今年の
宝塚記念ウィークに、netkeiba.comで実施した投票企画『netkeibaユーザーが選ぶ!ベスト・オブ・
宝塚記念』。
投票総数は3,576票!! たくさんのご参加、誠にありがとうございました。
サイレンススズカ、
オルフェーヴルなど、豪華面々をおさえ、栄えある第1位に選出されたのは……、同期のダービー馬
スペシャルウィークを破っての勝利、
グラスワンダーの1999年
宝塚記念でした。
そのご報告と表彰状のお渡し、そして当時のエピソードを伺いに、
グラスワンダーの主戦であった“仕事人”
的場均調教師を直撃。
スペシャルウィーク武豊騎手との駆け引き、
グラスワンダーへの思いなど語っていただきました。
■「
スペシャルウィークがあそこで動いてくれたから」
「
宝塚記念では
スペシャルウィークの出来が良かったのもわかっていましたし、相手はこの馬だと思っていました。ただ調子の良い
スペシャルウィークにスムーズな競馬をされたらかなわないだろうと。だから1コーナーでは外に出して外から突ついてプレッシャーをかけ、それで
スペシャルウィークが向こう正面で掛かってくれれば、こちらに勝つチャンスがあるなと考えました。相手の調子の良さを、逆に利用するという作戦ですね。
枠順はスペシャルより内枠でしたし、そのような競馬をするには、1コーナーで内外が逆になる必要があったのですけど、思惑通りに豊がスッと僕の前に行ってくれました。これで向こう正面でこちらの術中にはまって掛かるような形になってくれればと思っていたら、
スペシャルウィークが動いていって3コーナーでは結構離されたんですよね。その時はさすがに相手も強いなあと…。でも
スペシャルウィークがあそこで動いてくれたから、勝てたのではないかとも思っています。あそこで相手が動いてくれなかったら、負けていたかもしれないですね。
その年の
有馬記念でも
スペシャルウィークと対戦していますけど、あの時は
グラスワンダー自体の出来があまり良くありませんでした。それに豊も今度は絶対に後ろから来るだろうなと思っていましたし、勝つにはその脚を封じ込めるしかないだろうなと考えていました。尾形(充弘)先生からは相手より先に動くようにとの指示もありましたので、ギリギリまで我慢して動きました。ただ出来があまり良くなかったですし、早く動いた分もあって、さすがに直線の坂を上がる時には馬が苦しいという格好をしていましたね。ですから
スペシャルウィークに差されたと思っていましたけど、最後は根性で踏ん張ってくれました。大した馬だと思います。
優勝した
宝塚記念や
有馬記念もそうですけど、
エアジハードの2着に敗れた同じ年の
安田記念も印象に残っています。この時は
グラスワンダーの出来が、これまでで1番良かったんですよ。
安田記念の前の
京王杯SCの時には勝てないかもしれないと思っていたのですけど、もの凄い脚を使って優勝しましたから、やっぱりモノが違うなと感じました。
安田記念の追い切りも良かったですし、負けないと思っていたのですけど…。スタートして1ハロンくらい行ったところで、僕の前にいた外国馬の騎手が落馬しそうになったんですよ。それで危険を回避するのに、手綱を抑えたんですよね。するとそれを
ゴーサインと勘違いして、瞬時に反応してしまいした。僕がハミを掛けたら
ゴーサインと、
グラスワンダーには教えていましたから。1600mの競馬なのに残り1400mで
ゴーサインに反応してしまったら、直線では止まりますよね。それでもあれだけ走るのだから、凄い馬だなと改めて思いました。
新馬戦前の調教で初めて跨った時から、モノが違うなと感じました。ですからこの馬には幾つ大きなレースを勝たせてあげられるかなとも思っていました。新馬の時はゲートの扉が開くのを怖がっていたくらいで、あとは本当に利口な馬で乗りやすかったですね。折り合い面で苦労をするということもなかったです。走る時の独特なフォームもデビュー時からずっと変わりませんでしたね。
グラスワンダーももちろん名馬ですけど、他にも歴代の名馬がいる中で、このたび1位に選んで頂いたファンの方には本当に感謝しています。ありがとうございます」
(取材・文:佐々木祥恵)
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■参考
『netkeibaユーザー3,576人が選んだ!ベスト・オブ・
宝塚記念』最終結果
第1位:1999年
グラスワンダー 744票
第2位:1998年
サイレンススズカ 591票
第3位:2012年
オルフェーヴル 302票
第4位:2006年
ディープインパクト 218票
第5位:2003年
ヒシミラクル 187票
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