勝利。着差こそクビでしたが、勝ち方は余裕ありでした。サクラバクシンオー産駒ですが、馬体は母の母メインキャスターを彷彿とさせます。短距離よりマイルが良さそうですが、ただノーザンテーストの3×3という強いクロスがあるので、2000mでは厳しいかも。あと内寄りの枠に入った場合、ストレスでテンパる恐れもあります。次走が試金石。
土曜9Rの百日草特別。6戦目の
ショウナンアクロス(牡、母バブルウイングス、美浦・大久保洋吉)が、初めてまともなスタートを決め、緩みないペースから逃げ切りました。1000m60.5秒は2歳戦としては速めとも言えるもの。ショウナンパントルの半弟で、父がダンスインザダークに替わった分、姉よりは奥がありそう。
このレースの上位3頭は、当連載で以前にも取り上げた素質馬が占めました。再度触れておくと、2着
ロスペトリュス(牡、父タイキシャトル、母ロスマリヌス、栗東・大久保龍志)は息の長い脚を使えるタイプで器用。スプリンターズSの日に極悪馬場の新馬戦を勝っていた3着
ダークエンジェル(牝、父ダンスインザダーク、母シェーンクライト、美浦・古賀慎明)は、負けてなお強し。メンバーの中では、最も強い競馬をしていました。ただ馬体は416kg、これ以上は減らしたくないところ。3頭とも重賞を勝ち負けできる力があります。
日曜2Rの牝馬限定の未勝利戦。前日のメイビリーヴとほぼ互角の時計で
ブラックエンブレム(牝、父ウォーエンブレム、母ヴァンドノワール、美浦・小島茂之)が勝利。印象は地味ですが、馬群でモマレまくりながら消耗せずにシッカリ脚をためられており、レースの巧さと根性が目に付きました。500万でも。
日曜6Rの新馬戦、芝2000mでは、
ツバサ(牡、父ホワイトマズル、母ガルフパール、美浦・国枝栄)が、好位から上がり33.7秒で後続を3馬身突き放しました。超スローなので時計的には見るべきものはありませんが、一瞬にして2着馬を3馬身離した脚は才能を感じさせました。要注目。
京都にいきましょう。土曜2Rの未勝利戦(芝1400m)を勝った
ゼットスピール(牡、父シングスピール、母Katina、栗東・山内研二)は1分22秒0の勝ちタイム。同日の2歳500万より1秒速く、翌日のファンタジーSとは0.9秒差。まずまずのタイムでしたが、勝ち馬はようやく折り合いを見せた競馬で、距離は1400mからマイルが専門となりそう。
土曜6Rの新馬戦(芝1200m)を勝った
ダノンゴーゴー(牡、栗東・橋口弘次郎)は返し馬で引っ掛かってしまい、レース前にかなり消耗したはず。それでも末脚をタメる競馬から、大外から手前も替えずに差し切り。あのレース前のアクシデントがありながら、上がり33.3秒は素晴らしい! 父アルデバラン(Aldebaran)はミスプロ産駒で、03年の全米最優秀スプリンター。本馬はディアデラノビアの従妹という良血馬で、母ポトリネル(Potrinner)は南米のG1馬。相当の能力があります。距離は、マイルまでは何とかなるでしょう。大物短距離馬誕生か?
日曜はなんといっても6Rの新馬戦(芝2000m)を勝った
キングスエンブレム(牡、母スカーレットレディ、栗東・石坂正)。2コーナーで内の馬に大きく張り出されましたが、怯まずにリカバーし、
グローリーシーズ(牡、父ファルブラヴ、母サファイヤコースト、栗東・音無秀孝)との一騎討ちを差し返してもぎ取る根性を見せました。これは強い! ヴァーミリアンの下でダイワメジャー、ダイワスカーレットの近親、父はウォーエンブレム。スローペースなので時計対応の課題はありますし、武豊騎乗だからこそ勝てた競馬でしたが、これは間違いなく高性能。暮れのラジオNIKKEI杯2歳Sへ向けて有力候補出現です。
ファンタジーSは、ここで取り上げてきた
エイムアットビップ(牝、父アグネスデジタル、母ドリームクロス、栗東・矢作芳人)が途中から一気に飛ばしてペースを挙げてしまい、暴走のまま押し切りそうなところを
オディール(牝、父クロフネ、栗東・橋口弘次郎)に差し込まれました。エイムが意外と「キレやすい」のには驚きました…。これだと、やはりマイルは厳しいかもしれません。オディールは、前走のりんどう賞でのエイムとの2馬身差を逆転できるとは思いませんでしたが、母キュンティア譲りの早熟度がものを言ったのかもしれません。ただ時計的にも内容的にもイレギュラーなレースで、今後へつながるかどうかは微妙と見ています。
最後に福島から福島2歳Sを。
ダイワマックワン(牡、父Langfuhr、母コートアウト、美浦・増沢末夫)は、あの競馬で勝ち切れなかったのは大きな不安あり。天井が見えてしまいました。今後はメンバーにかなり恵まれないと勝ち切れないでしょう。勝った
スマートギャング(牡、父グラスワンダー、母トロピカルレディー、美浦・畠山吉宏)は、前走を高評価していました。逃げずに差して来たことにはビックリ。思ったよりも奥が深いのかもしれません。
とにかく先週は、秋の収穫祭のように見所十分だった2歳戦。先々週含め、ようやく入厩遅れも正常化して、急に充実してきた感があります。
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