…と銘打ってみましたが、とにかく春がまったく見えてこない世代。ダートは逸材揃いで良い意味での拮抗状態。芝は、特に牡馬で混迷の度を深める一方で、ネガティヴな意味での手探り状態。その中から進路を見極めていくのは難しくも面白い作業です。先週の3歳戦をチェックしていきましょう。
中山では、土曜に500万下の若竹賞、芝1800m。1分49秒1のタイムは今の馬場なら水準やや上。これを逃げ切ったのが
ショウナンアルバ(牡、母シャンラン、美浦・二ノ宮敬宇)でした。2週目の、エリモファイナルが勝った4歳以上1000万下と比べると、時計面の価値が分かると思います。馬場差はエリモが勝った日の方がやや速いコンディション。そこで前半3F35.4秒、上がり37.8秒のペースで前が崩れ、エリモの差しが決まったのですが、ショウナンアルバの逃げは35.1秒-36.7秒。前半がやや速く、しかも上がりが遥かに速い。勝ちタイムがエリモより0.3秒劣りますから、その分若竹賞は中盤がかなり緩んだのは確かなのですが、上がりをまとめて逃げて突き放したことに価値があります。ウォーエンブレム産駒はとにかくクズを出しませんが、ただこの馬は母系がダート色強いので、この時計の掛かる馬場が合っていたという解釈も成り立ちます。次走が試金石。
2着
アサクサダンディ(牡、父フジキセキ、母ヘルスウォール、美浦・戸田博文)は、距離を克服したのが収穫ですが、小器用さばかりが目立ってしまいます。3着
スマイルジャック(牡、父タニノギムレット、母シーセモア、美浦・小桧山悟)は、前を捕まえるには程遠い内容。今後へ向けては厳しいという判断。
骨折明け、道営からの転入馬
エックスダンス(牡、母ルカダンス、美浦・武藤善則)は、血統的に芝はまったく問題ないし、中央ではむしろ芝を中心に使うべきだと思います。アドマイヤベガ産駒では、中央なら一流のダート馬にはなれないのでは? 馬体は均整がとれた美しいもので、このバランスのよさからも芝2000m前後がベストのタイプと見ています。
日曜5Rの新馬戦はダート1800m。
ダイワランスロット(牡、母ラスリングカプス、美浦・池上昌弘)が圧勝しました。アストンマーチャンの半弟ですが、体型はまったく似ておらず、距離適性も別。ジャングルポケット産駒は初年度と違って、ダートで高パフォーマンスを見せるケースが増えてきました。馬力の遺伝が強くなってきているのかもしれません。ダイワ自身は余力十分で、平凡な時計は割り引くにあたらないでしょう。芝では、道悪になれば面白いかもしれません。
9Rの菜の花賞は、ここ2年コイウタ、ピンクカメオを送り出した出世レースですが、今年は凡戦。
デヴェロッペ(牝、父ボストンハーバー、母ショウエイミズキ、美浦・加賀武見)がスローに巧く後続を嵌めての逃げ切り勝ち。能力で断然上の
マルターズオリジン(牝、父Swain、母Affirmed Halo、美浦・水野貴広)、
スワンキーポーチ(牝、父アグネスタキオン、母チャッターボックス、美浦・鈴木康弘)はともに脚をかなり余していたし、またともに広い東京でないと脚力全開とはいかないようです。
続いて京都。土曜には、過去にトウカイテイオーやディープインパクトらを送り出した若駒Sが行なわれました。ご存知のように、ハイレベルのメンバーが揃ったかに見えましたが、前半63.6秒のスローなのに縦長という、とにかく折り合いだけに気をつける消極的な展開で、完全に上がり勝負に。ただそんな展開ながら上がりが35.4秒程度、そしてゴール寸前まで叩き合ったのに、平坦な京都でラスト1Fのラップが2F目より落ちたのは納得がいかない結果。
1着同着となった
ジュウクリュウシン(牡、父マンハッタンカフェ、母インデポジット、栗東・昆貢)と
アインラクス(牡、父ダンスインザダーク、母スターズインハーアイズ、栗東・池江泰寿)ですが、展開だけからみれば、今回に限ってはアインラクスの方が上位という見立てをします。ただジュウクリュウシンは終始クビが高く、まだレースに集中していません。本当に実が入ってきたら、ジュウクの方に爆発力を感じますが…。とはいえ、このままではともに例年のクラシック有力馬よりは、スケールの小ささしか感じさせません。
ダイシンプラン(牡、父タイキシャトル、母ダイシンシルビア、栗東・松田博資)は、久々もありますが、前走の驚異的な切れを見るにつけ、マイラーなのかもしれません。血統的にもその公算は大きい。いずれにせよ、次走で適性が決まるでしょう。
日曜9Rはダートの若菜賞。
ベストオブミー(牝、父ブライアンズタイム、母フラワーアーチ、栗東・鮫島一歩)の圧勝でした。これはもう完全にダート馬と見ていいでしょう。時計も及第点。本当にダートでは強い馬がボコボコ出てくる世代です。
最後に小倉。土曜からは2Rの芝1200mの未勝利戦を勝った
キングオブザベスト(牡、母ヒビキジュネス、美浦・岩城博俊)に、時計面から注目。同日10Rの3歳500万下、12Rの古馬500万下を上回る1分09秒4。キングヘイロー産駒だけに、力の要る小倉の芝との相性が高かったのかもしれませんが。
そして日曜4R、芝2000mの新馬戦を勝った
ハイエストホワイト(牝、栗東・大久保龍志)。この牝馬には、オークスへの期待を抱かせるものがありました。縦長の展開をレースの経過とともにグングン上昇し、ラスト3Fでラップを落とさずに、しかも目一杯追わないまま突き放す。馬力の要る馬場での2000mでこの競馬ができれば、スタミナは十分でしょう。父アグネスタキオン、母アドマイスでブラックカフェの半妹ですが、スケールは完全に上。ただ時計は平凡。瞬発力の求められる馬場での競馬次第で、今後へ大望が掛けられるかが決まりそうです。マイルは明らかに短い感じ、あくまでオークス向きと見ますが…。
なお
ヴェルザンディの故障は、先週のアルスノヴァに続く残念なニュース。牝馬戦線もサバイバルの様相を呈してきました。
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