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netkeiba

タキオンのスピードが劣化せずに伝わった

  • 2008年06月05日(木) 17時50分
◆6/1東京・日本ダービー レース結果  レース映像
1着 ディープスカイ(牡)
父アグネスタキオン、母アビ(その父Chief's Crown)
【評価】A
【適性】芝ダ1800〜2200m
 アグネスタキオンはマイラーっぽい体型と柔らかな筋肉を確実に伝える一方で、5代アウトでNorthern Dancerなどの有力血脈をあまり持たないので、相手牝馬の特長も巧みに引き出してくる種牡馬です。この馬は母の父がChief's Crown(チーフベアハートなどの父)なのでストライドは柔らかみを増しており、毎日杯、NHKマイルC、そして日本ダービーと長い直線で末脚が最大限に活きました。

 母アビはMiss Carmie4×3にBold Ruler4×4とNasrullah系のスピードが強く、これを根拠に2400mへの距離不安を指摘する声も多かったようですが、祖母の父Key to the MintはRibotにFlower BowlとPrincequilloとWar Admiralが入る最強のスタミナ血脈で、ダンスパートナー・ダンスインザダーク姉弟やカワカミプリンセスなどの母系にも入ります。スタミナ豊富で鈍重なKey to the Mintが入るなら、他の部分にはスピードがありすぎるぐらいでバランス的にはちょうどよく、スピードの血が足りないとエアダブリンやトウショウナイトのようにズブいステイヤーになってしまうほどです。

 アグネスフローラ→アグネスタキオンへと受け継がれてきたロイヤルスキー〜Bold Rulerのスピードを強力に累進する一方で、それを支えるスタミナとしてKey to the Mintを補強したこと、これによってタキオンのスピードがほとんど劣化することなく、ディープスカイに伝わったと言えますね。

 それともう一つ、アグネスタキオンは優れたスピードを伝えるのでマイラー寄りの種牡馬だと思われがちですが、スカーレットブーケ、エアトゥーレ、ビワハイジ、そしてアビと、マイラーっぽい繁殖牝馬との配合で2000mの大レースの勝ち馬を出している点には注目できます。これはアグネスタキオンの伝えるスピードが、いかに優秀でオールラウンドかという証明でもあるからです。リーディングサイアー級の優れた種牡馬というのは、マイラーと配合してもステイヤーと配合しても2000m前後に強い産駒を出すもので、種牡馬サンデーサイレンスがまさにそうでした。

 ディープスカイもベスト距離は2000m前後でしょうが、日本ダービーは2400mベストのスタミナ型より2000mベストの斬れ者が勝ちやすいレース。昨年のウオッカと同じ発想で◎が打てました。

※次週からしばらくは例年通り、種牡馬ごとの注目2歳産駒を取り上げてみたいと思います。

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1966年生まれ。育成牧場従業員を経て、92年〜02年まで競馬通信社編集部に在籍し、現在はフリー。主な著書に「スペシャルウィークのつくり方」(宝島社)。現在は、大阪日刊スポーツ、競馬総合チャンネルなどに血統コラムを連載中。また、大手馬主の配合コンサルタントもつとめている。

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