前回に引き続き、道営ホッカイドウ競馬のアトラクションとして5月6日に実施されたポニー競馬について書く。
12時10分。予定通り、出走各馬が本馬場に入場してきた。といっても、正規のパドックでは次のレースに出走する道営所属馬が周回しているため、ポニーたちは予め待機していた内馬場にある「ポニーリンク」からの馬場入りである。返し馬もなく、それぞれ引かれたままスタート地点に移動し、全馬が所定の位置についたのを見計らってスターター(これもポニー少年団の川島はるかさん=小学校5年生が務めた)が壇上に立った。その模様がビジョンに映し出され、いよいよ旗が振られてスタートである。
ハンデが+30mの「9番プリティ」は後方から、-50mの「1番クリボン」はその分だけ前方からの発走だ。少年団会長の広瀬亨氏が振る赤い旗を目印に、一斉に9騎のポニーが駆け出した。
300mという距離では、いくらポニーとはいっても、走破タイムが数十秒に過ぎない。スタートしたと思ったら、あっという間にゴール前まで駆けて来たように感じた。レースは最初抜け出したかに見えた「6番メルモチャン」が、後方より一気に脚を伸ばした「9番プリティ」にゴール前で差され、優勝は9番、2着6番、3着4番という着順。全馬何事もなくゴールインした。
着順掲示板や実況、そしてレース後の表彰式まで、ほとんど本物のレースと同じ流れになっており、レースを終えたポニーたちは、放馬止めのところからUターンして、すぐ待機場所へ戻った。この間、わずか数分間である。主催者の北海道競馬事務所からは「競走に影響が出るので速やかに退場すべし」とお達しが出ており、ゆっくりと余韻に浸る間もなく、人馬ともども、早々に引き揚げるしかなかった。
レース後は、すぐ正面スタンド前で表彰式が行なわれた。プレゼンターは道営所属の笹木美典騎手(紅一点)をはじめ3人の現役ジョッキーが務め、騎乗した9人の騎手とスターターの川島はるかさんにそれぞれ記念品が贈られた。
カメラ片手にこの表彰式の模様を見物するファンが周りを取り囲み、テレビ取材で優勝馬に騎乗した中脇剛君(浦河二中1年)がはにかみながらインタビューに答える場面もあった。
レース後、表彰式が終わるのを待って、すぐ馬運車とバスが迎えに来たため、午後1時半にはポニーを積み込み、2時には団員がバスに乗り込んでそのまま一路浦河を目指して帰路についたのだった。
もちろん、最優先すべきは「本物の競馬」であり、あくまでポニー競馬はアトラクションに過ぎないのだが、敢えて一言書かせていただくとしたら、「もう少し観客席に近い場所で走らせてやりたかった」というのが正直なところ。中央競馬の施設を借用しているため、道営ホッカイドウ競馬は、全てが内側のダートコースを使用する。芝コースを挟んでの観戦は、どうしても迫力に欠け、何とも勿体ないような気がした。
さて、今年で4年連続となったポニー競馬だが、今後の展望としては「できる限り続けたい」というのが少年団側の意向である。どれほど馬券売り上げに協力できたかはやや疑問だが、少なくとも「馬産地を挙げて応援する」という姿勢は伝わったことと思う。この日、札幌競馬場には6千人を超すファンが入場した。
「子供がポニーに乗って競馬をする」アトラクションはたぶん全国的にもほとんど例がないはずで、帰りのバスの中では「次は芝コースで走りたい」という子供もいた。実現するかどうかは別として、夢は大きく持っていたい。
私事ながら、初めて競馬場でレースに騎乗した我が娘は、有力馬に乗せてもらったことから望外の2着に入賞し、喜び勇んで帰宅した。落馬→放馬をもっとも恐れていたのだったが、幸い何とか無事に走り終えた。それが最大の収穫だったと思う。
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