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加藤征弘調教師 Part8 ビッグタイトルへ!

  • 2008年06月11日(水) 14時50分
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加藤征弘調教師

 安田記念の当日の東京2R、ダート1300mの未勝利戦を逃げ切ったエビスオールなどを所有する加藤友三郎オーナーは加藤征弘調教師の実父にあたる。

 口取りを終えて戻ってきた加藤征弘調教師は、「親孝行な息子だと思いませんか!?」と悪戯っぽく笑うのであった。

 「実は、先週話したエクセレントアートの妹は、ウチの親父がオーナーなのよ。そして、こうして見舞金を頂いて、すぐに勝つ。最高のパターンをもちろん狙っていました。だから親孝行だなってね」

 父が馬主という環境に育った加藤師にとって、この世界を目指すことになったのはごく自然なことだった。

 「小学生の頃は“天才”と言われるくらい予想が当たったんだよね。週刊誌の1着から3着当てクイズに当選して、双眼鏡とかは何回も貰いました。でも、そもそものキッカケは、祖父が競走馬を所有していて、その祖父に頼まれて駅に競馬新聞を買いに行ったことからですね。お駄賃として10円を貰うとそのまま駄菓子屋へ向かったなぁ。そのうち、新聞を読むようになって、そして『僕のも買ってよ』と言い出して、一緒に読んで大人になった気分になっちゃったりしてたね。さすがに馬券は買ってくれなかったけど(笑)」

 乗馬のスポーツ少年団にも入って馬に乗っていた加藤少年だったが、高校生になると馬術部に籍を置き、より確かな馬乗りを身に付けると、大学卒業後、すぐにこの世界へ飛び込んだ。あれから20年の月日が流れ、調教師となって8年目を迎える今年は、ここまで13勝を挙げ関東6位にランクインしている。

 その活躍を支えるひとつの原動力、“飼い葉”の保管場所に、ある朝の調教終了後に案内された。そこには、成分が細かく分類された外国の配合飼料が並んでおり、1頭1頭に、それこそこと細かく量が決められていた。

 他の厩舎のなかには、企業秘密のひとつである“馬料庫”に部外者を入れることを嫌う厩舎も珍しくはない。加藤師にそのまま話を向けると、「他の厩舎でも同じ飼料を使っているから」と言うのである。

 「基本的に、ウチの運動量に対してはこの飼料の栄養がマッチングしているんだよね。他の厩舎云々ではなくて、筋肉の張りや毛ヅヤなどから手応えを感じて本格的に使い始めたというだけであって、あくまでウチの馬たち、そしてウチの調教に合っているからね」

 “飼い葉”に限らず、施設は当然のこと、馬自身の資質が例えどんなに優れていたとしても、携わる人間に能力がなかったならば大きな成果は望めない。加藤征弘調教師は、あくまで“馬”を見て、自分自身の感覚を基準に、飼い葉、調教、そしてレースというすべてにベストを求めているのだ。

 そのスタイルを貫くことこそが、ビッグタイトルへの近道になると信じて。

※当コラムは今回をもって終了いたします。これまでのご愛顧、まことにありがとうございました。

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