まだ夜明け前の小倉競馬場。照明を全身に浴びた
オウケンダイヤがダートコースに姿を現した。最終リハは単走。序盤は人馬の呼吸を確認しながら、馬場の7分どころをゆったりと運ぶ。直線も鞍上が促す程度。自ら小さな体を大きく弾ませ、4F58秒7-43秒4-13秒0を刻んだ。
騎乗した山田泰助手も「仕掛けてからシャープに伸びたし、ヤル気になっています。手前もうまく変えていますよ」と好感触だ。デビュー戦は、詳細なデータの残る86年以降の新馬戦で史上最軽量の376キロで勝利。「火曜日(1日)に計ったら380キロ。だけど、細くはないです。背が小さいからコンパクトに筋肉がついている感じ。バネのある走りをしますよ」と力強い。
父は新種牡馬の
オウケンマジック。2歳世代唯一の産駒がダイヤで、
母オウケンハートも含めて福井明オーナーゆかりの血統だ。西村師は「お母さんはオーナーの娘さんが初めて名前をつけた馬。その子でもう1度、娘さんが名前をつけたのがダイヤなんです。だから、新馬戦を勝ったときはすごく喜んでくれて」と穏やかに語る。
新たにコンビを組む高倉は、父の手綱を取って10年9月の小倉500万下で勝利。「自分の騎乗馬で種牡馬になったのはこの馬くらい。オーナーも思い入れがあると思うし、楽しみですね」と期待に胸を膨らませる。デビュー戦では小倉の新馬戦史上で単勝最高配当(1万8930円)を記録し、ファンを驚かせた。磨き始めたばかりの原石が、今度は重賞でまばゆい輝きを放つ。
提供:デイリースポーツ