しらさぎ賞(4月29日 浦和 サラ3歳以上牝馬 別定 SIII 1400m)
今年第46回目を迎える「しらさぎ賞」だが、創設時のネーミングだけを留めた、いわゆるリフレッシュ重賞だから、過去データ等は割愛する。ちなみに、62〜96年は、初夏“残念ダービー”の意味合い、98〜06年は、逆に、早春“クラシックトライアル”の位置付けで施行された。
代わりに、しらさぎ賞――のノスタルジーを少し書く。84年勝ち馬=キングハイセイコー。父ハイセイコーは種牡馬として今も評価が分かれるが(ハクタイセイ、サンドピアリス、JRA芝GI馬を輩出)、すべてに“血”を感じさせるのがキングハイセイコーだった。隆々とした馬格、豪快なフットワーク。羽田盃、東京ダービー、父譲りの“黄金のジリ脚”で2冠達成。しかし秋の「東京王冠賞」、ロッキータイガーの切れ味に屈している。父にはタケホープという宿敵(刺客)がいた。スケールはさておき、戦歴、個性といえば生き写しに近いと思う。
さて、しらさぎ賞。通常“2冠馬”はそこで休養に入るが、キングハイセイコーの場合、稀代の浦和所属ヒーローとして“凱旋出走”を強いられた。今もよく覚えている。記者は何か釈然としない(?)思いがあり、まるで格下のアスキットオージャという馬を本命にした。力走後の疲労うんぬん…を理由にしたこじつけ予想。結果は持ったままの大楽勝だった。恥ずかしい記憶かもしれない。そしてもう一つ、このレースを忘れられない理由は、当時浦和競馬が“6枠連単”という馬券を導入していたことだ。売り上げ低迷への打開と模索。結局この馬券はファンの支持を得られず、わずか1年ほどで消滅している。2着、5馬身差でアスキットオージャ。枠単6→4は360円の配当だった(単勝110円)。
◎パフィオペディラム
(左海・55)
○ベルモントノーヴァ
(石崎駿・55)
▲アストリッド
(戸崎・52)
△シーホアン
(張田・52)
△セレブサンディ
(御神本・52)
△ティーケーニケ
(石崎隆・52)
△ブラックホール
(吉田稔・52)
オルビア
(桑島・52)
ミスジョーカー
(矢内・52)
昨年好走馬から、クリムゾンルージュが抜け、代わりに4歳馬が数頭加わった組み合わせ。格、実績にかなり差があり、それでいて52〜55kgの別定だから、ごく常識的には争覇圏が狭く絞れる。△をつけた4頭は、馬券上、3連勝のヒモという見方にしたい。絶対スピードと切れの勝負。今回良馬場となりそうだが、1400m1分27秒台は必要になる。
パフィオペディラムは、デビュー時から大器と目され(道営・4戦3勝)、しかし現実に歯がゆい競馬を続けてきた。昨秋「TCKディスタフ」で初タイトルは獲ったものの、当時軽い顔ぶれに加え展開も絶好(スローを先行抜け出し)。追って頼りない印象が拭えなかった。イメージを変えたのは、前走「マリーンC」のレースぶり。3〜4歳時まったく歯が立たなかった交流Gでメイショウバトラーに0.9秒差。それもハイペースを果敢に追いかけ、直線あわやのシーンがあった。ササ針を打ちひと息入れた充電効果。フサイチコンコルド×サンデーサイレンスの背景からは、本来奥手としてもいい。体力、気力、ようやく本物と判断する。
昨年鮮やかなイン強襲を決めたベルモントノーヴァは、浦和コース5戦5勝。据え置き55kgは何とも有利で、連覇の条件が整っている。ただ、今季2戦は(TCK女王盃→マリーンC、7、7着)、交流Gとしても無抵抗すぎる負けにみえた。元より闘志に火がついてこそという追い込み馬。この状況は危うい感がなくもない。それならアストリッドも互角の評価。昨年3着、厳しい流れをゴール寸前まで踏ん張った。ノーザンF生産、川島正行厩舎のエリートホース。今季順調さをとり戻し、もう一段グレードアップが期待できる。伏兵陣では、シーホアン、セレブサンディの4歳馬に可能性があるだろう。JRAから転入2戦目ブラックホールも、地方ダート適性が高く変わり身注目。