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見て楽しいが中身は今イチな桜花賞

  • 2008年04月15日(火) 18時50分
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 クラシック第一弾の桜花賞は、速い流れの攻防で見応え十分。スローのダラけたレースが定番となっていた阪神外回りでしたが、阪神ジュベナイルFのようなハイペースとなり、底力が求められるレースに。デヴェロッペ(牝、父ボストンハーバー、母ショウエイミズキ、美浦・松山将樹)が宣言通り引っ張ったこと、そしてどの馬にもチャンスがあるだけに、どの馬も勝ちに行ったこと、武豊と藤田伸二が不在で、ペースの重石がなくなった? こと…。

 結果は大波乱でしたが、見た目の攻防は素晴らしいものだったと思います。ただし、それはあくまでも見栄えの話で、内容的には桜花賞としては水準以下でした。

 3F通過と5F通過は、それぞれ阪神JFより0.3秒前後遅い程度で、馬場差を考えれば同じくらいと見ていいでしょう。勝ちタイムは、0.6秒劣る1分34秒4でしたが、これは外差し馬場になっていたことと、この世代の牝馬が当時よりあまり成長していない低レベルであったことの両方が原因でしょう。1頭ずつ簡単に講評していきます。

 レジネッタ(牝、母アスペンリーフ、栗東・浅見秀一)⇒そのハイペースの阪神JFを先行して差のない6着に粘っていたことからも、体力勝負に強い片鱗はありました。速い流れで、フレンチデピュティ産駒のダート適性が生きたということでしょう。

 エフティマイア(牝、父フジキセキ、母カツラドライバー、美浦・鹿戸雄一)⇒説明のつかない変わり身。暖かい時期が合うということだけでは、ここまで変わらないと思います。こうしたペースに特に強いとも思えません。わかりません。

 ソーマジック(牝、父シンボリクリスエス、母スーア、美浦・田村康仁)⇒これは渋太い競馬。一度伸びかかったところで外へ出し直したのも痛恨でしたが、現時点での力は出し切ったでしょう。オークスでも期待が持てそう。

 ハートオブクイーン(牝、父ジョリーズヘイロー、母マイシークレット、美浦・水野貴広)⇒想像を越えています。

 リトルアマポーラ(牝、父アグネスタキオン、母リトルハーモニー、栗東・長浜博之)⇒スタートのつまづき、さらに4角でのゴチャつきと外へ振られたシーンなど、不利が続きました。上がりはメンバー最速。まともな競馬ができていたら、おそらく連対に届いていたのでは。だがこの馬のマイルの切れを見ると、もしかしたらマイルがベストの気配も。

 マイネレーツェル(牝、父ステイゴールド、母ケイアイベール、栗東・五十嵐忠男)、エイムアットビップ(牝、父アグネスデジタル、母ドリームクロス、栗東・矢作芳人)⇒マイネは内を巧く捌いて伸びかけましたが止まりました。エイムは自分の競馬で失速。ともに距離でしょう。

 トールポピー(牝、父ジャングルポケット、母アドマイヤサンデー、栗東・角居勝彦)⇒早熟牝系であることと、チューリップ賞の反動。巻き返しは厳しいか。

 エアパスカル(牝、父ウォーエンブレム、母ラフィカ、栗東・池江泰寿)⇒流れに戸惑った感。それでも直線ではいったん先頭へ立ちました。この流れを経験した強みは、今後に生きてくるでしょう。見直せます。

 ブラックエンブレム(牝、父ウォーエンブレム、母ヴァンドノワール、美浦・小島茂之)⇒調整がどうとかいう以前に、スタートが遅れたのと、控えすぎると旨みがないことが判明。

 オディール(牝、父クロフネ、母キュンティア、栗東・橋口弘次郎)⇒完全にチューリップ賞の反動でカリカリ。早熟の感じもあり、巻き返しには時間が掛かりそう。

 シャランジュ(牝、父テンビー、母レパーティー、美浦・本間忍)⇒エフティマイアやソーマジックを見れば、この馬が力ほど走れていないのは明らか。今後はローカルのマイルが稼ぎどころか。渋太く穴を開けるタイプです。


 最後に、その他の3歳戦からふた鞍。土曜福島のひめさゆり賞です。何とか賞金を上積みしたい好素材が集まって、裏開催らしからぬメンバーになりました。

 勝ったホワイトピルグリム(牡、母オーバルカット、栗東・鮫島一歩)は、いかにもクロフネ産駒、良い脚を長く使えるタイプ。前走では不利が響いて惜敗していましたが、今回は距離ロスがあっても、外をノビノビ走れたことで能力全開。決して差しやすい流れではなかっただけに、評価できます。エアグルーヴの近親。

 2着トレノクリスエス(牡、父シンボリクリスエス、母フューチャサンデー、美浦・伊藤正徳)も勝ったも同然の内容。これまで僅差で戦ってきた相手がレッドアゲート(牝、父マンハッタンカフェ、母セカンドチャンス、美浦・田村康仁)、アサクサダンディ(牡、父フジキセキ、母ヘルスウォール、美浦・戸田博文)、クリスタルウイング(牡、父アドマイヤベガ、母フェアリードール、美浦・藤沢和雄)とかなり骨っぽい馬たち。ちょっと勝ち運のない所はありますが、安定して走れるのが強み。

 6着ネオスピリッツ(牡、父シンボリクリスエス、母ネオクラシック、美浦・藤沢和雄)は、包まれ通しで直線も満足に追えず。自分の競馬がまったくできず、参考外です。


 あとは福島のダート1700mの未勝利戦をぶっちぎったウォータクティクス(牡、父ウォーエンブレム、母アドマイヤハッピー、栗東・池江泰寿)。タイムは4歳以上1000万下に入れても上位にランクできるものですが、こちらもエアグルーヴの近親で、芝に昇級しても勝ち負けできそうです。芝1800mの新馬戦でダイシンプラン(牡、父タイキシャトル、母ダイシンシルビア、栗東・松田博資)、ブラックシェル(牡、父クロフネ、母オイスターチケット、栗東・松田国英)と接戦した経験がある馬。秋はマイル戦線あたりで楽しみ。



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