中山の開幕週は、やはり速い。スピードに慣らされた新潟開催を終えた直後でも、かなりインパクトがありました。
京成杯AHのゼンノエルシドは、正にマイル戦線の新星と呼ぶにふさわしく、これはかなりやれそうです。横山典騎手の手放しの喜びようは確かな手応えをアピールするものでした。主役不在のマイル界に登場したゼンノエルシドの動向は、秋の注目どころ。誰の目にもこの先への期待が見えました。
マイル1分31秒5の日本レコードは、秋の開幕を告げる華々しいものでしたが、こういう速いタイム生む背景には、必ず立役者が他にもいるものです。今度の場合は、5ハロンを56秒0で飛ばしたユーワファルコンがいました。他力本願タイプのイーグルカフェはこの恩恵によくしたとも言えます。本来なら2着のクリスザブレイヴを捕らえていてもよかったかもしれません。しかし、これがきっかけになるという期待も持てるでしょう。
競馬には、いつも逃げ馬のつくるペースが問題となります。レースを演出する重要な役割を担っていると、その立場にある馬の出方を注目しています。これは、距離の長短には関係ありません。
自らを苦しい立場におく逃げ馬ですから、勝敗とは別の、なにか健闘を称える制度がないものかと思うくらいです。かつて、メジロイーグルという体の小さな逃げ馬がいました。その年の三冠レース全てに出走し、そのいずれのレースでもケレン味ない逃げを打ち、三つとも掲示板に上がる着順を占めてくれました。年度表彰の委員会に出席したとき、イーグルを表彰してはと提案しましたが、問題にされませんでした。仕方がないとは思っていても、以後競馬を見続けてきて、逃げ馬の出方次第でレースがどうなるかを知るにつけ、心に引っ掛かっています。ですから、条件戦でも、果敢な逃げを打つ騎手を探り続けているのです何かの役に立つと思います。