大井記念(5月14日 大井 サラ4歳以上 別定 SII 2600m)
南関東最長距離2600mで争われる伝統の一戦。ダート統一グレードが完成、定着した近年、総じてレベル低下は否めないが、それでも97年アブクマポーロ、03年ネームヴァリュー、後のGI馬出世レースにもなっており、帝王賞トライアルとして、一定の意義と重みを保っている。例えば勝者の父を、イナリワン、アラジ、ホワイトマズル…などと並べれば、やはりそこはステイヤーの領域。“血が流れている重賞”と納得できる。
過去10年のデータ。1番人気[2-0-2-6]、2番人気[3-2-0-5]、3番人気[3-3-0-4]。1番人気が対抗クラス、伏兵に食われてしまう傾向で、波乱含みというより“順当”のケースがむしろ稀だ。馬単最高配当は、00年イナリコンコルド(4人気)→デリケートワン(12人気)の47860円(1人気ゴールドヘッド3着)。ただ最も多いパターンは、昨年マズルブラスト→ルースリンド→アウスレーゼ…のような形で(馬単3760円・3連単36380円)、新聞予想とすると、無責任ながら、△→○→△あたりが狙い目かもしれない。
所属別は、大井=7勝、2着5、船橋=2勝、2着5、川崎1勝。伝統的にホーム大井が強いが、昨年は船橋→船橋のワンツーだった。逃げた馬=4、1、1、3、4、15、8、16、11、4着。勝ったのは99年ゴールドヘッド、00年イナリコンコルドで、ともに実績上位の人気どころ。ペースメーカー的な馬が恵まれるケースはほとんどない。理想的なパターンはやはり先行抜け出し。近年最も強烈なインパクトといえば、03年ネームヴァリュー。4コーナー先頭、一気に後続を5馬身ちぎった。そして同馬は続く帝王賞も楽勝している(1人気ゴールドアリュール)。
◎ルースリンド
(57・戸崎)
○チェレブラーレ
(54・張田)
▲コウエイノホシ
(54・坂井)
△レッドドラゴン
(56・石崎駿)
△マズルブラスト
(57・今野)
△トップサバトン
(58・的場文)
△ショーターザトッシ
(56・町田)
ナイキコランダム
(54・佐藤博)
ウエノマルクン
(57・鈴木啓)
シーサーハーン
(54・山田信)
コーワキング
(52・真島)
ルースリンドには負けられないレースとなった。いや負けられないというより、帝王賞へ向けてどう勝つか。前走「金盃」完勝は当然として、すでに昨暮れ「東京大賞典」ヴァーミリアンの4着、フリオーソ、メイショウトウコンと接戦している。JRA未勝利、しかし船橋移籍で見事に開花したエルコンドルパサー産駒。いかにもそれらしい息の長い末脚があり、近走は切れと勝負強さ、さらに競馬センスにも磨きがかかった。かしわ記念1600mを無理に使わず、“馬中心主義”のローテーション。好位抜け出し、横綱相撲でクリアできれば本番でも夢が浮かぶ。
チェレブラーレは明け4歳の第2勢力。ただ近況はアンパサンド、トップサバトン級に追いつき追い超す勢いがあり、とりわけ前走「ブリリアントC」、アートルマンを上がり36.4秒で退けた内容は素晴らしかった。父ブラックホーク、本質マイラーとしても、反面スロー、よーいドンの競馬にきわめて強い。
コウエイノホシはJRA・4勝、前走「グリーンC」圧勝、2000m2分05秒0(金盃=2分06秒4)からも、馬名通り新星の期待がある。先行差し自在。ただこのパターンは初戦いかにも走りすぎ、反動の不安もないではない。昨年の覇者マズルブラストは実質5か月ぶりで完調にあるかどうか。それなら順調さでレッドドラゴン、的場文騎手で新味が出そうなトップサバトンをとる。